見出し画像

【指導案】営業はいいことをしているのか(カント・ヘーゲル)

今回はちょっと大人な内容の授業案です。
いつかは働く高校生へ向けて。ちょっと挑戦的な内容ですが…。

分野:人間の尊厳(カント・ヘーゲル)

テーマ:営業はいいことをしているのか

目標:営業について、思想を用いて考えることができる。

自己紹介

ぼく、ゆとりんりはこんな人はこちら
元大手民間で働き、教員に転職。いつか教えない塾を田舎に作りたい!


この提案ページの見かた

白バック:ゆとりんりの解説

色付きバック:教師の発言

画像は実際のPPT(パワーポイント)


ゆとりんり流、PPTの授業での使い方はこちらで紹介しています。


導入(ロールプレイ)

ぼくは会社員時代に営業をしておりました。
これってホントにいいことしているのだろうかという罪悪感も感じました。

今日は営業について考えていきます。
「営業なんてしないよ!」と思うかもしれませんが、データがあります。

スライド3


まったくイメージもできないはずなので、リアルでもないですが、ロールプレイで「なんとなくのイメージ」を生徒につくります。

ペアで営業役と営業される役に分かれてください。
(営業役を呼び出して)
ペンを売ってもらいます。元値は1本1500円です。高いです。
売り方は自由。とにかく売ってください。
(される側を呼び出して)
いまからペンの営業をされます。あなたたちはペンが欲しいという設定です。値切ってもいいので、いいなと思ったら買ってください。


展開(テーマ発表)

ロールプレイを終えたのちに発問しましょう。

今、どういう気持ちで商品(ペン)を売りましたか?
善意ですか?儲けですか?
それっていいことしているんですか?

スライド4


先にカントの思想を確認します。
カントといえば道徳の化身です。
席譲り理論がわかりやすいです。

カントの思想を簡単に言えば、席を譲るとき「良く思われたいから」とか「ありがとうがほしいから」はダメです。「心の底から席を譲りたいから」ではないと。これがカントです。

スライド5


カントは人がどこまで認識できるのかを考えた人物です。
人間の認識能力には限界があり、
目に見える世界を「感覚」でとらえ、「悟性」で判断する。
捉えれない世界を「実践理性」でとらえます。

スライド6


カントで有名なのが、コペルニクス的転回
「人間の認識が対象に従うのではない。対象が認識に従うのだ」というやつです。かつてはモノがあって、人間が認識できるという感覚でしたが、カントは、認識があってはじめて、モノを捉えることができるとしました。

カントの理論理性を例えてみます。
みんなの前に机はありますか?あると言い切れますか?
「机があるから認識できるのか」
「認識できるから机があるのか」どちらですか?
カント的には後者です。

スライド7


倫理カントの思想のキモは定言命法の道徳命令です。
人間の理論理性では捉えられない世界。カントはここに、自然界に自然法則があるように、人間の世界にも人間が従うべき放送があると考えました。
それが実践理性です。これは常に人間に命令しています。
そして、この命令に自らの意思で従うことこそ自らを律する「自由」です。

仮言命法というのは「○○してほしいなら、○○しなさい」というもの
定言命法というのは「○○しなさい」というものです。
ぼくらはこの定言命法の命令に従わないといけません。
自らの意志でこの命令に従うことこそ自らを律する「自由」です。


展開(カントの思想を活用)

カントについてまとめたところで、考えるタイムです。
カントの思想を活用することを意識させましょう。

カントの定言命法に従う営業ならば、どのような気持ちで営業するのが理想でしょう?

スライド8


生徒からは、
「安く売りなさい」という良心からくる命令に従う。
→「へー、なんで?」と聞くと、「おばあちゃんが~」と答えたのでアウト
「売りなさい」という自身の気持ちにこたえ、売る。
など意見がでました。

とはいえ、僕も悩みました。
カントは内面の話をしています。
が、行動こそ大事じゃないですか?

スライド9


展開(ヘーゲルの思想)

次にヘーゲルの思想を紹介します。
この思想をもとに営業の在り方について考えてもらいます。

スライド10


ヘーゲルとカントの違いは、「自由の捉え方」にあります。(下を参照)
ヘーゲルの自由は社会をよくする原動力です。要は行動の源です。

スライド11


そして、受験ヘーゲルは正直ここさえおさえれば大丈夫です
ヘーゲルといえば弁証法。解説は下の図のまんま!

ヘーゲルはここを絶対おさえましょう。
あるものとあるもの対立が、よりよいものを生み出すというものです。
ヘーゲルは、道徳ー法の対立が、人倫(ひとの歩むべき道)を生み出すと言ったりしてますが、現代でもこの理論はよく使われます。

スライド12


現代での弁証法は、アイデアだしがまさにコレですね。
文化祭でのクラス企画、「これでいくのか」それとも「こっちでいくのか」いや、「2つの案を合わせてこれでいこう」というものです。

まとめ(ヘーゲルの思想を活用)

ぼくも抱えた、営業における
会社に求められる「利益」と、必要のないひとに売っていいのかという「良心」と、営業はどう折り合いをつけるのがいいだろう。

スライド13


正直、生徒からは働くということの印象が薄いため、「なんだ?この内容」と感じてそうな生徒もおりました…。
ですが中には、営業ってどんなものなのか興味のある生徒、しっかりと思想を理解し活用する生徒もおりました。


最後に(パワーポイント無料配布)

このスライドはパワーポイントで作成しています。
基本字体:マメロン
※同じデザインで使用する際には、字体のダウンロードが必要な場合があります。(字体のダウンロードはこちら)

パワーポイントのダウウンロードはこちら
※いいね下さると励みになります!


お問い合わせはこちら

ここの分野のまとめが欲しい!
この分野の授業を考えてほしい!
という依頼はこちらからお願いします。
※もちろんコメントからでも大丈夫です!


この記事が参加している募集

#スキしてみて

526,895件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?