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第4回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(後編)

こんにちは、株式会社TO YOUの岩下です。
株式会社TO YOUは、「たった一人を熱狂させる」をコンセプトに、渋谷・神泉で最旬の国内デザイナーズブランドを中心に取り扱うセレクトショップR for DやファッションメディアDEED FASHIONを運営しています。

ゆるっと脱力感漂うTO YOUという会社名には、一直線に「あなた」を熱狂させるんだという思いのほか熱量高めのメッセージが込められています。

「たった一人を熱狂させる」
「たった一人を熱狂させる」
「たった一人を熱狂させる」

覚えていただけたでしょうか。

第1回:たった一人を熱狂させる
第2回:たった一人を熱狂させる/R for Dの場合
第3回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(前編)
第4回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(後編)

今回は4回目の投稿です。

前編では5つの課題と2つの解決策を示し、解決策の一つであるレントシェア型のビジネスモデルについてみていきました。

今回は2つ目の解決策である

◼️無段階レイアウトを可能にした内装設計

についてみていくことにしましょう。

まずはR for Dプロジェクトの5つの課題と2つの解決先についておさらいからはじめます。

5つの課題
◼️資金は限られている
自己資金は300万円しかありません。
これだけでは当然足りないので、資金調達を検討しますが、最も切実な課題です。
とはいえ300万円でも300億円でも、いかに上手にお金を使ってそれ以上の価値を表現するか、というのがビジネスの基本であることは変わりません。

◼️ファッションショーができるお店にしたい
ファッションショーをするためにはそれなりに広いスペースが必要です。
店舗として都合の良いレイアウトとファッションショーを開催するためのレイアウトは大きく異なります。
そのためフレキシブルにレイアウトを変更できるアイディアが必要でした。
それなりに広いスペースの内装工事にもそれなりに費用がかかることでしょう。
私たちが見つけた200平米の物件でまともにやれば初期投資で内装工事に3,000万円以上かかる可能性も十分ありそうです。

◼️デザイナーを巻き込みたい
セレクトショップにとっての利害関係者として最も重要なのは、買い手であるお客さんと売り手であるデザイナー(ブランド)です。
ファッション好きが集まるお店としてお客さんとデザイナーのコミュニケーションが増えることはお互いにとって良い刺激となるはずです。
また特に若いデザイナーにとって販売チャネルを複数持つこと、販路を開拓すること、そして売上と利益を増やすことはブランドを成長させるための大きな課題でした。

◼️通常のビジネスモデル
通常は年2回の展示会でオーダー、後日納品されたアイテムを買い取り、店頭に並べて販売します。
もしこの方法を採用していたら、商品を揃えるだけでも2,000万円以上の資金が最初に必要だったかもしれません。

◼️取り扱いたい商品は個性的な洋服
私たちは、国内ブランドを中心に次のファッションシーンを作っていける可能性を感じる洋服を販売したいのです。
そういった洋服が最初からバンバン売れる性質のものでないことは、私たちも十分理解していました。
そのためまずは知ってもらうところから、じっくり売上が成長していくまでの時間を稼ぐ必要があります。
これは私たちにとっても、そこに参加するデザイナーにとっても非常に重要なことです。

2つの解決策
◼️レントシェア型のビジネスモデル
◼️無段階レイアウトを可能にした内装設計

それでは、

◼️無段階レイアウトを可能にした内装設計

を見ていくことにしましょう。

内装設計の検討は、建築家チームを交え繰り返し議論を重ねていきながら進められました。

予算が限られる中で、フレキシブルにレイアウト変更ができる内装を作り上げることが課題です。
いくつもいくつも内装提案の模型を作っていただき、集まって議論しては途方にくれてばかりでした。
見積もりを取る前からどう考えても私たちの予算感からは大きく外れるのがわかってしまうからです。
その上予算の制約がなかったとしてフレキシブルなレイアウトだけを考えても、しっくりとくるシステムはなかなか思いつくことができませんでした。

そこでどうしたのか。
先に結論を言ってしまうと、R for Dでは工事現場で使われる単管という建築資材をメインに使いました。

これが大幅に内装工事の費用を節約できた理由は2つあります。

◼️建築資材なので価格が安く、強度も十分
◼️突っ張り棒と同じ原理なので、簡単に設置できる

まず原価が安いです。単管は1本2,000円程度でホームセンターにも売っています。
100本用意しても20万円で済んでしまいます。建築資材のため強度的にも申し分ありません(近藤は閉店後に懸垂したりしています)。

これと同じくらい影響が大きかったのは、専門的な工事が不要で、脚立とゴムハンマーがあれば自分たちでも設置ができるということです。
自分たちで動いて内装工事にかかる作業工数を減らし、人件費を抑えることができました。

そしてみなさんもうお気づきかもしれませんが、簡単に設置ができるのはお店がオープンしてからも変わりません。
必要に応じてレイアウト変更がいつでもできてしまいます。
これでとうとうファッションショーも現実味を帯びてきました。

実はこのアイディアを最初に言いだしたのは私だったのですが、完全に素人目線で突っ張り棒だったら自分たちでできそうなのに頑丈なやつないのかなぁと冗談混じりで話をしていたら、建築家チームがそれありますよと建築資材の単管を見せてくれました。

答えは意外なタイミングで見つかるものです。
これだ!とすぐにその場の全員が確信したのが伝わりました。
まさにチームの勝利。集合知を感じた瞬間でした。
二人三脚で一緒に悩んでくれた建築家チームの存在も非常に大きかったです。

建築に利用する資材というのも、見た目の無骨さも、新しいもの、熱狂が生まれていく場所というイメージでつながってR for Dで表現したいことと親和性が高かったという意味でも、本当にラッキーな出会いだったと感じています。

ついに2つの解決策で資金以外の4つの課題を克服することができました。
R for Dのプロジェクトでは、自己資金300万円だけでは足りないので融資により資金調達をしています。
区の制度融資なども活用しつつ必要な資金を借り入れましたが、第一印象で少なくとも5,000万円、運転資金も含めれば初期投資1億円でもおかしくないと予想していたことと比べると、非常に少ない資金調達で済ませることができました。

今の時代であれば、出資による資金調達も候補に上がるかもしれません。
ですが私たちは自分たちのビジネスモデルを落ち着いて眺め、出資よりも融資の方が適していると判断しました。
私たちにとって今回重要なことは一攫千金のチャンスや事業の拡大性ではなく、長く続けられることだったからです。

熱狂を形にするため、新しい事業を立ち上げるためには、なかなか表には出てこないドラマがあります。
そのドラマを作っていく現場にいられることは、私たちにとって大きな喜びです。
だから私たちはこれからも「たった一人を熱狂させる」ためにチャレンジを続けたいと考えています。

今回も長い文章を読んでいただき、どうもありがとうございました。

株式会社TO YOUでは、それぞれの「たった一人を熱狂させる」を実現したいビジネスパートナーを募集しています。
ファッション業界でも、そうでなくても、どちらでも大丈夫です。
私たちはより多くの人が熱狂を形にできる社会がいい社会であると考えています。

あなたの熱狂を私たちに教えてください。そして一緒に実行しましょう。
反対の場合もあるかもしれません。
ビジネスのバックグラウンドがあるあなたであれば、そこでどんな熱狂を起こせるのか、私たちにも一緒に考えさせてください。

ご興味をお持ちいただけたら、Twitterのフォロー、DMやメールでのご連絡もお気軽にお願いします。

Twitter: @Iwashitayusuke

Mail: iwashita@deedfashion.com

第1回:たった一人を熱狂させる
第2回:たった一人を熱狂させる/R for Dの場合
第3回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(前編)
第4回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(後編)


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