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「目の見えない白鳥さんとアートを見に行く」をお勧めしたい理由は、、、

#読書の秋2021

普段あまりラジオを聴かないんですけど、その日は何故かラジオのスイッチを入れて車を走らせることにしました。

丁度その時本の紹介をしている場面だったんです。
そこから聞こえてきた方のお名前とラジオ番組まで覚えていないんですけど本の概要だけが心に残りました。

それがこの本だったんです。

率直な感想は「面白そう!」です。

どう面白そうに聞こえたかと言うと本のタイトルから来るインパクトの通りです。

面白半分とかではなく正に自分の価値観を違う角度から得る情報により変化させたいって部分とリンクしたと思います。

この本はタイトルからしてアート系の本だって勘違いがあるのでしょう。
現に私も本屋さんに行って購入したのですけど中々本が見当たらなかったんです。

時期は9月の末でした。
この本が出たのも9月、なのに親書のコーナーにも見当たらないし、親書近くの大体ありそうだと普段検討を付ける辺りにも見当たらないんです。

なので検索を掛けて調べたらなんと美術書のコーナーにあったんです。
それだけでも本屋さんですらこの本はただのアート作品と思っているのも残念でしたね。。。

この本の面白かった所は色んな気付きをさせて貰える1冊だって所ですね。

芸術の面白さ、人との繋がりの大切さ、それと障害者に対する健常者の偏見。

先ずは美術館と言う所の敷居が高いって思っている固定観念も自分の身を守るための思い込みだったと気が付きました。

それは芸術が正解のない世界だからこそ見当違いの解釈をしていることが他者に対する羞恥心となり、敷居が高いと思っておけばその世界に入らないですむ安全領域に自分を置くことで守ることの出来るコンフォートゾーンだからです。

その意味ではこの本に出てくる作者やその他の人たちの美術への出会いや接し方が興味深くて、美術鑑賞の世界を近しいものに変えてくれる安心を与えてくれました。

当然目の見えない白鳥さんと美術館へ行くことは言葉でその絵を表現することになるので声を出すことになります。

その行為自体をあまりしてはいけない場所ってイメージがあり、先ず視覚障害者が当然いかないところって決めつけを壊してくれました。

同時に1服の絵を観て一緒に行った人と感想を言い合うことも美術鑑賞の1つだと言う鑑賞の仕方の提供をして頂いた感想を持ち美術鑑賞をもっと簡単に行って良いんだって気持ちに変化しました。

そもそも赤色とか青色を元々目の見えない人に説明できる?など、
そしてそれは色で理解できる我々とは違い言葉の概念で理解する人への説明の難しさや気付きに関心を持ちました。

そして色ってそもそも何?とか見えるっていったい何が見えている?そこから得る情報って正しいの?って事を考えさせられました。

アートも実際に写真で紹介されているので一緒に考えることも出来るのでとても面白いです。

この本に登場する白鳥さんの性格がまた好感が持てます。
健常者へ対する色んな感情を経てきてってこともあるのでしょうけど、淡々としていて言葉に説得力を持っている普通のおじさんって所です。

何か特別秀でた才能があるんじゃないかって偏見でしかない。
確かに目の見えない分、目以外の五感が研ぎ澄まされているんじゃないかって。しかしそれは恥ずかしい思い込みだって分かります。

白鳥さんの最大に素敵なところは人生を心から楽しんでいるところですね。
「もし、目が見えるようになったら、、、」って質問に対する答えもなるほどな~って思える人柄とかですかね、生を楽しんでいるのが伺えました。

この本を読んで思い出したことは、僕は以前から障害者を介護する健常者の一部の人たちに疑問を持っていました。

それは、障害者を介護しているんだから当然健常者のあんたらは遠慮しなさいって態度で振る舞う一部の人たちです。

以前自分が借りている駐車スペースに車いすを数台並べてバズが来るのを待っている方がいました。

用事が済んで戻ってきた時、ウチの借りているスペーズだから場所を移動して欲しい旨を伝えると半ギレで移動し始めた方がいらっしゃいました。

それを問いただそうとして冷静に考えたら周りから見たら素敵な活動をしている人に言いがかりをつけている僕って映像になるから渋々辞めたのですけどそのすべてが間違った固定観念でしかないって憤りを感じました。

または障害者を送迎するバスを待っているときの介添えしている人も何故か道を譲らずあんたらが遠慮しなさいよって振る舞いなどなど。

それらは障害者からすればもしかしたら迷惑行為なんじゃないだろうか?
だって白鳥さんは歩くペースも早いって書いてありましたからね。

僕らからするとどうして欲しいか先回りして手伝うのも素敵な行為だろうけどどこまでして良いのかキチンと聴いてその通りのお手伝いをする事が本当の意味でのバリアフリーなんじゃないかってこの本を通じて思いました。

聴き方も大事ですけどってことも書いてあります。

作者の川内さんの文章も入りやすく色々な知識の豊富さを感じました。
知らなかったことが一杯学べて世界観が変わってきました。

この本は僕の解釈から簡単に言うと、目の見えない普通の美術鑑賞好きのおじさんと絵を見に行って、その作品を説明してあげることで説明する側の解釈力が深まることが分かり、結局は行動することと人との繋がりが人生にとって幸せや新鮮な価値観を育む貴重な体験だと分かる本です。





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