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「Exo One」という、雰囲気全振りの高評価謎ゲームについての感想

わからない…クリアした今でもわからない…。言葉でどうこの魅力を説明したらいいのかわからない…。
極めて謎なゲームでありつつも、鳥肌が立つような体験が出来た高評価ゲーム。
「Exo One」の感想を書いていきます。

とにかく、何が魅力なのか。それはその景色や爽快感でもあり、未知の惑星という神秘性に対する好奇心かもしれません。しかしなんというか、これはやはり体験しないとわからない、言葉にすると途端に魅力が陳腐になる、そんなゲームでした。

そもそもこの尖っている、かつ唯一のゲーム性であるのが「移動」です。
基本的には「地面を高速で転がるか」「フリスビーのような形に変化し滑空するか」の2パターンのみとなっています。操作方法も単純、RPGや3Dアクションの移動部分のみ抽出したようなもの。逆に言えば、それ以外何もできません。
目的は、青い光を発する謎の建造物を目指すこと。

この建造物を目指し、ひたすらに転がり、滑空します。

注意すべきなのは、ボタンを押すと高重力(つまり、球体が重くなる)というところです。これはすなわち、車でいうアクセルではなく、とにかく重力に従って転がる力が強くなる、ということです。スピードが落ちてきたからと言って不用意に高重力にしてしまうと、もしその瞬間上り坂にいた場合、後ろにコロコロと転がって行ってしまいます。なぜなら、重力が重くなるので、当然上り坂は上れず、後ろに下ってしまうからです。
そのあたりのちょっとややこしさもありつつ、なんとなく操作感がわかればストレスなくゲームを進めることが出来ます。

一応ストーリーがふわっとあるようで、かなり断片的に知ることが出来ます。ステージとステージ…惑星と惑星の合間に、ちょっとセリフと画像が表示されるくらいです。そのため、濃い物語というよりは想像で色々と補完するタイプのゲームですね。

高速で移動すること。それだけですが、見たことの無い景色を、強大な自然のもと動き続けるのは、何から何まで新鮮でした。

断片的な物語

敵もいなければ時間制限も無い。障害物も無ければゲームオーバーもない。ただただ惑星を転がり、滑空するだけ。
それがなぜか、謎の感動を生むのです。


ある意味ではスケボー、スノボーなどで高いところから滑走するようなハイスピードの気持ちよさ、エースコンバットで高高度を飛行する解放感、ゼルダでパラセールを使って飛行する爽快感など、色々なゲームにおける「移動の気持ちよさ」が詰め込まれているのは間違いありません。

しかし、感性にダイレクトに伝わってくるのは、「惑星の美しさ」「環境音の荘厳さ」そして、謎の巨大建造物などの「未知の物体への恐怖・興味」であると思われます。
見知った街や自然を移動するのも楽しいですが、このゲームの舞台は全く見たことのない惑星。そして、一面砂漠だったり一面海だったり、はたまた地面が無いような惑星が舞台になることも。

つまるところ、現実世界で受ける様々な情報が、全く入ってこないのです。人、食べ物、時間、電話、映像、騒音、何から何までが存在せず、人間の作ったルールが通用しない環境。その圧倒的なSF感を移動していくというのが、このゲームです。
既に情報が溢れている現代では、サイバーな世界で情報があふれているより、逆に情報が一切ないという世界のほうがフィクション感があるのかなとひとつの気づきを得ました。そして、そこには好奇心と恐怖がないまぜになった世界がある、そんなことを思えるような体験が美しかったです。

そう、これはもう、体験してもらうしかないのですが、ひとつ言えるのは他のゲームより何倍も現実を逃避できるということ。お酒を飲んで、ほろ酔い状態でプレイなんかしてしまったらもう完全にゲームの世界に取り込まれてしまいます。

そもそも宇宙や惑星というのは未知であるからこそ興味をひき、かつどこか恐怖を覚えるもの。

果たして私が感じ、鳥肌が立ったのは、その得体のしれない恐ろしさなのか、超広大な惑星、宇宙にただ自分だけという孤独感なのか、それとも美しい景色への感動なのか、いまだに結論付けることはできません。

これがゲームなのか、アートなのか、それも明確には判断できないのではないかと思いますが、しかしなぜか印象に強く残ってしまう。
決して万人にはお勧めできないけれども、でもお勧めしたくなってしまう。
謎の感動があるゲーム。

それがこの、「Exo One」でした。

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