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2020年1月の記事一覧

「EU離脱」は「英国の中堅国化」の第一歩となるか

現地時間の本日23時、英国が欧州連合(EU)から脱退します[1]。

1952年に前身の欧州石炭鉄鋼共同体が発足して以来、欧州経済共同体(EEC)、欧州共同体(EC)と一貫して規模を拡大させて現在の28か国体制となったEUから脱退国が生じるのは初めてです。それだけに、英国の脱退は欧州統合の歴史にとって岐路になるとともに、世界経済や国際秩序に与える影響も大きいと推察されます[1]。

ところで、本欄

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「新型肺炎問題」で求められるのはいかなる取り組みか

中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎は、現在も感染の拡大が続いています。

中国の報道機関によれば、1月29日(木)の15時時点における中国国内の感染者数は累計で6016人、死者数は132人となり、2002年から2003年にかけて流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の中国での感染者数5327人を上回りました[1]。

1月23日(木)に中国政府が武漢市を事実上封鎖したものの

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再び不要なる「神宮外苑地区の再開発」の推進を戒める

去る1月23日(木)と26日(日)の2回にわたり、神宮外苑地区の再開発計画案に関する住民説明会が行われました[1]。

報道によれば、住民説明会では、以下のような計画が説明されたとのことです[1]。

神宮外苑地区は、自然景観を維持する目的で1926(大正15)年9月に日本で最初の風致地区に指定され、建物の高さが15メートルに制限されてきました[2]。また、赤坂御用地に隣接するため青山通り沿いを除

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政府による「ポスドク問題解決の解決」に必要なのはいかなる取り組みか

去る1月23日(木)、政府の総合科学技術・イノベーション会議が開催され、2021年度に始まる第6期科学技術基本計画などで、博士課程の大学院生のうち、希望者に1か月につき15-20万円の生活費相当額を支給するなどの対策が決定されました[1]。

大学院博士課程あるいは博士後期課程を修了した後も大学の教員や企業の研究職などに就職できないいわゆる「ポスドク問題」[1]が社会問題化しているのは、周知の通り

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デレク・ジーター氏とラリー・ウォーカー氏の「殿堂入り」に寄せて

去る1月21日(火)、元ニューヨーク・ヤンキースのデレク・ジーター氏とコロラド・ロッキーズなどに在籍したラリー・ウォーカー氏がアメリカ野球殿堂の顕彰者に選出されました。

ジーター氏については全397票のうち、396票を獲得しての選出でした。

「1票足りずに満票を逃した」ことで、ジーター氏は昨年選出されたマリアーノ・リベラ氏に続いての「満票での選出」の機会を逸しました。

また、満票での殿堂入り

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