Yusuke.S

国家公務員。土木工学部卒、英国にてプロジェクトマネジメントやファイナンス関係を修了(M…

Yusuke.S

国家公務員。土木工学部卒、英国にてプロジェクトマネジメントやファイナンス関係を修了(MSc)。インフラ関係の仕事に携わっており、防災、インフラ関係全般、建設業界の将来、公務員関係について発信してみます。

最近の記事

男性の育休について

1、男性育休に関する私の肌感覚 イクメン。 この呼称が定着してきた世の中になった。 男性の育児参加が、一定程度進んできたと肌で感じる今日この頃。 かくゆう、私も育休を取った。昨年第一子が生まれた際に、1か月程度。また、先週に第二子が生まれたため、同じく一か月程度取得する予定だ。 私は、現在34歳。育休をとるのが、どちらかというとスタンダードとなっており、職場の雰囲気もそんな感じ。 しかし、ある友人と会った際には、私の感覚とは違った印象だった。 「え、育休とるんだ。すげー

    • 大曽根商店街リノベーション大作戦。

      私が名古屋に赴任して、応援したくなった商店街がある。 大曽根商店街。名古屋の皆さんには、あまり知られていない商店街。 大曽根商店街は、大曽根駅を出てすぐ西側にある。 三菱電機名古屋製作所の反対側に位置する。 商店街の入り口まで、県道216号を横断歩道で渡る必要があるが、地下鉄の出口からは直接行くことができる。 商店街には珍しく、アーケードがない。10年ほど前に行った土地区画整備事業に合わせてアーケードを取り払った。 土地区画整備事業が終わったのが、平成18年。 そのことも

      • 人口減少の中でも、これから公共事業を進めるべきなのか?

        私は、現在公務員の人事・研修担当を務めている。 先日研修の一環として、「人口減少の中でも、これから公共事業を進めるべきなのか?」というテーマで若手職員のディベートを行った。 我々公務員は、基本的には公共事業推進派。(思想として反対派もいなくはない) そんな中、なぜ私がこのようなテーマ設定をしたか。 それは、中立公正性を求められる公務員が、盲目的に公共事業推進を信じてはならないと思ったからである。 民主党政権において、「コンクリートから人へ」というスローガンが掲げられ、一時期

        • 現場とは何なのか?

          「事件は会議室で起こっているのではない! 現場で起こっているんだ!」 「踊る大捜査線」で、織田裕二氏が演じる青島刑事のセリフ。多くの人々は聞いたことがあるセリフだろう。 確かに、現場と会議室は遠い。 現場でのひっ迫感や1分1秒単位で変わる状況を、会議室で共有することは不可能に近い。 しかし、何かが起こっているのは「現場」だ。 「踊る大捜査線」でいえば、現場は事件が起こっている場所、製造業では、生産が行われている場所、又は製品が使われている場所だ。 私が仕事で携わっている建設

        男性の育休について

          大雨の日には何が起こっているのか?

          「このお盆の時期には大雨が降るかもしれない」 名古屋市にある、庄内川河川事務所で勤務する私は、気が気ではない。 大雨が降った場合には、休日であっても対応する必要があるからだ。 実は、お盆の週は実家がある香川県へ帰省する予定であり、帰省に合わせて直島に一泊する予定であった。 直島には何度か行ったことはあるが、妻と行くのは初めて。ここ2か月はこの予定が楽しみで仕事を頑張っていたと言っても過言ではない。 ただ、信頼できる部下職員は名古屋にいることもあり、予定通り休暇をとることとし

          大雨の日には何が起こっているのか?

          インフラ輸出について part1

          インフラ輸出について、携わったことがある者として、備忘録的に徒然なるままに記録する。 インフラ輸出とは、道路や鉄道などの日本のインフラを海外へ売り込むという政策である。 聞きなれない人もたくさんいると思うが、実は海外の様々なところで、日本が輸出したインフラが使われている。 例えば、日立製作所の高速鉄道用の車両がイギリス国内で使われていたり、アジアとヨーロッパを結ぶボスポラス海峡トンネルは、大成建設が建設工事を行った。 このような事業がインフラ輸出と言われるものだ。 実は

          インフラ輸出について part1

          働け、日本人

          日本人は働きすぎなのであろうか? 昔の日本はそうだったが、今はどうだろうか? 昔の日本社会は、今とは全く正反対だ。 1989年の流行語大賞では、「24時間、戦えますか」がランクイン。 栄養ドリンク「リゲイン」のCMで、サラリーマンに扮した時任三郎が発するキャッチフレーズだ。 今の日本では、全く受け入れられないキャッチフレーズだろう。 30年前の日本は、残業を当たり前とした仕事の仕方だったことが分かる。 では、今はどうだろうか? ここ5年で働き方改革が推進され、日本全体とし

          働け、日本人

          体育会系とリーダーシップ

          ※当該内容は、天狼院書店のメディアグランプリに掲載されたものと同様です。 「結構、あいつ反抗的だよねー」 職場でのある課長の一言。ネガティブなトーンで言っている。 素直に従うことが、課長への奉仕ではないだろう。私は心の中で思った。 社会における、このような発言は珍しいものではない。 かくゆう、私も管理職。部下からの反論や反対意見に対して、イラっとした経験もある。 私は学生時代、野球部に所属し、野球に明け暮れた。いわゆる「体育会系」ってやつだ。 体育会系というと、「スポーツ

          体育会系とリーダーシップ

          「技術力」とは何だろうか? そして、今後求められる技術力とは?~技術力に関する一考察~

          https://tenro-in.com/mediagp/301648/ ※当該内容は、天狼院書店のメディアグランプリに掲載されたものと同様です。 「最近は、昔と比べ、技術力が落ちてきている」 そんな話を、私の業界では、よく聞く。 「技術力」とは何だろうか。 辞書から、「技術力」の定義を引いてみよう。実用日本語表現辞典では、「手段や手法などを用いて物事を成し遂げる能力」とある。辞書より、技術力が高い人とは、困難な状況でも突破する能力がある人物と考えられる。 しかし

          「技術力」とは何だろうか? そして、今後求められる技術力とは?~技術力に関する一考察~

          インフラ投資における、PPPスキームについて

          1.PPPの定義について PPPは、Public-Private Partnershipの略で、鉄道や高速道路、病院等の公共施設の建設 のための一つの投資スキームのことを指します。  PPPスキームの特徴は、以下のとおりです(Weber and Alfen, 2010)。   ①通常、特定目的会社(SPV/SPC)が立ち上げられること   ②高い借入に基づくキャッシュフローでプロジェクトを回すこと   ③民間企業と公的機関との複雑なリスク分担構造であること   ④契約関係にお

          インフラ投資における、PPPスキームについて

          日本の建設企業は国際化が進んできたか?? Part 4

          前回までのおさらい前回までで、日本の建設企業については、以下のことが分かりました。(詳細は、Part 3を参照ください。) ・バブル崩壊以降、鹿島建設・大林組は10%→20%程度まで増やしているものの、日本の建設業大手4社は海外売上比率は低い。清水や大成は依然として10%程度。海外トップ企業では40%以上である。 ・海外トップ企業は、海外売上比率と海外支社の比率が同程度であるが、日本企業は海外売上比率より海外支社比率の方が大きい。これより、海外事業は国内事業より収益率が低

          日本の建設企業は国際化が進んできたか?? Part 4

          日本の建設企業は国際化が進んできたか?? Part 3

          4つの指標でみる国際化これまで日本の建設産業全体で国際がどのように進んでいたかというマクロな視点で分析してきました。次は、日本のスーパーゼネコンである、4つの建設企業(大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設)と国際化が進んでいる多国籍企業のトップ3(Vinci、ACS、Hochtief)を、国際化に関する4つの指標で比較します。 4つの指標は、①海外での売上の比率(Foreign sales as a percentage of total sales (FTST))、②海外

          日本の建設企業は国際化が進んできたか?? Part 3

          日本におけるインフラファンドについて

          1、インフラファンドの現状(キャピタルゲインの観点から)現在上場しているインフラファンドは、7つあります。すべて太陽光発電の運用会社になります。2020年3月から東証インフラファンド指数が設定されております。 日経平均株価の推移とインフラファンドの比較を見てみましょう。一つ目のグラフは、最初にインフラファンドが上場した2016からどのように推移してきたか。日経平均株価との推移と比較すると株価の上下はあるものの、コロナ期においても比較的に安定した推移を示しております。現在私が

          日本におけるインフラファンドについて

          日本の建設企業は国際化が進んできたか?? Part 2

          海外事業の収益率は低いのか?これは、大きなポイントです。収益率の高い方へ、ビジネス展開するのは当然です。日本建設企業の国際化についての論文はいくつかあります。2000~2007の間ではありますが、ZhangとLondon(2011)は、日本建設企業(Japanese contractors)の海外での営業利益は、西洋企業と比べて非常に低いとし、理由として国内事業の利益率の高さや潤沢な事業量のため、海外進出する旨みが少ないのではないかと指摘しております。また、Construct

          日本の建設企業は国際化が進んできたか?? Part 2

          日本の建設企業は国際化が進んできたか?? Part 1

          建設企業の海外進出の歴史日本建設企業は、戦後国土の復興へ従事し、その一方で1954年から政府による戦争被害国への賠償に伴う建設工事が始まり、1960年代に入ると、日本の製造業の海外進出や政府開発援助(ODA)の拡大に伴う工事が本格化し、1983 年には年間の海外受注高が初めて1 兆円を突破した。一方で、近年の売上高の海外比率は依然として、他業種と比較し低い。建設業は、おおよそ5%前後で変化し、製造業と比較すれば、非常に低い割合である。一方で、2010年以降ではあるが、増加傾向

          日本の建設企業は国際化が進んできたか?? Part 1