見出し画像

【実況する美術鑑賞#44】狩野芳崖「悲母観音」【毎日60分で1記事】

名画を鑑賞して実況しながら、毎日1時間でnote1記事作っています。

<ルール4.0>
・なんとなく知っているけど、よく知らない作家作品を一つ選ぶ。
・作品を3分鑑賞しながら実況し、文字起こしする。
・15分を目安に作品について調べる。
・必要あれば再度作品をよく見る時間をとる。
・5分で調査の結果なども含めて再度鑑賞実況し、文字起こしする。
・30分を目標に文字起こし内容を編集する。
・上記の作業を1時間で完成させNOTEの記事にする。
・ほぼ毎日続ける。
・名称を【実況する美術鑑賞】作家名「作品名」【毎日60分で1記事】とする。
(2021.9.23改定)

では、まず作品を3分鑑賞して、発見したことを書き出します。
今回の作品はこちら

画像1

・3分の鑑賞で気づいたこと

狩野芳崖さんの「悲母観音」という絵ですね。狩野ということで、琳派的な、今までも尾形光琳さんの絵なんかを見ましたけれども・・この絵も背景は金箔という感じですかね。

金箔で言えば屏風絵も色々見てきましたが、こちらの絵は、それよりはもう少しリアリティがあると言うか、写実的な感じがします。

雲の形とか図式化したようなところもありつつ、、体の等身とか、多少ディフォルメはありつつも、ちゃんと人体が描かれている感じがします。

画像2

主題は何かよくわからないですけれども、母っていう文字がタイトルにもあって、絵の中に子供がいるんですけど、それが細胞の中にいるような、卵子の中にいるような・・卵子に精子が着床してるような・・感じに僕は見えて・・江戸時代とかっていうよりは、もう少しそういった科学の眼が入ってきた時代の絵に見えるかなって思います。

どういうシーンなんでしょうか・・生命が誕生するっていうような、そういう雰囲気もあるような気もしますし、「悲しい母」っていう文字が題に入っているので、もしかしたら水子的な、命が誕生できなかった悲しい場面で、それを観音様が救っているところなんじゃないかなっていう、そんな風にも見えます。

画像3

場所もね、雲の上なのか、海の上なのか、もしくは体内みたいな・・どこでもない異空間・・そんな感じもしますね。
観音様も性別がないと言うかね、母っていう題は書いてありますけどでも、母でありつつも男性的なところも少し見えつつもという・・そういう不思議な風体に感じました。

・作品・作家について
狩野芳崖
「悲母観音」1888年

参照:

・さらに5分の鑑賞で考えたこと

画像4

やはりこの絵は明治期に描かれたらしくて、元々は狩野派の絵師だった芳崖さんが、時代が変わった中でフェノロサとか岡倉天心と出会って、日本的な表現の中に西洋絵画的な明暗とか奥行きを融合させた、新しい日本画を作っていったという中での、最高傑作と言われているものだそうで、この絵は死ぬ4日前、5日前まで手を入れていた絶筆の作品だそうです。

身体描写的なところに僕はそういう写実性を見てましたけれども、この空間と言うか、従来だったらこういう絵はもっと抽象的な空間として描くものなんでしょうけども、奥行きとかが感じられるっていうのが、西洋画の特徴が見られる部分だそうです。

画像5

観音様なので、男か女かわからないっていうような話も、先ほどの鑑賞の中でしましたけれども、やっぱり元々はどっちか分からないような・・むしろもっと男性っぽいような表現をしていたんですけど、この絵はすごく女性に寄せて観音様を描いてあるそうです。

それも西洋画を学ぶ中で、観音様と子供の関係を、マリアとキリストの関係に見立てて、女性的に変えていったんじゃないかって言う解釈もあるみたいです。

この作品を描く前の、ほぼ同じ構図で描かれた「観音」っていう作品があるんですけど、それはねすごく男性的というか、僕らがイメージする観音とか仏像に近い顔で、今日見た絵よりも女性らしさは無いんですよね。

男性的な方の観音様はですね、金箔ではなく、墨絵的な感じで、また違った力強さがあったり、被り物の細かい描写であったりとかっていうのは、見所なんですけど、大きく今日の絵と感じ方として違うのは、今日見た女性的な観音様の方が、子供との関係性を強く感じるかなっていう感覚がありますね。

男性的な方の絵の方は、観音様に感情とかっていうのがあんまり感じられず・・まあ神様ですよね、仏様なので、淡々と生命を授けている・・あ、そうそう、これは誕生のシーンみたいですね。その水子とかではなくて・・生命が誕生しているシーンに、何か水差しから水をかけているのかな、そういうことをしているそうなんですけれども・・淡々とした感じがします。

画像6

一方、今日見た観音様の方は、基本的にはそんなに強い感情ではないんですけれども、表情とか目線とかを見ると、子供と何かこう・・言葉を交わしてるわけではないでしょうけど、コミュニケーションと言うか、お互いのやり取りがありそうなんですよね。逆に男性的な方の観音様は、一方的に生を授けているみたいな感じなんですけど・・そんな風なところがちょっと違いとしてあるのかなって思いました。

ただ、赤ん坊が入ってる丸いカプセルみたいなものがあって、そこから紐みたいなものが出ていて、これが僕には精子と卵子みたいに見えてたんですけど、逆にその男性的な観音様の絵を見たときに、あ、この紐みたいなものはへその緒だったのかなって思いました。

あなたにはどう見えましたか?
また次回!


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?