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「詩 その他」から分離して、詩のテクスト情報を掲載します。
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#自由律

眼〈fetishism31の為に〉〈4,眼〉

一方の眼は突き刺し
一方の眼は受け取る、
その激しい葛藤の為に、
桃色の鏡は裸になる。

流される煙の幾つかを、
御前は呼吸して巡回させ、
タバコで恍惚とする天井が
逆様になるのを待っている。

真っ黒な点滴で満たされる水槽に銀色の帯が泳いでいる。神経の様な筋繊維の様な伸縮と緊張、丸で一滴の毒で軟体動物になってしまった自我である様に、魂は液体と化して水中を泳ぐ。どれだけ舐められれば満たされ、どれだ

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ギザギザ

ギザギザ

 「何を遊んでいるのか」、と問い詰められる沈黙の中で
 だらりと思考停止して、花火が飛び交うのを眺めている白昼、
 繰り返しタバコを蒸して咳き込んで思う、
 詩を書く方が大変だ。

 この世に対する不誠実さがなければ、惨状を真に受けるしかないではないか。
 Wordが赤い波線を引く、「御前の日本語おかしいよ」
 きっと、私はタバコをやめるべきなのだ。
 或いは、詩を書く事をやめるべきなのだ。

 

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まぼろしは寂しくない

まぼろしは寂しくない

 だるい肉体が十月の雨にくたびれて
 血液が重たい塩分で満たされている様な疲れだ。
 雨は衣類に纏わり付き、汗がベタベタとして、
 思考はムズムズとした痛み。
 欺瞞なき正義と振りかざす事が出来るか?

 他人を通して自分を傷付けてゴソゴソと咳をする、
 イライラとした詩人が、
 「御前は間違っている」と云われた時にやっと言葉を掴み、
 雨は憔悴した意志を溶かしてしまう。
 「私は何者であり、何処

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長い雲

長い雲

長い雲、なら行くぞ、習い事ならば淡い嘘、
魚を洗う合間に、忽ち、腹這い彼方へ、抗い逆立つ、儚く。
赤い模様は、ただまだ曖昧、荒い紫陽花、泡に溶ける、さらばと。
裸で戦う花々とならば、陣取りゲームが幾つも交わる。

華々しく宜しく、久しく、優しく、微妙(いみじ)く無花果チクチク、
散り散りの意識を横引く。其処へ響く、凛々しく、厳しい、
許しを緩やかななる契りの、
御腹へ導けるかな?

長い雲、生もの

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