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第16回:たった一人を熱狂させる/価値と価格

こんにちは、株式会社TO YOUの岩下です。

第1回から第4回で「たった一人を熱狂させる」という弊社コンセプトと渋谷・神泉で営業しているセレクトショップR for Dにどう落とし込んでいったのか、という全体像をお話してきました。

第1回:たった一人を熱狂させる
第2回:たった一人を熱狂させる/R for Dの場合
第3回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(前編)
第4回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(後編)

第5回目では私の自己紹介もしましたので、第6回以降はもう少しディテールに注目してミクロに切り分けたテーマを取り扱っていきたいと思います。
テーマ設定は気まぐれです。

せっかくなので続けたいなと思っていますが、どこまで持つのか。
毎日1つ文章を書くことを続けるというのは結構大変なことなのだと毎日感じます。でもやっぱり反応をいただけると頑張れる気がするので、ぜひスキやフォローなどお願いします。

第16回のテーマは「価値と価格」です。

価値はValueで価格はPrice。日本語だと似ていますが、英語にすると少し違う印象になるでしょうか。

マスターカードの「Priceless」というコピーは象徴的で、価格(Price)はつかない(つけられない)けれど価値(Value)がある、というメッセージです。価格じゃなくて価値で買い物しよう(価値あるものなら高いものでもマスターカードでガンガン買ってね)というメッセージです。

この価値と価格の関係、経済学の理論上どうなっているかというと、価値に基づいて価格が決定されるという関係です。価格が高いから価値があるのではありません。価値があるから価格が高いのです。

あまり経済学の前提のことを考える機会はないかもしれませんが、「ある財やサービスの価値」というのは不特定多数の経済合理的な個人が「それぞれ」独立に判断して決めているという前提があって、市場のメカニズムを通じて最適な価格が決定されます。

「それぞれ」というところが肝で、これはAさんにとってはりんごは300円でも買いたいものであり、Bさんにとってはりんごは100円なら買ってもいいものであり、Cさんにとってはりんごは200円で売りたいものであり、Dさんにとってはりんごは500円じゃなきゃ売りたくないものだということです。

各人がそれぞれ独立にりんごに価値をつけることにより、結果としてこの例ではAさんとCさんの組み合わせで200~300円のいずれかの価格で取引が成立します。

Bさんはりんごを買いませんし、Dさんはりんごを売りません。需要と供給が噛み合っていないから取引が発生しないのです。

こういうことをより多くのプレーヤーがいる市場で何度も繰り返し行うことにより(神の見えざる手により)、市場価格が決まっていきます。

経済学的には価値と価格はこのような関係です。原価も人件費も本当は関係がないところで決まるのが価格なのです。

特に大切なことは、価値は個人が「それぞれ」決めるんだということです。

ここまで下書きをして寝かせていたらちょうどいいタイミングでこんな記事が。
「それぞれ」の意味するところについて、ここから言いたかったこととほぼ同じことが書いてあり、おそらく西野さんの方が説明がわかりやすいので丸投げします。

要するに価値と価格は必ずしも比例しない。
ついでに言えば原価と価値も必ずしも比例しない。

これはブランド(メーカー)が意外と見落としがちな視点です。自分がいいと思った服を作っているからです。原価やそこにかけた手間がどのくらいかを知っているからです。

そこでよくあるパターンは、生地と縫製その他に10,000円の費用がかかっている洋服を8,000円では売れないなと考えます。売るほど損失が大きいのでそれは理解できます。それでだいたいは人件費や販管費も発生しているし、一般的な水準に合わせて30,000円にしようと決まります。
しかし本来それで終わってはいけないと思うのです。

価格を決定する前には、これ30,000円でお客さんは買いたいかな?またはこれを30,000円で買ってもらうためにはどんな工夫が必要だろう?ということを考えるべきなのだと思います。

ちょっと前に美大出身の友人と話していてこんな話になったことがあります。デザイナーはブランドに弱いのでは、という説です。

私自身はここまで説明してきたように、自分が買い物をするときにブランドというのが有力な判断項目ではなくて、どちらかと言えばシンプルにそのものを見て、その時にいくらだったら欲しいかな、と考えてから値札をみる、みたいな買い方をしていますが、そういえば知り合いのデザイナーがブランド好きなのはなんでだろうというという話になりました。

デザイナーはそのものの専門家で、圧倒的に情報力も分析力も私よりも優れていて、いわゆる目利き力があるのだから自分で選んだらいいのにどうしてブランドに頼るのか私には不思議だったのです。

その友人によると、デザイナー自身がブランド力で仕事を見つけていてその恩恵を大きく受けているから、ではないかと。

なるほど、そういうものなのか、と思いました。

そういうものかもしれません(私には実感がありません)。

でも一般の消費者は、あなたの洋服を買うかもしれないお客さまは、必ずしもそうではありません。そのことは忘れてはいけないように思います。

原価も、どんなに苦労して商品開発したかもほとんどのお客さまは知りません。それでも一目見て興味を持って、触って試着してみてこの価格なら欲しいと思ってもらえるかどうかが勝負です。

そのことを販売する私たちも、ブランド(メーカー)も、忘れてはいけないように思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

株式会社TO YOUでは、それぞれの「たった一人を熱狂させる」を実現したいビジネスパートナーを募集しています。
ファッション業界でも、そうでなくても、どちらでも大丈夫です。
私たちはより多くの人が熱狂を形にできる社会がいい社会であると考えています。

あなたの熱狂を私たちに教えてください。そして一緒に実行しましょう。
反対の場合もあるかもしれません。
ビジネスのバックグラウンドがあるあなたであれば、そこでどんな熱狂を起こせるのか、私たちにも一緒に考えさせてください。

ご興味をお持ちいただけたら、Twitterのフォロー、DMやメールでのご連絡もお気軽にお願いします。

Twitter: @Iwashitayusuke

Mail: iwashita@deedfashion.com

第1回:たった一人を熱狂させる
第2回:たった一人を熱狂させる/R for Dの場合
第3回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(前編)
第4回:たった一人を熱狂させる/R for Dの仕組み(後編)






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