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創業期のスタートアップに必要なたった1つのこと

調達のスタンダードを刷新する会社、Leanerの代表をしています大平です。

前回「エンタープライズ向けサービスのMVPはこうして失敗する。」というnoteを公開してから、2年ぶりの新作となります。


先にいっておくと、私には文才がない。ゆえに、中身で文才を凌駕するしかない。
創業してから5年間、外向けには話したことのない内容。
私が思う「創業期に必要なたった1つのこと」を書きます。
※このnoteは起業家の大先輩方に強く影響を受けた内容になっています


ただ、このnoteを公開するか非常に迷いました。今も迷っています。センシティブな内容でもあるし、なにより誤解されたくない。特定の会社や個人を否定するものでもありません。
ただ、びびって発信しないというのは、違うかなとも思い。この機会に公開することにしました。
ぜひ、最後まで読んでいただき、スタートアップで闘う誰かの役にたてたら嬉しいです。

拡散いただけると次回のやる気になるのでそれも嬉しいです(重要)!



創業期に最も大事だと思うことは?

2023年。本当にありがたいことに、トヨタ様をはじめとしたリーディングカンパニーでのご導入が進み、Leanerは事業としても組織としても飛躍的に成長した年でした。T2D3といわず。現在は4倍以上の成長を狙えています。事業・組織フェーズが、完全に変わったことを実感する1年でした。

そのような中で、1つの質問をよくいただきます。
「創業期に最も大事だと思うことは何ですか?」

何を目的に創業するかによりますが、私はスタートアップの経営者です。
新しい市場や、新しい価値、新しいソリューションを創ることを目的に創業した経験しかありません。スタートアップの創業期は、成功パターンが確立しておらず、暗中模索が一定必要である。という前提でのでの話になります。

「市場選び」「ビジネスモデルの設計」「MVPの開発」「GTMの達成」「PMFの確立」「採用」「MVVの設計」など。スタートアップの創業期に大事なことはたくさんありますが。


結論として、私が思う創業期に最も大事なことは、「長く働けること」です。
正しくは「全力で走り続けられる組織を創るコト」です。



これをいうと起業家の友人にはかなり驚かれます。誤解されたくないのであまり外部で話したりはしません。ですが、私がおもう、最も大事なことは「長く働けること」です。


実際。Leanerはこの1年飛躍的に成長しましたが、創業からの約5年間を振り返り、この成長はなぜできたのか。これをシンプルに問うと。
優秀なチームメンバーが、暗中模索をし続けてくれたこと。これに尽きます。



起業当初の市場選定や、ビジネスモデル、MVPやGTMの方法など。大平が考えた初期仮説はだいたい外れています。ごめんなさい。正しくは、初期仮設がドンピシャで当たるとも思っていませんでした。ごめんなさい。


ただ、現在。Leanerは、日本を代表するお客様と、将来のスタンダードになるうるプロダクトをもち、日本のドデカい闇に立ち向かえています。



これがなぜできたか。
それは、優秀な仲間が心が折れそうなときも、頑張り続けたからです。

Leanerの約5年という歴史のなかで、3人の仲間が会社を去りました。たった3人と驚かれますが、未だに自分自身の実力不足を呪っています。
ただ、それ以外の仲間は、Leanerという戦場で闘い続けてくれたということで。感謝と尊敬の念は堪えません。特に直近の約2年は、誰もチームを離れることなく走りきりました。



ただの綺麗ごとに聞こえると嫌なので。なぜ私が創業期に最も大事なことを「長く働けること」だと考えているのか。美学的な話と。論理的な話。2つの観点でお話します。


大平の美学に皆さん興味はないと思いますので、短めに書きます。ですが、美学が9割です。論理的な話は、強いて説明するとという話です。


創業期における美学的な話。


まずスタンスをはると、創業期のスタートアップにおいて、仲間が抜けたことを「仕方ないもの」として片づける起業家が好きではないです。


スタートアップの経営者が集まると。「あいつが辞めた。根性がない。」「あいつは価値観が合わなかった。仕方がない。」といった話に満開の花が咲く起業家がいます。
私はそういった話が美学的に好きではない。



もちろん、入社後にカルチャーアンマッチをおこすこと。スキルアンマッチをおこすことはあります。
神ではないので相互に見極めることは完全にはできませんし。ライフステージも考え方も変わります。転職がどうこうという話ではないです。



ただ、「○○という理由で会社に合わなくなった」というのは転職される方がおっしゃる話であって。
経営者が「○○という理由で転職するから仕方ない」と無責任に話しているのは、なんか違う。



ひとりのSaaS経営者としての例え話として。チームの仲間と、お客様は違いますし、同じだと思ったこともないですが。

お客様から「○○という理由で、解約します」と言われることと。
営業が「○○という理由だから、解約されて仕方ない」と言うことは違う。
営業が解約されたとき、そう言っていたら気持ち悪くてやってられない。



売ったひと。仲間に招き入れたひとには、それ相応の責任がある。
採用時に期待値をずらして口説いてしまったのではないか。会社や組織をこうすれば1日でも長く一緒に働けたのではないか。などと考え、悩み、改善することが誠実なのではないかなと。
そう思っています。


これは僕の気持ち悪さ、美学の話なので無視していただいても良いです。
次の章が本編です。



なぜ「○○」を創業期こそ大事にしなければならないか。


起業家のなかには、論理的に理解したいという方もいると思うので、少し冷たく感じるかもしれませんが、比較的ロジカルに本旨について書きます。


まず、スタートアップの起業家は、”VCからの資金”や”個人資産”を、新規事業に投資して成長させる投資家としての側面があります。だからこそ、かき集めたお金を何に投資しているのかを理解することが非常に重要だと考えています。


創業期のスタートアップは、お金を何に投資しているのか?
ほとんどの場合、投資先は「失敗」です。



繰り返しになりますが、スタートアップとは新しい市場や、新しい価値、新しいソリューションを創る必要があり、創業期は成功パターンが確立しておらず、暗中模索が一定必要であるという前提にたっています。そして、初期仮設はだいたい外れます。
前職では外資戦略コンサルとしてドヤ顔だった私がいうので、間違いない。
Leanerも傍から見ると順風満帆なだけで、ミクロでみると失敗の連続。
ほぼ失敗するために毎日出社しているともいえる。



ただ、そういった失敗のなかでしか、成功率をあげられない。そして成功する。それがスタートアップという戦場のリアルだと思います。ゆえに、ほぼすべてのお金は「成功率をあげるための失敗」に投資している。「失敗」を購入しているともいえます。



ほぼすべてのスタートアップにおいて、額面上は「人件費」に主たる投資をしているはずですが。その人件費で働いてくださった成果として、営業であれ、開発であれ、なんであれ。「失敗」を獲得します。その失敗で解像度があがり、成功率があがり、成功します。



目に見えないBSの話。


そして、ここからが非常に重要な話なのですが。
膨大なお金を投資して、購入した「失敗」という資産はどこに蓄積するか。
が最も大事な問いだと思います。



私は、”失敗した個人”に最も蓄積すると考えています。
Leanerのようにすべての情報がnotionに蓄積・公開されている会社でも。
購入した「失敗」という資産を会社に完全に帰属させることはできません。
失敗した本人やチームに蓄積します。
(※だからこそ、属人的に知見がたまらない構造を模索することも大事)



ゆえに、仲間がチームを抜けざるおえないというのは、最も投資して購入した資産を失うことを意味し。投資家として、起業家として、最も避けるべき事象ともいえます。


だからこそ、「失敗」を購入する必要がある創業期において、「長く働けること」、正しくは「全力で走り続けられる組織を創るコト」こそ、最も大事なことだと思っています。


「離職しないほうがいいよねえー」といった生ぬるい話ではないです。
「長く働けること」が、創業期を抜け、グロースフェーズに入れるかどうかの生死を左右するといっても過言ではないと思っています。


ちなみに、「離職することは仕方ないこと」という前提に起業家がたつと。
無意識的に、”自分自身に”その資産を蓄積しようとする。これがマイクロマネジメントのはじまりであり、辞められない理由だと思っています。



また、こういう話をすると、ド鉄板の反論トークがあります。

「リクルートの強みは組織の新陳代謝。適切に新陳代謝することも経営上大事だろ。」です。


ひとつ言わせてください。
スタートアップはリクルートではありません。

新卒の方でも活躍できる成熟した事業を形成できているわけでもなければ。完全にPMFしきっている複数事業を形成できているわけでもなく。従業員20000人の組織的な強さもなければ。時価総額は10兆円の財務的な強さもないです。



リクルートという大国で有用な組織要件が、スタートアップという花火のような小隊でも有用であるかどうかは謎です。(※リクルート大先生が個社としてどうこうという話ではないです)



また、これは私見なのですが、スタートアップにおいて、リクルートほどの戦略的な退職、新陳代謝を実現できている組織をあまり知らないというのもあります。
ぶっちゃけ、「あぁ、辞めてしまった。」が本音な気がしていて、それをリクルートの新陳代謝と同列に正当化するのは少し無理がある気がします。


無論、「失敗」を購入する必要のないレイターステージのスタートアップ。”投資(人件費)”と”成果(事業成長)”の相関を計算できる計算機ができあがっている会社では、「長く働けること」以上に大事なものがあるとも思います。



他責にすることだけは避けたい


ここまで、私が思う創業期に最も大事なこと。「長く働けること」正しくは「全力で走り続けられる組織を創るコト」がどれほど大事だと思っているか書きました。



ただ、恐らくLeanerも組織崩壊というものを将来経験するのかもしれない。離職率があがりすぎて、どうにもこうにもならんという状態に陥るかも。歴史をみるに、多かれ少なかれ経験するものとも理解しています。



ただ、何を言いたいのかというと、そういった組織状態のとき。
ひとりの経営者として”仕方ないもの”として思考停止すること。組織を見つめ直さないこと、改善しないということだけはしたくない。

と思いながら、スタートアップを経営していますという話でした。



最後に:ここまで読んでくださった皆様へ


こんな駄文を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
びびりながら公開していますので、誤解を招きそうなら非公開にするかも。


注)本当に勘違いされたくないこととして「転職」がどうこうとかそういう話ではないです。なんなら私も人材領域のスタートアップにいたので、「転職」がどれほど人生を豊かにするかも知っています。このnoteは、スタートアップの経営者としてのスタンスや考え方の1つだと思ってください。


少しでも誰かのお役にたってくれたら嬉しいなあ。
また、拡散していただけると次回のやる気になるのでそれも嬉しいです!(再掲)



最後に、2023年、Leanerでは多くのnoteが公開されました。書き出すとキリがないほど。

12月にはアドベントカレンダーとして多くの仲間がnoteをあげています。ぜひのぞいてみてね!



ちなみに大平が選ぶ - 2023 BEST note - は
「私が入社した Leaner という会社での不思議な体験を綴った備忘録(glicoさん著)」です。

読みものとしておもしろいので、ぜひ読んでください!



また、少しでもLeanerに興味をもっていただけたら、遊びに来てください!
飛躍的な成長を遂げる傍ら、課題が山積みです。
転職など考えずとも、「何かできることある~?」って声をかけてくれるだけで嬉しいです。


次のnoteの公開がまた2年後にならないことを祈願して。さらば。


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