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第15回:たった一人を熱狂させる/アートとデザイン

こんにちは、株式会社TO YOUの岩下です。

第1回から第4回で「たった一人を熱狂させる」という弊社コンセプトと渋谷・神泉で営業しているセレクトショップR for Dにどう落とし込んでいったのか、という全体像をお話してきました。

第1回:たった一人を熱狂させる
第2回:たった一人を熱狂させる/R for Dの場合
第3回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(前編)
第4回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(後編)

第5回目では私の自己紹介もしましたので、第6回以降はもう少しディテールに注目してミクロに切り分けたテーマを取り扱っていきたいと思います。
テーマ設定は気まぐれです。

せっかくなので続けたいなと思っていますが、どこまで持つのか。
毎日1つ文章を書くことを続けるというのは結構大変なことなのだと毎日感じます。でもやっぱり反応をいただけると頑張れる気がするので、ぜひスキやフォローなどお願いします。

第15回のテーマは「アートとデザイン」です。

デザイナーでもアーティストでもない私がこの話をするのはちょっと気が引けるところもありますが、やってみたいと思います。

まず言葉の使い分けですが、私の整理では

◼️アート
アートとは自己表現のこと。

◼️デザイン
デザインとは問題解決のこと。

としています。

なので、実際にはデザイナーにも個性があってアート要素はあるし、アーティストも観た人の行動の変化を意図しているならデザイン要素もあったりと必ずしも完全に別のものというわけではありません。

むしろアート思考とデザイン思考という意味では両方必要なのではないでしょうか。

「私はこれがやりたい」という熱狂や目的、何を問題と考えるかがアートであり、「これをやるためにはこうするのが理にかなっている」という戦略や解決策、その実行がデザインであると言っても良いと思います。第1回でお話しした冷静と情熱の話に通じるところがありそうです。

最近Netflixで「天才の頭の中」というビル・ゲイツのドキュメンタリー映像を観ました。

彼はポリオを撲滅したいと決意し(アート)、そのためには水を綺麗にする必要がある、特に糞尿を川に垂れ流しているのが衛生上の大問題だが先進国と同じやり方で下水処理施設を作るにはコストがかかりすぎて実現が難しい。それでは低コストで同様の機能を提供できないだろうかと考えて、世界中の研究者を巻き込んでアイディアを募り、研究をしました。

数年後には実際に糞尿を燃やして処理し、蒸発した水分でタービンを回して発電し、電力を自給して糞尿を処理すると同時に飲める水まで副産物で生産する処理施設を実用レベルで完成させています(デザイン)。

この例でいうと、彼の決意は必ずしもポリオの撲滅でなくてもよかったはずで(病気だけでも他にいくらでも問題はある)、それについて取り組むという判断は、固有の経験や思い、価値観に左右されるもので誰にとっても同じ判断にはならないという意味で一種の自己表現、アートに該当すると思います。

実際に作った処理施設のデザインにしても、ただ糞尿を処理するにとどまらず、電力を自給してついでに飲料水まで作ってしまう(ビル・ゲイツも試飲していました)という期待をはるかに超えた仕上がりです。あまりに鮮やかなデザインでリアリティがないほどで、フィクションの映画を観ている気分でした。

改めて整理すると

◼️アート
アートとは自己表現のこと。
What is a problem?(問題は何か?)と考えて意思表示するのがアート。

◼️デザイン
デザインとは問題解決のこと。
How can I solve a problem?(問題をどうやって解決できるか?)と考えて解決方法を提示するのがデザイン。

そういう風に捉えています。

ポイントは私にとってアートの本質はWhatであってWhyではないということでしょうか。なぜそれが問題か、というのは相手を説得したり人を巻き込むためには伝えたほうがいいかもしれませんが、理由はともあれWhatがあればよく、Whyは後からついてくるオプションではないかと考えています。家族がある病気で命を落としたから、という動機でその病気の治療法を研究するのは賛成で、その病気が世界で年間10人しか罹らない病気だったとしても、他にもっと深刻な病気があるとしても、その意思を合理的でないとか他にもっと重要なことがあるとかとやかく言うことはできないなと思っています。

ひとまずアートとして認めよう。ただこれも寛容なようで、冷酷な面もあります。私やあなたの想像力の範囲が如実にわかってしまう、ということでもあるからです。だから私もせいぜい想像力を日夜拡張しようとあらゆる情報を摂取しては考えます。

それにアートとしては認めるとしても、もちろんその後デザインとしてどうなのか、という検討はすべきです。あなたが病気の治療法を確立したいならなおさらです。

ちなみにもともと英語での「design」は日本語のちょっとキラキラした「デザイン」というイメージよりは「設計する」という意味合いの方がしっくりくるでしょう。

アートは特別な一部の人のもの、デザインもファッションデザイナーやプロダクトデザイナー、Webデザイナーなどの専門家がやる仕事という印象があるかもしれませんが、アートやデザインというのはもっと広い意味で何が問題かを問うことであり、問題解決のため仕組みを設計することであると私は考えています。

R for Dもファッションショーができるセレクトショップを作りたいという強い思いから始まり、それを実現するためにどうすれば良いのかを考え抜いてビジネスモデルを設計しています。

目には見えにくい人事制度の設計、タスクの標準化や効率化であっても私はデザインだと考えてやりますし、基本的に仕事をするときには美しいデザインと言えるかどうか、を常に気にしています。

この時の美しいかどうかの判断基準は問題を本質的な形で、論理的に解決する仕組みになっているかどうか、であって、見た目が綺麗とかそういうことだけではありません。ものによっては見た目も重要だったりするので、それも含めて、どこに重心を置くのか。

答えがある問いかどうかもわかりませんが、それは私にとってとても魅力的な問いです。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

株式会社TO YOUでは、それぞれの「たった一人を熱狂させる」を実現したいビジネスパートナーを募集しています。
ファッション業界でも、そうでなくても、どちらでも大丈夫です。
私たちはより多くの人が熱狂を形にできる社会がいい社会であると考えています。

あなたの熱狂を私たちに教えてください。そして一緒に実行しましょう。
反対の場合もあるかもしれません。
ビジネスのバックグラウンドがあるあなたであれば、そこでどんな熱狂を起こせるのか、私たちにも一緒に考えさせてください。

ご興味をお持ちいただけたら、Twitterのフォロー、DMやメールでのご連絡もお気軽にお願いします。

Twitter: @Iwashitayusuke

Mail: iwashita@deedfashion.com

第1回:たった一人を熱狂させる
第2回:たった一人を熱狂させる/R for Dの場合
第3回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(前編)
第4回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(後編)






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