だから面白いんじゃないか
陸上自衛隊の「レンジャー」になるためのレンジャー訓練に密着取材した動画を観た。3ヶ月におよぶ訓練で、その厳しさゆえに脱落する人も多い。
たまたまYouTubeのおすすめに出てきた動画だったが、とても興味深く観ることになったのは、レンジャー訓練の内容もさることながら、そのモチベーションがより気になってのことだった。
動画は「家族や同期の支えにより厳しい訓練を乗り越えることができた」といった、“よくある、当たり障りのない”締め方をしていたが、メンバーの本当のモチベーションについては、正直この動画だけだとわからなかった。なぜメンバーは、これほどまで過酷な訓練に志願するのだろうか。
私個人としてはレンジャー訓練を受けなくていい人生を歩みたいと心の底から感じたが、不思議と訓練する姿には共感するところがあった。
それは人生というのはどうあれ訓練や修行である、という考えからきているのかもしれない。基本的には楽な人生というのはありそうでなくて、皆それぞれ何らかの苦労を背負い込みながら日々生活しているのだろう。苦労の種類は様々だから、隣の芝が青く見えることもしばしばだが、もしかしたら私たちの修行のハードさは、その姿形こそ違えど、実は皆一様ということも考えられよう。
結局のところ、その修行をどのように捉えるか、ということになってくるのだろう。悲観的に捉えようと思えば、いくらでも“悲劇の主人公”になれるし、楽しむことだって、ちょっとした心がけで可能になってくるはずだ。
今までの私は物事を悲観的に見る傾向にあったし、それもまだ完全には払拭できていないものの、ここ最近はなるべくポジティブな心持ちで日々過ごそうと考えている。そうしないと、こんなにトラブルだらけの中、ひとりでブランド運営なんかできない。
それでも、どうしても落ち込むことがある。特にここ最近、予期せぬトラブルが多々あり（それは引き続いているのだが）、今朝も私はガッカリしながらミーティングに向かった。
夜の予定に向かう途中も、朝の落ち込みを引きずっていた私は、その悩みについてグルグル考え続けていた。
小田急線からJRに乗り換える改札の前、頭の中によく知らないおじさんの姿が浮かんだ。そのおじさんは、大きな口をいっぱいに開けて、私にこう言い放った。
「だから面白いんじゃないか！」
私に日々降りかかる大小様々なトラブルは、どれもこれも修行の一貫でしかなく、それは私の捉え方ひとつで楽しくも辛くもなる。レンジャー訓練に比べれば肉体的な辛さはほとんどないし、修行中に何もなかったらそんなにつまらないものはない。色々あってこその修行なのだ、楽しめボケナス！という主旨だと理解した。
妙な説得力があった。改札を通過する時、私は少しだけ晴れやかな気持ちになっていた。
だから面白いんじゃないか、か…
夜は高校の後輩とその奥さんと一緒に夕飯だった。昨年歯医者を開業した彼から、歯医者のリアルを聞くことができたが、思いの外大変そうだった。苦労して大学を卒業して、下積みののちに借金抱えて開業しても、楽ではないのだ。
きっと彼も修行の身なのだろう。それを楽しめているのかどうかまではあえて聞かなかったが。
私は今、その夕飯の帰り道でこの文章を書いている。もうすぐ深夜0時。今夜はやり残した仕事がある。明日は朝7時半ごろに家を出なければならない。
どんなことがあろうと毎日性懲りも無くnoteを書き続けるのも、いってしまえば修行であろう。毎日投稿をはじめて5年目に突入した今でも、今日のように正直しんどい日もあるが、「だから面白いんじゃないか！」の声を励みに、これからも書き続けていこうと思う。
そして、人生というのは修行なのだから、大変なことがあって至極当然であり、それを楽しめた者こそが強い、ということは、忘れずにしっかりと胸に刻んでおこう。おじさんの言葉、信じてみようと思う。
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