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書評 #53|看守眼

 風景や色、視界や感覚が反転するような感覚を覚える。横山秀夫の『看守眼』の中でも、その波は押し寄せる。言葉は淡々と積み重なる。無駄なく、シャープに。そして、クライマックスで明かされる真実は大波のごとく、読者の想像を軽々と超えていく。

 短編作品のどれもが重厚だ。それは個人の生き様を確認するからに他ならない。謎を追い求める冒険。描かれるディテールの数々に筆者の創造力と多くの言葉を抱える懐の深さを感じる。


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