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ウルトラジャパンとチンピラ


眼前で、おっぱいがエレクトリックな音楽に合わせて揺れている。鷲掴みにしたい衝動に駆られ、人波に流される。下に手を伸ばすと肉厚なケツが、ある。暫く流れに合わせて揉み揉みする。なんだか肉厚すぎる。上を仰ぐ。醜女じゃないか。頭痛がしてきたので、売店でホットドッグを買うと、ギャルのお姉さんが笑顔で、ウォッカを渡してきた。おかしいことはない。ここはクラブフェスだ。頭がおかしい連中しか来ないのだろう。そういえば、入場の時に友達がいた。彼はどこへ行った?無我夢中で、横の見知らぬパリピと肩を組んで、飛び跳ねていたら見失った。
流石に疲れた。10時ごろから入場して、休みなしで、夕方まで踊り疲れた。汗でビショビショだったので、肩が当たったビキニ姿のギャルもドン引き。
くたびれてベンチに座っていたら、さっきまで寝そべっていたパリピが半狂乱になって会場まで駆け、周囲も騒ついている。
「次はナカダヤスタカ!!」
さっきまで英語で話していた外国人の進行が、ぎこちなく日本語で紹介していた。気になったのでスマホで調べてみると、きゃりーぱみゅぱみゅやパフュームの作曲をしている有名なDJらしい。パフュームの生みの親は掟ポルシェじゃないのか!起きてポルシェ!起きてポルシェ!
人がまばらだったので、難なく最前列まで行けた。ラッキーとほくそ笑んでいるとパフォーマンスが始まった。タイムテーブルを見るとショーは一時間半行い、次はアフロジャック、ゼッドという一流DJの流れだった。ナカダヤスタカのショーが終わって、遠くで見ようと思ったら、満員電車状態で身動きが取れなかった。
「痛い痛い!」悲鳴が聞こえた。
「助けてください!」
どうやらカップルのようだ。
悲鳴を度外視に男たちはブツクサ言っている。係員が駆け寄ってきて、手際良く女を引っ張り出して場外に逃げさせた。
気づいてみると周りは男しかいない。このノリで、ケツを触ろうにも、男じゃあまり意味がない。
「Next!Afrojack!」
ショーが始まった。序盤は、EDMとは掛け離れた優しい曲を流していたのだが、ノリノリになってきて、バウンスと呼ばれるサビの前で一番盛り上がり体が踊り出してしまうところがあるのだが、それを連発に入れてきて、我慢できず俺は人目も気にせず、飛び跳ねてしまった。これがまずかった。横で押されると罵言を叫んでいたチンピラが逆上して俺の胸ぐらを掴んできた。
「おいてめえ!」
「なんだよ!」
「飛び跳ねんじゃねえ!」
「飛び跳ねちゃいけねえのか!」
「おう!そうだ!これで(ハイボールの瓶)で殴るぞ!」
「あぁ!殴ってみろ!オラやれや!」
周囲が止めに入ってきた。
俺はここで状況を飲み込むことができた。
「すみません。」笑いながら謝ると
「あぁ!何笑ってんだよ!真面目に謝れや!」
「すみません!」相変わらず笑いながら謝る
癇癪玉が破裂したらしく、ハイボール瓶を投げてきた。流石に迷惑になっているので、俺は雑踏に紛れ逃げた。彼は、警備員に連れられショボくれて会場を後にしていた。
彼の退場を祝いして雨が降ってきた。それもただの雨ではない、ゲリラ豪雨だ。周囲のパリピは、フェスどころではなく、雨で身を守ることに必死で、ノリノリの曲が、会場に寂しく響いていた。
それから一時間ほど豪雨は降り続き気づいたらフェスは終わっていた。足元を見ると泥水が、膝まで浸水していた。インフラ整備が整っていないせいで、プール状態。もはや、ナイトプールパシャパシャ。

写真は、DJが一人寂しく無観客のブースで音楽を流している悲しい一枚です。

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