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#ShoheiOhtani

大谷翔平選手の「日本選手最多タイの通算175本塁打」の持つ意味は何か

現地時間の4月12日(金)、大リーグのロサンゼルス・ドジャースに在籍する大谷翔平選手が今季4号本塁打を放ち、大リーグでの通算本塁打数を175本として、松井秀喜さんが持つ日本選手の最多記録に並びました。

大谷翔平選手は、2021年7月4日に松井秀喜さんが2004年に記録した日本選手の年間最多本塁打31本に並びました。

その際に本欄が指摘したように、2005年から2020年までの16シーズンにわた

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文化の比較の観点から考える大谷翔平選手の声明の持つ意味

現地時間の3月25日(月)に大リーグのロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平選手が行った「野球賭博疑惑」に関する記者会見について、本欄の理解は昨日ご紹介した通りです[1]。

ところで、大谷選手の記者会見についてありがたくも報道各社から見解を求められた際、私は「完全に米国向けの声明であり、記者会見である」とお話しました。

もとより米国内で起きた出来事だけに、米国の報道機関が様々な報道を行うの

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「野球賭博疑惑」に関する大谷翔平選手の声明を理解するために重要な観点は何か

現地時間の3月25日(月)、大リーグのロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平選手が記者会見を行い、専属通訳であった水原一平氏による違法賭博疑惑に関する声明を読み上げました。

捜査が行われている状況のため、話せる内容に制限があるという趣旨の前置きをしたうえで、「送金を頼んだことも許可したこともない」と自身の関与を全面的に否定し、水原氏に騙されたと強調しました。

事件の発覚後に大谷選手が自ら声

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米球界で起きた「大規模窃盗疑惑」についてわれわれが忘れてはならない点は何か

現地時間の3月20日(水)、大リーグのロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平選手の弁護士が、同球団に所属し大谷選手の専任通訳を務めていた水原一平氏を違法な賭博に関与し、大谷選手の資金について「大規模な窃盗」(massive theft)を行ったとして告発したことを明らかにするとともに、球団も水谷氏を解雇したことを公表しました[1]。

本件は、球界を代表する「スーパースター」[1]である大谷選

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ドジャースへの移籍は大谷翔平選手の一層の活躍への期待を高める

現地時間の12月9日(土)、大リーグのロサンゼルス・エンゼルスからフリー・エージェントとなっていた大谷翔平選手がロサンゼルス・ドジャースへの入団に合意しました。契約期間は10年、年俸総額は7億ドルで、北米のプロスポーツ史上最高の金額となりました。

2013年以来11シーズン連続でポスト・シーズンに進出し、この間3度のリーグ優勝を達成するとともに2020年にはワールド・シリーズでの優勝も果たしてい

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大谷翔平選手の「2度目のMVP受賞」を讃える

現地時間の11月16日(木)、大リーグ機構は今季の最優秀選手(MVP)を発表し、ナショナル・リーグはロナルド・アクーニャ・ジュニア選手(アトランタ・ブレーブス)が初めて、アメリカン・リーグは大谷翔平選手(ロサンゼルス・エンゼルス)が2回目の受賞となりました。

両選手とも満票での選出であり、大谷選手は前回に引き続き2回連続の満票となり、いずれも大リーグ史上初となりました。

アクーニャ・ジュニア選

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大谷翔平選手の「アジア出身選手初の大リーグ本塁打王」を讃える

現地時間の10月1日(日)、大リーグの2023年のレギュラーシーズンがすべて終了し、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手が44本塁打を記録してアメリカン・リーグの本塁打王となりました。

アジア各国・地域出身の選手が本塁打王となるのは大リーグ史上大谷選手が初めてです。

これまでアジア出身の選手は他の国や地域の出身の選手に比べて打撃術では遜色がないものの長打力の点で劣るというのが、球界での通年で

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「大谷のトレード見送り」は大谷翔平選手とエンゼルスにどのような影響を与えるか

現地時間の7月26日(水)、大リーグのロサンゼルス・エンゼルスに所属する大谷翔平選手について、球団がトレードの候補から外したことが報じられました[1]。

エンゼルスは2014年にアメリカン・リーグ西地区1位になったのを最後にプレーオフに進出しておらず、今季も現時点で地区3位、ワイルド・カード争いでも6番目と劣勢に置かれています。

一方、大谷選手は打者としても投手としても現在の大リーグを代表する

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大谷翔平選手の「100本塁打500奪三振記録樹立」はいかなる意味を持つか

現地時間の5月9日(火)、大リーグのロサンゼルス・エンゼルスに所属する大谷翔平選手がヒューストン・アストロズとの試合に登板し、13奪三振を記録しました。

この結果、大谷選手の大リーグでの通算奪三振数は507個となり、大リーグの公式見解によれば、通算501奪三振を残したベーブ・ルースを抜き、100本塁打以上を記録した選手として歴代最多の奪三振記録を樹立しました。

大リーグの歴史上、100本塁打も

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「エンゼルスの兜」はどのような意味を持つか

大リーグのロサンゼルス・エンゼルスは、今季から本拠地エンゼル・スタジアムでエンゼルスの選手が本塁打を放った際、ダッグアウト前で日本の兜をかぶせる演出を行うようになりました[1]。

この演出は昨季の途中から始まり、2022年は本拠地での本塁団の際にカウボーイハットをかぶせていました。

様々な帽子がある中でカウボーイハットが選ばれたのは、球団の創設者である歌手で俳優のジーン・オートリ―のあだ名が「

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2022年の大リーグのMVP投票の結果について思ういくつかのこと

現地時間の11月17日(木)、米国大リーグで最優秀選手賞(MVP)の投票結果が発表され、ナショナル・リーグはポール・ゴールドシュミット選手(セントルイス・カーディナルス)、アメリカン・リーグはアーロン・ジャッジ選手(ニューヨーク・ヤンキース)が受賞しました。

長打率とOPSがリーグ1位、打率と安打数がリーグ3位、近年の大リーグで重視されている、ある選手が自らの守備位置の代替可能な選手に比べてどの

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「ジャッジと大谷のMVP争い」はいかなる意味を持つか

2022年の大リーグのレギュラーシーズンは、10月5日(水)の終了日まで残すところ2週間弱となりました。

現在、アメリカン、ナショナルの両リーグでは各地区の優勝球団が決まりつつあります。

また、アメリカン・リーグでは現地時間の9月22日(木)の時点でニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手が大リーグ史上通算6人目の60本塁打を記録し、打率と打点の2部門でも首位となり、2012年のミゲル

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「エンゼルス売却」は実現するか

現地時間の8月23日(火)、大リーグロサンゼルス・エンゼルスの筆頭所有者であるアート・モレノ氏が球団の売却を検討していることを表明するとともに、金融アドバイザーとしてガラティオート・スポーツ・パートナーズを雇い、球団の価値の査定の手続きに入りました[1]。

一代で広告業界での成功を収め、2003年にエンゼルスを買収してメキシコ系米国人として初めて大リーグ球団の所有者となったモレノ氏は立志伝中の人

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大谷翔平選手の「2桁本塁打2桁勝利」の達成を祝す

現地時間の8月9日(火)、大リーグのロサンゼルス・エンゼルスに所属する大谷翔平選手がオークランド・アスレティックス戦に登板して勝利しました。

この結果、大谷選手は今季2桁本塁打と2桁勝利を達成し、大リーグとしては1918年のベーブ・ルース以来104年ぶり、2020年に大リーグ機構が公式記録と認めた黒人リーグを含めると1927年のエド・ライル(デトロイト・スターズ)以来95年ぶりに「2桁勝利2桁本

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