見出し画像

顧客が達成したい「3つのゴール」を明らかにして、プロダクトのファンを増やす。


前回の投稿から随分と時間が経ってしまった。。。が、「複業起業する」という目標に向かっては着実に進んでいる。ここ数ヶ月でやっていたのは「仲間探し」と「ユーザーリサーチ」で、今日書くのは「ユーザーリサーチ」について、だ。

※以下、色々と偉そうに書いていますが、これらは私が実際に仕事(=事業会社での新規事業開発)で失敗して学んだことや、その失敗の過程で多くの人から頂いた助言の内容をまとめたものです。参考になりましたら嬉しいです。

ユーザーリサーチとは?

スタートアップでも、事業会社での新規事業でも、「プロダクト/サービスを作ったのに全然売れない(顧客がいない)」という事態がしばしば起こる。端的には「顧客が必要としていないものを作ってしまった」ことが原因と言える。

では顧客が本当に必要としているものはなんなのか?

これを明らかにするためにユーザーリサーチを行う。顧客の属性・思想など(=顧客インサイト)を明らかにして、顧客が真に困っていることはなんなのか?どのようなプロダクト/サービスを提供して、顧客の困りごとを解決すべきなのか?を見極めることが最大の目的となる。

ユーザーリサーチの重要性についての議論は既に多くなされているので今回の記事では深く触れないが、例えば以下のスライドが非常に参考になる。以降は、ユーザーインタビューを通じて明らかにしていくべきポイント(=顧客から得るべき情報)について議論していく。

「起業の科学」の著者 田所雅之氏が作成したスライド

ユーザーリサーチを行う方法として、インターネットで各種文献やアンケート結果を探すといったアプローチももちろん可能だ。が、ユーザー候補に直接あれこれ話を聞かせてもらう方が圧倒的に情報量が多く、重要なヒントを得られると個人的には感じている。

なので以降は顧客候補に直接話を聞くこと(顧客インタビュー)を想定して話を進める。

顧客インタビューで明らかにするべき、顧客にとっての3つのゴール

これはシリコンバレー在住の方から聞いた話なのだが、顧客インタビューでは以下の「顧客にとっての3つのゴール」を明らかにすることが重要だという。

<End goal>
「現在、顧客が抱える課題」が解決されている「未来の状態」。顧客は、この状態に達するためにプロダクト/サービスにお金を払うことになる。

例えばある刃物職人にとってのEnd goalが「よく切れて歯欠けしにくい品質の良い包丁をたくさん作ること」だったとする。このEnd goalの深堀りは一旦後回しにして、次のExperience goalを考えてみる。

<Experience goal>
どのような「プロダクト/サービスの利用体験」を通じて、End goalに達したいと顧客が考えているか。とにかく手間を省いて楽にすることが大事なのか?それとも過程におけるやりがいや成果物の完成度が重要なのか?

例えば上の刃物職人にとってのExperince goalが「自分の作業をより効率よく行うためのサポートが欲しい」や「素材の金属の品質が事前に把握した上で作業に取り掛かりたい」であったとする。すなわち、この職人は自分の能力を最大限引き出してくれるようなプロダクト/サービスを探していることになる。

この職人に「全自動で刃物を作ってくれる機械」を売り込んだらどうなるだろうか?多分、買ってくれないだろう。

Experience goalは、顧客が「どういうプロダクト/サービスを欲しているのか」を探るための重要なヒントになる。

< Life goal >
顧客が自分の人生や仕事を通じて達成したい大きな/壮大な目標。End goalよりもさらに長期的な視点で顧客が目指している目標を把握することが、Life goalを明らかにする目的。

上の刃物職人は、日々の仕事の中では「良い品質の包丁をたくさん供給すること」が目標としていたが、より長い目で見たときには「包丁作りの伝統的な技術を次世代に継承したい」ということを考えているかもしれない。

顧客の「長期的な視点での目標」に沿ったプロダクト/サービスのビジョンをうまく説明して、自社への共感を得ることが重要だ。これが達成できれば、上の刃物職人が自社の熱狂的なファンになってくれて、継続してプロダクト/サービスを使ってくれるかもしれない。

"ペイン" を引き起こしている "プロブレム" を明らかにする

上の「顧客にとっての3つのゴール」を明らかにできたとしても、「具体的にどのようなサービスを提供するのか?」はまだ見定められていない。

次のステップとして、顧客のペイン(痛み)を探索し、そのペインの原因(プロブレム)を突き止める必要がある。

ありがちなのは、ペインだけを特定して、プロブレムを特定できていないパターンだ。「良い品質の包丁をたくさん供給できていない」というペインを抱えている刃物職人に対して、「全自動で刃物を作ってくれる機械」を提案したとして、果たして刃物職人はその機械を買ってくれるだろうか?

もしその職人が抱えている真のプロブレムが「材料となる金属の品質が安定しておらず、その見極めが困難であること」であるならば、「全自動で刃物を作ってくれる機械」を買ってくれることはないだろう。

「売れるプロダクト/サービス」を生み出すためには、「顧客がペインを抱えるに至っている真のプロブレム」を見極めることが必要だ。

顧客の感情の動きを把握して、"真のプロブレム" を明らかにする

顧客課題発見を目的としたインタビューにおいては、顧客の業務プロセスを事細かに明らかにするように質問を重ねていくと思う。そのときに、各業務プロセスに対して顧客がどのような感情を抱いているのかも明らかにすることが重要だ。すなわち、その作業が楽しい/やりがいがある/億劫だ/面倒くさいのかどうかを聞き出す必要がある。

ありがちなのは、顧客が各業務プロセスにかけている時間(コスト)だけを聞き出し、それらを削減できるようなプロダクト/サービスを提供する、というアプローチだ。これはシンプルでわかりやすいやり方だが、真のプロブレムを外す可能性もあることを考えておいた方がいい。

なぜなら「その顧客が時間をかけている業務プロセス」は「顧客がやりがいを感じていて、慎重に・納得いくまで取り組んでいる工程」である可能性があるからだ。そういった業務プロセスに対して「時間(コスト)を削減しましょう」と安直に提案するのはとても危険だ(顧客からの反感を買う可能性もある)。

上のような「顧客があえて時間をかけている工程」においては、顧客自身がポジティブな感情(楽しい/やりがいがある等)を感じているはずだ。だから、上で述べたように「各業務プロセスに対して顧客がどのような感情を抱いているのかも明らかにすることが重要」ということになる。

「顧客が時間(コスト)をかけていて、かつネガティブな感情を抱いているような業務プロセスを発見すること」が、売れるプロダクト/サービスを創り出すための第一歩となる。

ちなみに「ポジティブな感情を抱いている業務プロセス」をより高度化するようなアプローチも考えうるが、こちらの方が(私の経験則では)難易度が高い。

まとめ

● 3つの視点から顧客の達成したいゴールを明らかにする。
● "ペイン" を引き起こしている "プロブレム" を明らかにする。
● 各業務プロセスで顧客が抱いている感情を明らかにする。
● 顧客の言ったことは間に受けすぎない(!)

最後にサラッと重要なことを流した気がするが、これはたくさん顧客インタビューをやってみると「あぁ確かに...」となる気がする。この辺りの深堀りもそのうち記事にしようかな。

私自身が取り組んでいるプロジェクトの進捗

● 課題解決に共に取り組む仲間が見つかりました!
● 顧客の課題を(たぶん)明らかにでき、ソリューション案も思いつきました!
● 今後はプロトタイプをユーザー候補に当てていき、価値検証する予定です!

詳しいことはまたそのうち!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?