私が Leaner に入社して4ヶ月が過ぎた

この記事は私が入社した Leaner という会社での不思議な体験を綴った備忘録である。

※ 会社の方で書いてもらった正しい入社エントリは下記より

Leaner は何者か

東京は品川区の北部に位置する五反田はビットバレーと呼ばれる渋谷区と並んでスタートアップ・ベンチャーの集積地として有名であり、freee株式会社や株式会社ココナラなど6社が一般社団法人五反田バレーを設立するほどである。そんなスタートアップ・ベンチャーがひしめく五反田に株式会社Leaner Technologies があることは残念ながらまだあまり知られていない。たぶん。

この会社は「調達のスタンダードを刷新し続ける」ことをミッションとして、製造業におけるネジ・鉄板などの部品調達から日常で使うボールペン・イヤホンマイクの購買に至るまであらゆる調達業務の煩雑さを撲滅するという壮大な計画を日々着々と進めている。

この Leaner という会社は私の知る範囲において日本で最も不思議なベンチャー企業であり、私も入社してから4ヶ月の間毎週のように謎の現象に遭遇しては度肝を抜かれ続けている。

Win-session

Leaner には毎週金曜日の17時に全社で集まって1時間みっちりとひたすらに互いを褒め合う Win-session という不思議な会があり、文脈を知らない人間がうっかり見学に来たならば10人中9人が宗教と見間違え残りの1人は宗教だと納得する。

数十人規模のベンチャー企業に集まっている非常に優秀な人たちが毎週1時間もの時間をかけてただひたすらに互い褒め合うなど正気の沙汰ではなく、1時間使い切らずにネタが切れて解散になるか無理やり捻り出した社交辞令をだらだらと聞くことになるのは目に見えている。

ところが Leaner の Win-session は毎週一体どこから湧いてきたのかと戸惑うほどの大量の褒め合いが大挙として押し寄せ、時には司会のファインプレーなくしては1時間では到底収まらなかったと思えるほどである。

また、その大量の褒め合いがテンポよく流れていく時の疾走感にはもはや中毒性があり、各自が自分の書いた内容を発表する形式にも関わらず誰もが軽快かつ端的に、時には熱く重厚にエレベータートークを次々披露していく様は、私の呼ばれていないところでリハーサルが行われているのではないかと疑うほどである。

イシュー会

そんな Win-session の話を聞いた諸兄姉の方々の中にはよくあるほんわか仲良しサークル型ベンチャーを思い浮かべた方もいるかも知れないが、Leaner には Win-session と対極の存在とも言えるイシュー会と呼ばれる会が存在し、Win-session の時と打って変わった神妙な雰囲気の中で今度は毎月最終金曜日の午後に2時間みっちりと会社の課題について議論を深める様子を目撃することとなる。

課題の議論は時に大小様々な諍いを生んだりベンチャー企業が持つ”すごいモメンタム”を損なったりする可能性があり、誰が発言するのか誰に聞かせるのかなどを慎重に選ばなければならないと義務教育で習ったような習っていないような気がするが、Leaner では私の知る限り全ての参加者がヒトではなくコトに無理なく向き合い、時に言葉を選びつつも言うべきことは明確に伝えることで絶妙なバランスで課題解決に向けた議論を進めることができている。

この「褒めること」と「批判すること」が非常に偏りやすくこのバランスを上手く取るためには多くの経験が必要であり、その経験を得るための経験をどこか別の場所で得ておく必要があったかもしれないと思うのも致し方なく、1歩どころか50歩も100歩も間違えて最高潮にギスギスした空気漂う課題解決武闘会に同席した際には「うわああああ」と悲鳴をあげながら一目散に逃げ出したくなったが良識ある大人なので我慢した。

Sick Leave

Leaner での不思議体験はまだまだあり、次に私が驚いたのは子育て支援制度の異常な充実度である。社員のライフステージが変わっても安心して働けるようにしたいという思いは正直どの企業にもあると思われるが、とは言ってもせやかて工藤、事業として利益を出し続けるためには涙を呑んで諦めなければならない制度もあり、常に資金ショートによる倒産危機を始めとする数々の危機に晒されているベンチャー企業ならなおさら制度導入には慎重になるのは自然の摂理であり、いくら石橋を叩いてもバチは当たらないだろう。

ところが Leaner の子育て支援からはそんな慎重さは全く感じられず、石橋どころか古くからある朽ちかけの吊橋を全力で疾走する憎き小学生たちの如き大胆な Sick Leave という休暇制度があり、その内容はなんと「子どもの体調不良による休暇取得は無制限にOK」という、かのヘレンケラーも裸足で逃げ出す手厚さであった。「であった」と過去形で書いたのは入社時点でそうだったという話であり、残念ながら記事執筆時点では上限が設けられているが、それもあくまで組織の規模拡大を見越しての苦渋の判断であり、根本にある革新のための持続可能な働き方を実現できる組織でありたいという思想は変わっていない。

子育て支援制度は紹介しきれないほどまだまだあるが、記事執筆時点での男性の育休取得率100%というまだ社員数が少ないと言えど確実に驚異的な数字を叩き出していることからも支援の手厚さが伝わってくる。あまりに安心して子育てができるためか、私の所属する10人ほどのチームでは今年既に4人の社員のご家族が出産予定という異次元の少子化社会など何処吹く風とベビーブームを迎えている。

Employee Success

さらにこういった働きやすい仕組みづくりを主導する Employee Success なるチームがあり、決して潤沢とは言えない現在の Leaner の人員数・資金事情もしっかりと考慮した上で最大限に働きやすさの実現に向けた諸々の制度を忙しい業務の合間合間にコツコツと積み上げている。その働きぶりたるや東に病気の人あれば無理はせずに休めと言い、西に四半期目標達成を喜ぶ人あればすぐに銀の出前寿司でお祝いし、南で何かあればむにゃむにゃしてやりという宮沢賢治に勝るとも劣らない東奔西走ぶりである。

正直なところこの規模で社員の働きやすさを考えることをメインミッションにしたチームがあること自体が驚きであり、とはいえ流石にほとんどが兼任者である中で前述のような能ある鷹爪剥き出しな大活躍ぶりをみせており、働いている人間としては筆舌に尽くし難い感謝の日々である。

資金繰り表の公開

最近は情報の透明性を高めて迅速な意思決定と高い心理的安全性のある組織を目指している企業が少なくないが、Leaner では透明性の天井が壊れて社内に資金繰り表を公開するという最高の暴挙が行われており、これは全面ガラス張りの公衆トイレで大きい方のお花摘みをしてくださいと言われた時以来の衝撃であり、透明性を高めるにも限度があると思っていた時代が私にもありました状態である。

もちろん資金繰り表以外にも会社内にあるほとんどの情報は常に Notion や Slack のログ上など何かしらの方法で確認できるようになっており、意思決定に必要な情報を誰もが取りに行ける状態を常に目指している。ついでに「ろくに社内への情報公開もできていないのにオーナーシップを持って仕事に取り組めと宣うばかりの人たちには Leaner の爪の垢を煎じて飲ませたい」と書こうとしたが角が立つので今回はやめておいた。あと Leaner の爪の垢って何。

代表取締役CEO 大平

まさかこんなにダラダラと長いだけの文章をここまで読んでくれる慈愛と忍耐に満ちた方がいるとは思わず、そろそろネタが尽きてきたので最後にとっておきの謎をお届けして終わろうと思う。

私が入社前リモート面接に参加した時、Zoom 越しに大量のオーラを垂れ流している人物がおり、その人が弊社代表取締役CEOを務める大平であった。そのオーラは画面越しにも確かな説得力があり、私は論理的に考えてこれだけのオーラを Zoom 越しに垂れ流してくる人物のいる会社が成功しないわけがないという非常に理知的な結論に至った。

この大平という人物のすごいところは絶対にすごい人物だという厚い信頼がありながらもどこがすごいのか全然説明できないところであり、この記事を書くにあたって自分で一生懸命に彼の過去のエピソードを思い出してみたが全くわからないし、彼自身もすごい人物として世に名を知らしめることにはあまり興味がないとのことだったので私は早々に言語化するを諦めた。

確かなことは彼は勝負師であり得意科目は運だということで、これは本人が Slack のプロフィール欄に書いているので間違いない。あとは漫画「キングダム」が大好きで、参加メンバーの大半がキングダムを読んだことがないと表明した新人歓迎会でメンバー全員を一人ずつキングダムの登場人物に例えるという偉業を成し遂げている。その後に話したポケモンに例えてみたシリーズでのオーロンゲが特性いたずらごころで両壁を貼ってくる話もどれくらいのメンバーに伝わったか定かではないが、歓迎会の雰囲気は不思議と和やかであり、彼の人望の厚さがひしひしと伝わってきた。

おわり

以上が私が株式会社 Leaner technologies に入社して4ヶ月で体験した不思議体験であり、もっと詳しくこの不思議に触れたいという勇気のある諸兄姉の皆様におかれましては、ぜひカジュアル面談などを通してより詳しく Leaner のことを聞いてみてほしい。



この記事が参加している募集

入社エントリ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?