Yuta Watanabe

フレグランスブランドçanoma(サノマ)クリエーター。 辛より甘、冬より夏、犬より猫…

Yuta Watanabe

フレグランスブランドçanoma(サノマ)クリエーター。 辛より甘、冬より夏、犬より猫が好き。 https://canoma-parfum.com/ https://www.instagram.com/canoma_parfum/?hl=ja

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言葉の刃物

もう25年以上も前のことだが、今でも折に触れて思い出される出来事がある。それは私の人生における「後悔」の一番最初の記憶であり、また今までで一番頻繁に思い返された事でもある。 その一方で、私はこの出来事について今まで誰かに語ったことは一度もないし、3年以上毎日書き続けているこのnoteでもそれについて触れてこなかった。なぜそうしなかったのかと問われると、ひとつはそれが他人にとっては取るに足らない出来事であろうと思われたからであるが、それにも増して、それを語ることが私にはとても

    • 駅の裏側

      駅には表と裏がある、とふと思った。 大阪での用事を終え、17時の新幹線で名古屋に向かった。寒い雨の大阪をあちこち回ったからだろうか、ひどく疲れていたようで、50分ほどしかない道中のほとんどでかなり深い眠りに落ちていた。 名古屋で下車した際は大阪よりもさらに肌寒く感じた。プラットホームでは私と同じ感想を抱いた人々が「わ、寒い!」と口にしながら改札階に通じるエスカレーターまで足早に向かっていた。 ホテルの場所を調べると、駅から北西の方角にあった。太閤通口から出て雨がぱらつく

      • ハッとさせられたこと

        それは不思議な食事会だった。 私がハマっているとある媒体でほぼ毎日のようにお顔を拝見している方と飲みに行くことになった。その人はいつも画面越しに見ている通りの朗らかさとほんの少しのおとぼけを兼ね備えた、素敵な方だった。 それだけでも私にとっては十分に思いがけないことなのに、その上その方はその方で、なんと私のnoteを読んでくれているとのことだった。あと10日ほどで連続投稿を4年間継続したことになるが、こうも性懲りも無く続けていると誰にどういう形で読まれているかわからないも

        • 「生き物」である自分

          トレイルランニングに関する記事はどうやらあまり人気がないようだ。前回の日光は中禅寺湖でのトレイルランニングの記事は他の記事に比べてもスキ数が少なく、その人気のなさを如実に物語っている。 が、そんな中でも性懲りも無くトレイルランニングに関する記事を書こうと思う。といっても、今回の本題はトレイルランニングを通して感じたことだ。 なぜわざわざトレイルランニングなんかをするかと思われる方も多いだろう。私に関しては主に3つの理由がある。 1つ目は、単純に走るのが好きだということ。

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        言葉の刃物

          #fujifilmxt30

          一番最初に使った本格的なカメラは、オリンパスの「OM-1」というフィルムカメラだった。オリンパスでエンジニアをしていた父から譲り受けたものだった。もう10年以上も前の話だ。 50mmの単焦点レンズとともに暇を見つけては写真を撮りにいった。イギリス、フランスにも同行してくれた。 そもそも古いカメラだったので、ところどころ不具合があったのと、好んで使っていたフィルムが製造されなくなったことをきっかけに、泣く泣くデジタルカメラに移行したのは、私がフランスに行く直前、2015年の

          #fujifilmxt30

          接客っていいな

          この週末は新宿ルミネ1のイデーでのポップアップにて店頭接客をした。 久しぶりの大きな館の店頭だったような気がした。いつぶりだろう。実は今年に入って初めてかもしれない。 土曜日は10時からインスタライブを行い(アーカイブはこちら。なんだか再生回数が伸びていてびっくり…!)、お昼から夕方まで店頭にいた。いつもよりかは短い時間だったにもかかわらず途中ですぐに足が痛くなってしまったのは、“店頭接客筋”が衰えている証拠だろう。 前回のnoteにも書いたが、アシスタントが退職の意向

          接客っていいな

          çanomaアシスタント募集

          久しぶりにブランドに関する告知になるが、あまりにも久々すぎてどう書けばいいのか迷ってしまっている。事務的になりすぎないように、かつ情緒的になりすぎないように書くにはどうしたらいいのだろう? 表題の通り、çanomaではアシスタントを募集しています。 業務内容は多岐にわたっています。いくつか挙げてみると、領収書の整理、注文の受注処理、ホームページ管理、新商品の企画開発、ポップアップ時の店頭接客…細々としたことから、クリエイティブなことまで、あれこれ。 私がなるだけ香り制作

          çanomaアシスタント募集

          フォームポジット同盟

          デザイナーの友人たちを中心とした集まりは想像通りあっという間に私たちを夜更けまで運んだ。解散したのは夜11時半過ぎ。徒歩圏内に住んでいた私は、名残惜しい気持ちと共に他の人たちの反対方向に歩き出した。 普段は11時前には寝ていることの多い私は、強い眠気を抱えながら夜の渋谷のはずれをいそいそと歩いて家に向かった。昼間はあんなに暑かったのに、その時間になると長袖のシャツ一枚では肌寒かった。 奥渋のあたりの飲み屋はまだ多くの人で賑わっていた。彼ら彼女らは近隣に住んでいるのだろうか

          フォームポジット同盟

          心のつながりを求めるタイプ

          「そのフレンチプレス、私が昨日貸したんだよ。忘れちゃった?」 キノシタサキは笑いながら私にそう告げる。そうか、これはキノシタサキのものだったんだ。彼女から借りた記憶は残念ながら私には欠片すら残っていなかったが、彼女にそういわれると、そんな気がしてならない。 今朝も“アイドルの卵”みたいな若い女の子(実際にその子たちはアイドルの卵なのだが)たちが我が家に出勤してくる。私はそんな若い子たちがどうにも苦手で、軽く挨拶を済ますとそそくさと自分の部屋に逃げ込む。 6畳ほどの私の部

          心のつながりを求めるタイプ

          でぃれくしょんといふものを、してみむとて

          あれはかれこれ一年ほど前のことだったと思う。 東京駅構内にある「IDÉE TOKYO」でのポップアップの後に、IDÉEの方から「çanomaと共同でIDÉEオリジナルのディフューザーを作りたい」という話が出た。 私としては大変興味があったが、ひとつ制約条件が。それは、とある日本の香料メーカーと一緒に香りの制作をしなければならない、というもの。つまり、çanomaの香りを手がけている調香師Jean-Michel Duriez氏を起用できない。 çanomaというブランドは

          でぃれくしょんといふものを、してみむとて

          中禅寺湖一周ラン(下) 「いろはにほへとあいうえお」編

          (前回はこちら) 中禅寺湖一周トレイルランニング、前回は最大の難関である「③ 阿世潟」から「④ 千手ヶ浜」について書いた。 前回同様、地名については下の地図を参考にしながら読んでいただきたい。 中禅寺湖案内 「④ 千手ヶ浜」から「⑤ 菖蒲ヶ浜」千手ヶ浜に到着した。浜辺には中年カップルが一組がいた。人を見たのがひどく久しぶりのことに思えた。 舗装された車道も久しぶりに見たような気がする。ほんの数時間しか自然の中にいなかったのにこんなふうに思えるということは、私がいかに

          中禅寺湖一周ラン(下) 「いろはにほへとあいうえお」編

          中禅寺湖一周ラン(中) 「ふたつの死」編

          (前回はこちら) 中禅寺湖一周トレイルランニングの記事、前回はホテルから寿司屋までで終わった。まだ“トレイル”にすら入っていない。 またこちらの地図を見ながら、なんとなく位置関係を把握しながら読んでいただきたい。 中禅寺湖案内 · 「② 鮨くろさき」から「③ 阿世潟」まで寿司屋を出て走り出す前、コーヒーが飲みたくなった。時計は12時半を指していた。 ここから先の道が長く険しいことは重々承知していたので、カフェでゆっくり、という気分にはなれなかった。自動販売機でジョー

          中禅寺湖一周ラン(中) 「ふたつの死」編

          中禅寺湖一周ラン(上) 「スシ食いねェ!」編

          夕食のデザートで出た、ガトーショコラとイチゴアイスを同時に口に入れると、お菓子のアポロの味がするなぁ…などとくだらないことを考えながら、私はその日一日のことを思い出していた。 私は今、日光は中禅寺湖のほとりにある「中禅寺金谷ホテル」のディナーの席でこの文章を綴りはじめた。ひとつ前の記事で、「どこかに行く」ということだけは告知していたが、日光に行くことにしたのだ。 自然に触れられて、身体が動かせて、そこまで人が多くないところ…で思いついたのが日光だった。なんだかんだで今回で

          中禅寺湖一周ラン(上) 「スシ食いねェ!」編

          純粋な旅行

          今は4月20日土曜の朝5時前。今朝もいつも通り4時半に起床した。 昨日金曜日はあらゆる予定が押しに押して、帰宅したのが夜11時半を回ってしまった。そこからあれこれして、就寝は深夜0時半。いつも早朝に投稿しているnoteも昨日は夜のうちに投稿した。 私が今いつになく興奮しているのは、寝不足だけが理由ではない。 私はこれから、旅行に出る。昨晩帰宅後早々に寝なかったのは、パッキングをしていたからだ。 仕事の用事がない旅行なんて、いつぶりだろうか… 今年のあたまに、こんな記

          純粋な旅行

          適切なカードの色は?

          数日前からオフィスの固定電話に着信が入る頻度が上がったように感じていた。出てみると今まで私の携帯電話に直接かけてくる人が、なぜかオフィスの電話を鳴らしているのだ。 その理由がわかったのは、そう感じ始めた2日後、レストランの予約をするために携帯から電話をかけようとした時だった。「発信中」という画面にはなるものの、一向に電話の呼び出し音が聞こえない。インターネットは使えるので料金未払いではなさそうだ。あれこれ調べてみたが原因不明だったので、とりあえずソフトバンクのお店に出向いて

          適切なカードの色は?

          ご褒美と成長

          アパレルブランドのデザイナーをしている友人と話していた時、彼の口からこんな主旨の発言が出た。 「自分にとっては、シーズンルックの撮影は“ご褒美”みたいなもの。一生懸命作った服が、どうやったらよりよく見えるかを、他の人たちが考えながら撮影をしてくれるのが嬉しい。自分のために頑張ってくれている姿を見るだけで涙が出そうになる」 シーズンルックとは、新商品をリリースする際に、モデルにその服を着せてブランドの世界観を複数の写真で表現したもののことを指す。彼の場合は春夏と秋冬で年2回

          ご褒美と成長