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第2回:たった一人を熱狂させる/R for Dの場合

こんにちは、株式会社TO YOUの岩下です。

株式会社TO YOUは、「たった一人を熱狂させる」をコンセプトに、渋谷・神泉で最旬の国内デザイナーズブランドを中心に取り扱うセレクトショップR for DやファッションメディアDEED FASHIONを運営しています。

ゆるっと脱力感漂うTO YOUという会社名には、一直線に「あなた」を熱狂させるんだという思いのほか熱量高めのメッセージが込められています。

「たった一人を熱狂させる」
「たった一人を熱狂させる」
「たった一人を熱狂させる」

覚えていただけたでしょうか。

前回は「たった一人を熱狂させる」というコンセプトについて思うことを書きました。

第1回:たった一人を熱狂させる
第2回:たった一人を熱狂させる/R for Dの場合
第3回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(前編)
第4回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(後編)


今回からは、株式会社らしからぬ感覚・感情に全振りしたこのコンセプトをいかに実現するのか、私たちはどんな思いでR for Dを構想したのか、そのために私たちが考えた戦略や戦術について、3回に分けてお話させていただきます。

感覚と論理、感性と理性が混じり合い、高め合い、例えばR for Dというセレクトショップが実際に今存在しているということは、この不安定な時代を楽しみながら生き抜くための方法として私たちなりに提示できたモデルなのではないかと感じています。


株式会社TO YOUは近藤と窪田、岩下の3人で立ち上げた会社です。
5LDKのバーベキューもできる屋上付きの家でルームシェアをしていた3人です。
私はそこでファッションに熱狂している近藤という男に出会いました。

ある日、リビングでビールを飲みながら彼は言います。

「今の時代にあった服屋を作りたい」

「ファッション好きが集まる場所を作りたい」

「店頭でファッションショーができる服屋を作りたい」

「試着室が広くて時間をかけて試着ができる服屋を作りたい」

「東京のストリートは世界一なのに、ファッション業界に勢いがない」

「いい服を作るデザイナーはたくさんいるのに、それを売る場所がない」


お酒を飲んで盛り上がっていると、夢みたいなことや現状に対する違和感や不満が口からするすると出てきます。

それはファッション業界でライターとして活動し、春夏、秋冬のシーズンごとに100以上のブランドを数年にわたり取材してきた近藤が肌で感じていたことでした。
当時会計の仕事をしていてファッション業界のことは外から眺めているだけだった私から見ても、その意見は当たっているような気がしていました。

ここまではよくある話かもしれません。
しかし私たちはそれをよくある話で終わらせるつもりはありませんでした。

どうやったらできるだろう?と本気で考え始めたのです。
お金は大してありませんでした。用意できる自己資金は300万円。

おそらく無茶だと思われるでしょう。
でもそれでもやりたかったのです。
しかも無茶ではない方法で。

だからやりました。
とはいうものの、始める前から課題は山積していました。

渋谷・神泉で見つけたワンフロア約200平米のかつては倉庫だった場所を改装して、服屋さんを始めようと決めました。
自己資金だけでは敷金すら払えなかったくらいの私たちにとってはとてつもなく広い物件です。

内装工事だって必要です。それがいくらくらいかかるのか、誰に頼めばいいのか、最初はさっぱりわかりませんでした。
その物件を大好きな洋服で埋め尽くすには、どれほどの在庫を抱える必要があるのでしょうか。
まだまだお金はかかりそうです。必要なお金はどうやって準備すればいいのでしょう。

そういった課題をなんとか乗り越え、2018年2月、セレクトショップR for Dはオープンします。

ものによっては世界で唯一、R for Dでしか手に入らないような個性的な洋服がずらりと並んでいます。

参加デザイナーも興味津々でお店の様子を見にきてくれるので、お客さんとデザイナーが話せる機会も豊富です。
美容師、スタイリスト、モデル、俳優、ダンサー、アーティスト、編集者、フォトグラファーなどクリエイティブなことに熱狂しているお客さん同士で自然と仲良くなってコラボレーションなんてことも起こります。

オープンからおよそ半年後、2018年の秋には本当に店頭でファッションショーをやりました。
什器だけでなく、照明も含め、ファッションショーの実行を前提に内装を設計していなければ難しいでしょう。
その内装設計は、どうやらテレビのロケ地としても都合が良いようです。

時には写真展などのギャラリースペースにもなる5畳ほどの試着室を作りました。
都心部でこれほどの空間を試着室のために取ることができる服屋はそうはないと思います。
友だちと一緒にわいわい試着するもよし、時にはママさんパパさんがベビーカーごと入っていただくこともある試着室です。
近所の方々も老若男女問わず興味津々でお店を覗いていただいています。

駅からは少し遠いですが、散歩が気持ちいい季節になりました。
ぜひ一度ご来店してみてください。

オープンして半年ほど経った頃、嬉しい知らせが届きました。
Time Out Tokyoの100 Best Shops in Tokyoに選ばれたのです。
なんとGinza Sixや伊勢丹新宿、Beams Japanよりも上位の10番目です。
東京都の平成26年商業統計調査報告小売業編によると、東京の小売店舗は全部で69,956もあるそうです。

まだまだ修正すべき点も課題もありますが、この文章を執筆している2019年9月時点で継続して営業をしています。
そのことだけでも、意外性があることかもしれません。
やりたかったことを本当に詰め込んだ、下手すれば2ヶ月くらいで潰れてしまいそうなお店が潰れないのはなぜなのか。


運はもちろん良かったのだと思いますが、運が良かっただけではありません。
ここにはクリエイティブな熱狂をビジネスとしても成り立たせるための工夫があります。
次回からそこかしこに隠した戦略や戦術をご紹介していきたいと思っています。

長い文章を読んでいただき、どうもありがとうございました。

株式会社TO YOUでは、それぞれの「たった一人を熱狂させる」を実現したいビジネスパートナーを募集しています。
ファッション業界でも、そうでなくても、どちらでも大丈夫です。
私たちはより多くの人が熱狂を形にできる社会がいい社会であると考えています。

あなたの熱狂を私たちに教えてください。そして一緒に実行しましょう。
反対の場合もあるかもしれません。
ビジネスのバックグラウンドがあるあなたであれば、そこでどんな熱狂を起こせるのか、私たちにも一緒に考えさせてください。

ご興味をお持ちいただけたら、Twitterのフォロー、DMやメールでのご連絡もお気軽にお願いします。

Twitter: @Iwashitayusuke

Mail: iwashita@deedfashion.com

第1回:たった一人を熱狂させる
第2回:たった一人を熱狂させる/R for Dの場合
第3回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(前編)
第4回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(後編)


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