ヘアオイル、出します。
ブランドを立ち上げた時は4種類の香水しか商品がなかった。それらを店頭に立って紹介していると、「この香りの○○があったらいいんだけどな」という声をよく耳にした。
そのようにしてお香やシャンプー・トリートメント、そしてハンドクリームを製作していった訳だが、実は一番要望の多かったものをずっと製品化できていなかった。
それが、ようやく完成に至った。
ヘア・ボディオイル、作りました。香りはもちろん「3-17 早蕨」。
10月15日から開催される新宿伊勢丹「サロン ド パルファン」にて先行発売する。その後10月25日から全国の取扱店で順次発売予定。
軽いテクスチャのピュアオイルで、髪だけでなく肌にも使用可能。内容量は50mlで、税込価格3,850円。
ヘア・ボディオイル(以下「ヘアオイル」)を望む声が大きかったにもかかわらず、それを製品化できていなかった理由は大きくふたつある。
ひとつは、私の中で「いいヘアオイル」をうまく定義付けできていなかった、というもの。
そもそもブランドローンチ時の私はヘアオイルなんて使用したことがなかったので、それを望まれたとて正直ピンときていなかった。そこから自分であれこれ買って試したり、早いタイミングでOEMメーカーに製品化の相談をしたことで、少しずつヘアオイルに対しての解像度を上げていった。
ヘアオイルの難しさのひとつは、使う人によって好みがバラバラであるということ。シリコン等の鉱物油が入ったサラッとした使用感を好む人もいれば、スタイリング用に重めのテクスチャを求める人もいる。どちらが正解というわけでもないし、トレンドもある。
よって、ヘアオイルを作るプロセスにおいてまず最初に決めなければならないのは、シリコン等を入れるか、ピュアオイルにするか、である。一般的には前者は先述の通り軽いテクスチャとなり、後者は重くなる。また、前者は髪への使用のみを想定することとなるが、後者は肌にも使うことができる。
シリコン入りのオイル、ピュアオイル、それぞれさまざまな処方で試してみた上で、最終的にピュアオイルの中でも軽さのあるテクスチャのあたりにちょうどいい塩梅を見つけることができた。
また、私たちの製作の中ではあまり問題とはならなかったが、市販のヘアオイルを使っていく中で、髪につけてしばらくすると油が酸化したような臭いを放つものがいくつかあることに気づいた。そういった臭いになりやすいオイルの使用や、香料との相性によってそうなってしまうものと思料する。なので、香水と同様、使用後の時間変化にも注意を払いながら試作を進めていった。
製品化が遅れたもうひとつの理由は、原料価格の高騰だ。
一昨年のことだと記憶しているが、OEMメーカーと試作を進めている途中で、メーカー側から、原料価格が急騰しきちんとした価格で商品が作れない、という申し入れがあった。それによって1年ちょっとの間プロジェクトがストップすることとなってしまった。さらに、原料価格が安定した後も、プロジェクトがストップしていたこともあり改めて一から試作を作り直していたので、追加で時間がかかってしまったのだ。結果として、プロジェクトの開始から3年以上が経ってのローンチとなった。
細々とだがものづくりに携わっていると、世の中のさまざまなものが“普通の値段”で買えることに驚きを覚える。今回のように、原材料が急騰することによって、製品化すらできなくなってしまうケースもあるし、場合によっては使っていた原材料が採取できなくなる、なんてこともある。çanomaにおいてもしばしば欠品が出て方々に迷惑をかけているが、実はあれこれの事情があるのだ。
今回はOEMメーカーからの誘いもあり、製造現場の立ち合いをさせてもらった。想像以上に多くの人が製造ラインに携わっていることを知り、自分が覚えず大きなことをやっていることに、少し恐怖が伴いながらも、身の引き締まる思いがした。
「見せ方」や「売り方」といった言葉が飛び交う今日だが、いつの時代においてもメーカーのやるべきことは、1にも2にも、「いいものを作る」ことだと私は思う。それは簡単なことではなく、結果的には失敗してしまうことも多々あるが、はなからそれを目指すことなく行われるものづくりは間違っているはずだ。
このヘアオイルは、「いいものを作りたい」という私たちの気持ちと共に作られた。ぜひ一度、店頭で手に取っていただけたら嬉しいです。
繰り返しになるが、新宿伊勢丹「サロン ド パルファン」で10月15日から先行発売、オンライン含めその他のお店では10月25日より順次発売予定。
試してみてね。
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