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食レポ|麺や 維新

 冷気が顔をなでる。灰青の空が地上に色を落とす。目黒駅の前を抜け、足は「麺や 維新」に向かってコンクリートを踏んだ。

 繁華街の外れ。引き戸を右に開け、店内へと入った。左には食券機。均一な所作の流れ。食券機の正面を眺める。僕は「ワンタン麺」のボタンを押した。

 左右には半透明の仕切り。眼前のカウンターへと意識を反射させる。僕はこの時間に店内の空気に同化する。ラーメンを口にする前の儀式のように。

 琥珀が浮かぶ、白の丼が差し出された。美しい。淡い煙が吐き出されるように、「麺や 維新」ではそんな感想がいつも頭に浮かぶ。均等に盛られたワンタンは視覚的な間を作り、中央のネギが差し色を添える。

 スープを口にした。緊張がほぐれる。細く、柔らかな麺が喉を水のように流れていく。ワンタンを割り箸で口へと運んだ。うまい。流れ出る肉汁。生姜だろうか。鼻腔に適度な刺激が広がる。際立つワンタン。微差だが、この違いに価値を感じた。

 十分のラーメン鑑賞。日本庭園の前で心を無にしたかのように、食欲が浄化された。


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