見出し画像

「たこパ サバイバル」、一発ネタシンプル300円ゲーかと思ったら奥が深くて虚を突かれた


2022年8月27日、KIMIDORI SOFTより「たこパ サバイバル」というゲームが発売されました。
おそらくプレイできるのはsteamのみなのかな? 公式ホームページが見つからないので確実では無いですが、steamだけでプレイできるゲームだと思います。

「たこパ サバイバル」という名前を聞くだけ、そしてこのゲームのスクリーンショットを1枚見るだけで、何をすればいいゲームか容易に想像できます。たこ焼きを焼くだけです。

連想するのは「YAKINIKU SIMULATOR」。焼肉を焼いてポイントを稼ぐゲームと似ていると思ったので、同じような一発ネタのゲームだろうと思っていました。

しかし、実際にプレイしてみるとその奥の深さに、虚を突かれたのです。



たこ焼きを焼いて食べる、それがゲーム性

ゲームシステムは、先ほどの通りたこ焼きを焼くだけ。
お祭りなどでたこ焼きを売っている屋台を見たり、または家族や友人と実際にたこパ=たこ焼きパーティーを行って、たこ焼きの焼き方を知っている人は非常に多いと思います。大阪では1家庭に1台タコ焼き機があるというのは、本当なんでしょうか…?

たこ焼きの生地をタコ焼き機の窪みに入れ、その中に具を入れる。ひっくり返し、焼き色がついたら食べごろ。長串で取り出し、あとはソースをかけて食べる。
基本的なプレイはそれだけです。

正直、想像していたのはこのくらいまで。このくらいのゲーム性なんだろうな、と思っていたのですが、ここからが奥の深いところでした。



栄養パラメータが無くなったら栄養失調で死ぬサバイバルたこパ

このゲームにはパラメータがあります。
エネルギー、タンパク質、炭水化物、脂質というパラメータです。

このうち、エネルギーはたこ焼きを食べるほど増加します。

タンパク質、炭水化物、脂質も、たこ焼きを食べると増加します。この3つは、食べたたこ焼きの中に入っていた「具」で、増加量が違います。
そしてこれらの値は、時間経過とともに減少していきます。

このゲームの目的は、減少していくタンパク質、炭水化物、脂質の値を、無くならないようにたこ焼きを食べ続けること。
「ただ作るだけ」ではなく、栄養価を考えてたこ焼きを焼き続けないといけないのです。
栄養価が無くなると、死が待ち受けています。

もちろん、それだけのルールでは、ただ無限に作り続けて食べればいいだけ。

残っている一つの要素「エネルギー」が問題なのです。
このエネルギーの値は、他の栄養値と同様、たこ焼きを食べることで増加していくのですが、その減りが遅い(増加量が多い)うえに、一定の値、具体的には2000kcalの値を超えると、「カロリーオーバー」となり、たこ焼きを食べることが出来なくなるのです。つまりは、お腹いっぱいだからこれ以上たこ焼き食べられませんよ、という状態なわけです。
胃袋がブラックホールでは無いわけですね。

ここで活きてくるのが「スクワット」というシステム。
スペースキーを連打してスクワットを行うことで、エネルギーを(ちょっと)消費出来ます。
そう、ちょっとだけしか消費出来ないのです。だいたいたこ焼き2個分くらいでしょうか。

そして、このスクワットにはクールタイムがあります。無限にスペースキーを押せば無限にエネルギーを減らせるわけではないということです。割と気休め、緊急避難的なシステムです。

つまるところ、このゲームは下記の2点が重要になってくるわけです。

  • 栄養値をキープするように「たこ焼きの具を選別し」焼いていかないといけない

  • 食べ過ぎるとカロリーオーバーになるので、「無駄に食べず適切な具のたこ焼き」を食べる必要がある。スクワットである程度カロリーを消化できるが、消費量はわずか。

  • なおさらたこ焼きの具の選別が重要になってくる。

そんな、ゲームの本質が分かってきたころ。
さらにこのゲームの奥深さに気づかされます。


ランダム性という奥深さ

プレイ中、特定の栄養パラメータをあげるため、特定の具が入ったたこ焼きを焼こうとしたときのことです。
たこ焼きの具が「タコ」のときにはタンパク質が多く増加するように感じたので、タコの具のたこ焼きを焼いて食べようとしました。

しかし、そこに生まれる「ゲーム側のランダム性」と、「プレイヤー自らのランダム性」により、タコの入ったたこ焼きにたどり着けないような事態が発生してしまったのです。予想だにしなかった、ランダム性に阻まれ、混乱しました。

前者の「ゲーム側のランダム性」、これは「たこ焼きに入れることが出来る具がランダム生成」ということです。

画像左下に、卵やソーセージ、肉が置いてある4つのスペースがあります。ここにはランダムに具が生成され、たこ焼きの生地へと入れる具は、ここから選ぶことができます。

そして画像の通り、同じ具が被ることもあります。
本当はタコの入ったたこ焼きを作りたいのに、現状、そもそも具の選択肢にタコが無いので、作れません。

そのため、まずは他の具をたこ焼きの生地に投入し(または捨てて)、次にランダム生成される具がタコであることを祈る…という行為を、1回か、2回か、もしかしたら10回以上繰り返す必要があるかもしれません。具ガチャです。

そしてそんなことを繰り返していくうちにもどんどん時間は経過、栄養値は低下していきます。(早くタコ出てくれ…!)と焦ります。

ランダム性×時間×焦り、このゲーム300円なのにちゃんとそういうゲームバランスを仕込んでくるなんて、よく出来てるじゃん…と思わずにやけてしまいました。



「どこに何の具を入れたっけ」

そしてもう一つ。ここが凄かったんですが、それは「プレイヤーによるランダム性」です。
先ほどの行為こと具ガチャを繰り返し、ようやくタコの具が生成され、生地に入れることが出来ました。

そしてここで大事なのは、「どのたこ焼きにどの具が入っていたか」を覚えないといけないことです。

たこ焼きの具は…
ひっくり返すと見えない!

そう、ここがめちゃくちゃ盲点でした。
たこ焼き、具を入れるまでは良いものの、ひっくり返しちゃうと具が見えなくなるんですよね。
まるで神経衰弱のように、「どこに何の具があったっけ」と覚えておく必要があるわけです。

そしてさらにやられた! と思ったポイントがもうひとつ。
ここで、「どこにどの具を入れたたこ焼きがあった」かを覚えられたとしても、もう一つ罠が仕掛けられています。
それが、「皿への取り分け」です。

焼けたたこ焼きを、皿(最大8個まで)へと取り分けました。
この皿には縦2列横4列、たこ焼きを合計8個置けるのスペースがあり、その8か所のスペースのうち、空いているところに自由にたこ焼きを取り分けることが出来ます。

必ず左上から配置される…とかではない

つまり、何が言いたいか。
「よし、このたこ焼きにはタコの具が入っていたな、じゃあ急いで取り分けて、他のたこ焼きも一緒に取り分けて…」

……

「あれ…どこにどの具のたこ焼きを『取り分けた』っけ!?」

こういうことが発生してしまうのです。
これがもう「やられた!」と思った瞬間でした。

ゲームの中で、どの具が生成されるかわからないというランダム性はゲームが用意したトラップ。
しかし、その具をどこに取り分けたかを覚えていないのは、間違いなく自分のトラップ。
何事にも記憶力と注意力を持って臨まないといけないと、300円で教えてもらえるのです。

栄養の値とエネルギーの値を確認、食べるべき具を選定、タコ焼き機で焼く、焼く過程で具が見えなくなっても記憶しておく、皿に取り分けるときも油断しない、そしてこれら一連の流れをスピーディーに行う。

いや、本当に、Vampire Survivorsとかもあるので一概には言えませんが、300円のゲームだし一発ネタで3分プレイしたら飽きるゲームでもいいかなと思い購入したのですが、思いのほか奥が深かったです。

おまけに、サバイバルを繰り返すうちにゲーマー歓喜の「アップグレード」システムも存在します。

どんどん強くなる基礎代謝やスクワット効率…思わず続けたくなりますね。



たこパは戦争、オンラインバトルがバカ面白い

そしてやはり書いておかないといけないのが、「オンライン対戦」の面白さ。
これまで記載してきたサバイバルを、最大4人のプレイヤーで行うのです。

そしてそれは、1つのタコ焼き機を共有してプレイすることになります。つまり、たこ焼き争奪戦争が始まることを意味します。

もう、誰がどのたこ焼きを作っているとか、何の具が入っているとか、考えている暇はほとんどありません。お目当ての具のたこ焼きを、とにかく食べ続けましょう。

他のプレイヤーが作ったたこ焼きを奪い、または自分の作ったたこ焼きを奪われ。協力プレイなのか対戦プレイなのかわからないものの、このわちゃわちゃ感が最高に楽しいのです。

ルール無用のサバイバル

そして遭遇する「具無したこ焼き(具が入っていないのでエネルギーだけが増加する、厄介なたこ焼き)」を量産し始める荒らしプレイヤー。
ゲラゲラ笑ってしまいました。
なにこれ、300円でこんなに楽しい思いしていいの?
心からそう思う、肩の力を抜いて楽しめる気軽なインディーゲームでした。

KIMIDORI SOFTさん、フードデリバリーサービスを遊んだときは正直(あんまり面白くないな…)と思い、LOST EGGを遊んだ時は(難しすぎてイライラするな…)と思い、あまり自分には合わないかな? と思っていたのですが、このゲームは安くて簡単でしかも奥が深くて最高でした。

こういうのがあるからゲームを追い続けるのがやめられないんですよね。これからもKIMIDORI SOFTさん、追いかけていこうと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?