【読書】〜旅をする木〜を読んで
写真家の星野道夫さんが、アラスカの地に魅了され、写真家として活動する
話が書かれているエッセイ本。
彼のアラスカでの生活が中心で描かれており、思い出や彼の見た景色を文字にして私達に伝えようとしているのが分かる。そして、これを読んで、僕はこのアラスカという土地が気になって仕方ない。
今でこそ、日本の外の国である、海外はそんなに遠いところではない。
飛行機のチケットを取り、旅行として様々な国に行く事が特別珍しいことではなくなっている。
彼が海外に興味に持ったのはそんな時代ではない。まだまだ異国の地に行くことは特別なことであった。
それでも彼は父親を味方につけて、単身でアメリカに降り立つ。まだ高校生の時である。
行動力がこの頃から凄かった。そして26歳の時、アラスカへ降り立ち、その後、18年間をそこで過ごす。
彼が人生の半分近くをアラスカで過ごすことに決めさせたものは何であったのか。
星野道夫のアラスカでの日々
この本を読み進めていくと、彼の出会った人々や、見た景色はとても特別なものであり、
私達が生きる、この地球に今もまさしく残っていることを教えてくれる。
何日にも渡ってカリブーの群れを追いかける。冬眠中の熊の巣穴に潜る。セスナに乗って大自然に飛び込む。くじらの群れを追う。狼の足跡をたどる。
一つ一つの彼の話は、文字だけとは思えないほど、その景色が見える。
実際に大自然に身を委ね、何日もその身を危険に晒しながら経験したことだから、ここまで文字を映像化できるほど細かく書き記せるのだろうと思った。
そして、彼と出会う様々な人々も描かれており、全員が彼に心を開いていて、皆が彼のことを好きであることが分かる。
これはアラスカの地を、大自然をこよなく愛する彼だから、その土地の人達も
ついつい彼のことが気になってしまうのだろう。
ワスレナグサの佇まいを見て、慌ただしく過ぎていく我々人間の毎日と並行して、何も生み出すことがない、ただ過ぎていく時間も並行して流れている。と、彼は表現する。
時間は、様々なものに対して平等であり、それは今、まさに同じ時間の中で過ぎている。世界は自分以外にもたくさんのことが関わって動いているということが分かる。
まとめ
世界は広い。
誰もが知っているこの常識に、改めて気付かされた。
今、僕がこうやってこの本の感想を書いている間も、世界は並行して動いている。
どこかで、カリブーが群れをなして大移動をしている。くじらが大海原を優雅に泳いでいる。
彼の見た、日常とは離れた自然の景色は、間違いなくこの地球のものであり、我々人間と同じ時間を過ごしている。
いつか見てみたい。アラスカの地に、この地球に、確かにある生命と自然が生み出す時間を。
そんな作品
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