マガジンのカバー画像

受付嬢京子の日常

18
「受付嬢 京子の日常」 1日に通る利用客は3万人。とある駅ビルに勤める原田京子は、この仕事について2年目の受付嬢。色の白さと大きな目が他の受付嬢と並んでいても目立つ、自分の売り…
運営しているクリエイター

2021年3月の記事一覧

受付嬢京子の日常⑪逆算から見える世界

受付嬢京子の日常⑪逆算から見える世界

「洋さん、おはようございます」

警備室の前で原田京子は、同じ施設で働く吉田洋子を見つけて、声をかけた。

「おはようございます」

今日も肌が綺麗だなぁと、京子は思う。自分の方が5歳年下なのに、なんだろう、この差は。昨日は吉田も京子も遅番だった。施設が閉まるのが22時。片付けなどをして、退勤は22時半ごろ。遅番の後の早番は、睡眠時間を削るしかない。早番の次の日が遅番なら良いと思うのに、月に数回、

もっとみる
受付嬢京子の日常⑩~1人暮らし

受付嬢京子の日常⑩~1人暮らし

「横、いいですか?」

原田京子は休憩室で吉田を見つけた。普段2人1組で休憩に入る京子は、同じ受付のメンバーとしか一緒に昼ご飯を食べたことがない。今日は一緒に食べるはずだったリーダーが上司に呼ばれた。長くなりそうだから先に言っていてと送り出された。吉田は京子が働く施設の店舗のスタッフだ。普段はあいさつ程度しかしていない。でも、今日は声をかけたくなった。

吉田が顔を上げてほほ笑む。合意と受け取って

もっとみる