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『ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス』を観た(2017/9/15)

横浜で三年に一度開催される現代アートの国際展。

横浜美術館、赤レンガ倉庫、開港記念会館の三会場での展示に加え関連イベントも周辺で行われていて、横浜駅降りて直ぐのところにもあちこちにでかでかとヨコハマトリエンナーレの広告が掲げられていて街全体が盛り上がっていた。

芸術祭テーマは『接続』と『孤立』


最初の横浜美術館には平日の開館時間前に行ったものの、既に開館待ちの人が集まっていて、遠足だか社会科見学なのか、小学生も列をなして規則正しく見学していた。制服を着た中高生もちらほら。学校推奨の芸術祭なんだなあ。

↑日本の注連縄からヒントを得たらしいジョコ・アヴィアント作『善と悪の境界はひどく縮れている』を潜って会場へ。

映像作品もあり、作品によっては触れるものもあったので聴覚と触覚も刺激される。

川久保ジョイ作『アトラスの壁』の横の壁に『この壁は絶対にさわってください→』って鉛筆で書かれていたからその文字の部分を一生懸命触っていたんだけれど、会場スタッフさんに「こちらの壁を触ってください」って作品そのものに丁寧に促されてしまってちょっと恥ずかしかったな…。でもあの鉛筆の文字あからさまに薄れていたから、絶対に同じ間違えをして触った人が沢山いたんだろうな。手で触れて研磨したツルツル具合と壁の層の厚みがよく分かった。

↑マウリツィオ・カテランの作品をこの並びで展示しているのはかなりしてやったりな感じだよね。

横浜美術館の展示作品、割りと子どもに見せて大丈夫なんだろうかって感じのものもあったけれど引率の先生方は分かっているんだろうかとちょっと心配になった。

赤レンガ倉庫一号館の展示はテーマを踏まえつつもエンターテイメント性に長けているものが多くて楽しめたし感動した。銅像を揉みほぐす人は完全にウケ狙いだよね。


その中でもラグナル・キャルタンソンの映像作品『ザ・ビジターズ』が良かった。部屋にスクリーンが沢山設置されていて各スクリーンに一人ずつ演奏者が映し出されているんだけれど、最初から最後まできっちり観ていると感嘆の声が漏れてしまう。映像を観ていると来場者も知らず知らずのうちに接続していってしまう事に気付いて面白かった。

家電と楽器を融合させた作品は骨太サウンドでカッコ良かったな~。

メインの展覧会以外にも、水族館劇場の『もうひとつのこの丗のような夢ー寿町最終未完成版ー』というお芝居も催されていたので、せっかくの機会なので観に行ってみた。

お芝居の初めに顔見せの前芝居というのを会場の前でやり、これに関してのみ写真撮影可!
水溜まりをものともせず観客の間を縫って次々とあちこちから現れる役者に圧倒された。
役者の数より登場人物が多いとか、役者じゃない人が役者をやっているとか、台本が毎日加筆修正されるとか台詞に楽屋ネタを挟みまくっていたけれど、物語自体が夢かうつつか、あの世かこの世か、意思の無い物語の一員にすぎないのかっていう世界観だったから楽屋ネタがむしろカオス度合いを増幅させててだんだん狂気を帯びていて面白かった。
そして水飛沫が凄かった。舞台って凄い。

ヨコハマトリエンナーレ全体を見終えて、人それぞれテーマを色々な表現で形にしていて、スタイリッシュなものもあればまじまじと見ると生臭く混沌としているものもあり、今できる表現、今表現しなければなら無い事、とにかく今体感して欲しい。という熱意は感じた。あとやっぱり日本で開催されている以上原爆と原発は現代アートからは切り離せない存在なんだろうなと思った。

色々な国の文化・思想に触れ、楽しみ、世界から日本、一人の人間の精神世界、マクロからミクロまで今現在を改めて見つめる事になる展示で、異国情緒漂う港町に相応しい芸術祭だった。

会場:横浜美術館・赤レンガ倉庫一号館・横浜市開港記念会館、等
入場料:1800円
期間:2017年8月4日~11月5日
※ほぼ全面的に写真撮影可

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