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気ままな鑑賞エクササイズ#21 ティツィアーノ「カール5世騎馬像」

1時間でnoteを1記事作る、エクササイズのような鑑賞をやっていこうと思います。記事を読むだけでも、同じように時間を測って擬似体験してみても面白いかも。

<ルール3.0>
・作品を3分鑑賞して気づいたことを話し、文字起こしします。
・その後15分を目安に、書籍やネットで調べます。
・再度作品を3分よく見ます。
・5分て調査の結果や、改めて気づいたことを話し、文字起こしします。
・30分を目標に記事を編集します。
・上記の作業を1時間で完成させ、毎日続けます。
(2021.9.改定)

では、まず作品を3分鑑賞して、発見したことを書き出します。
今回の作品はこちら

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・3分の鑑賞で気づいたこと

騎士のような人が黒い馬に乗って・・こう勇ましく槍なんかを持っていますね。肖像画っていう感じなんでしょうか・・なんか空模様が独特の色合いっていうか・・まぁ夕日なのかなーっていう感じもするんですけど、なんかこう空想の世界のようなそんな色合いも少しするかなっていう感じですね。

主人公のこの騎士の人とは目が合わないですけど、馬とは目がバッチリ合うっていう感じがしますね。馬がしっかりこっちを向いてる気がします。

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乗ってる人は結構向こうの方を見つめていて、すごく細い鎧の文様と言うか、意匠がよく見えるなーっていう感じがします。ちょっと向こうの木の遠近感とかがおかしな感じもしますけどね・・すごいちっちゃいっていうか・・何かモナリザとかってこれぐらいなんか背景と人物の大きさの差が激しかったような気がしますけどね・・

あと、すごくこれは暗い絵ですね、左半分・・左斜め半分ぐらいがすごく暗くて・・その中に馬もすんごい暗い色でなんかあまり形が見えないぐらい真っ黒でね、その代わりにこの鎧のキラキラした感じとかがすごく際立っているみたいな感じですかね。

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この人はどこの国の人なんでしょうか・・なんとなくドイツとかイタリアとかそこら辺ですかね・・なんか襟が覗いてますね、鎧の中から・・赤いというか朱色のタスキとか、馬の飾りとかがこう画面を締めているような、そんな感じがしますね。

やっぱりすごくこの空の・・空模様がなんだろう・・こう肖像画だったとしたら、ちょっと不穏と言うか、なんか物語のクライマックスに向かうような雰囲気って言うかね・・この人がだからその映画の主人公だとしたら、この後に生き残るのか、それともすごい壮絶な最期をとげるのか、どっちかわかんないような・・そんな空模様だなっていう風に思いました。

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・作品・作家について
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
「カール5世騎馬像」1548年 


・調べたこと

ティツィアーノ・ヴェチェッリオによるカンヴァス上の油彩画である。ティツィアーノがアウクスブルクの神聖ローマ帝国の宮廷にいた1548年4月から9月の間に制作された。この作品は、1547年4月のミュールベルクのプロテスタント軍との戦いで勝利した後の神聖ローマ皇帝カール5世へのオマージュである。現在、マドリードのプラド美術館に所蔵されている。

本作品のもたらす衝撃性は、その直接性と内包されている活力の印象を部分的な拠り所にしている。馬の力は適切に抑制されているように見え、カール5世の鮮やかに輝く鎧と絵画の深紅色は、戦闘と英雄的行為を想起させる。ヒュー・トレヴァー=ローパーによれば、カール5世は「勝利に歓喜していない。落ち着いていて、抑制されていて、思慮深いが、穏やかである」[1]。ティツィアーノは実際の戦闘で使用されたものを利用して、前景にあるすべての要素(馬、その馬衣、および皇帝の鎧)を描いた。鎧と馬具の両方が現存しており、マドリードの王宮に所蔵されている。本作は1827年にプラド美術館に移されるまで、スペイン王室のコレクションにあった。

肖像画は、カール5世の妹であったマリア・フォン・エスターライヒ(オーストリアのマリア、ハンガリー女王)から依頼され、カール5世は、自身をどのように描いてもらいたいかを指示した。皇帝は、他者にどのように見られるかを決定する際の、肖像画の重要性を非常に認識しており、画家としてのティツィアーノの熟練した技量だけでなく、皇帝を支配者として提示する手法をも高く評価していた。

ティツィアーノは、皇帝の年齢と身体的な虚弱さ、そして力強く、意思の強い、ダイナミックなリーダーとしての皇帝の名声との間に緊張関係を作り出している。それはカール5世を英雄的に描写しているということにより非常に明白であるが、戦闘の兆候のない穏やかな夜明けという場面設定をし、その中に皇帝を登場させている。皇帝は痛風に苦しんでいて、実際には輿に乗せられて、戦場に運ばれた。その脆弱性は、暗い頭上の雲、疲れた表情、突顎(下顎が上顎の線を超えて突き出ている)によって示されているとはいえ、それらは皇帝の強い決意を伝えるために逆手に取られている。ティツィアーノは皇帝の背後にある暗い色で塗られた木、一面に曇った空、皇帝の冷静で、しかし鋼のような、遠くを見つめる視線を通して、安定感と制御感を描き出している。カール5世と馬が開けた土地に到着したときの槍と突進する馬の描かれている角度によって、前進している印象が示されている[7]。空もカール5世の勝利に共鳴しているが、風景と同様に暗い色調も含まれている。空の情景はティツィアーノの最高傑作と見なされており、「燃えるようで、影に満ちている。金色の光が青い不吉な雲と戦っている。風景は、カール5世が支配する広大な領土と、陰気な魂の心象風景を示唆している」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB5%E4%B8%96%E9%A8%8E%E9%A6%AC%E5%83%8F
神聖ローマ皇帝にしてスペイン王のカール五世(1500〜58)は、16世紀ヨーロッパで最も権勢を振るったハプスブルク家の君主。画家との関係は1530年、ボローニャで行われた皇帝の戴冠式で肖像画を描いたことから始まる。以降、皇帝はティツィアーノ以外の画家に肖像を描かせなかったという。画家は皇帝という最強のパトロンを得ることで一挙に名声を高め、皇帝はティツィアーノに肖像を描かせることで後世にそのイメージを残すことになった。(略)君主や武将の騎馬像はしばしば絵や彫刻に表されてきたが、槍を構えるその姿は「龍を退治する聖ゲオルギウス」を連想させる。「週刊美術館 ティツィアーノ ティントレット」

・さらに5分の鑑賞で考えたこと

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作者のティツィアーノって、前にあのマグダラのマリアを#2で鑑賞したんですけど、その時も色彩の画家、ヴェネツィア派は色彩だみたいな話があったと覚えてます。

最初ちょっと本の写真で見てたんですけど、Wikipedia の画像が解像度が高くて、そっちで改めて見ると、やっぱり空の色はやっぱりそれはそれですごく魅力的なんですけど、またこの鎧の・・この銀、鈍い銀色と、鈍い金色の感じっていうのがめちゃくちゃかっこよくて・・ちょっとこの色合いと質感にうっとりしちゃいましたね。

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このカール五世という皇帝と、ティツィアーノさんは割と仲が良くて、カールさんはティツィアーノにしか自画像描かせなかったっていうことなんですけども、馬に乗った自画像って言うと、ダヴィッドのナポレオンとかがあるんですけど、それはすごく理想化された感じな気がするんです。

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けど、このカール五世はまたちょっとそれとは違う感じの派手じゃない理想化と言うか・・まぁこの人実際には体が弱くて、馬に乗っては行かなかったらしいので、この像はこの像でフィクションではあるんですけど・・この表情であったり、佇まいであったりっていうのが、非常にこうなんか控えめなんだけど、そこに誠実さとか頼れる感じとかそこら辺を出しているって言うのがあって。

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この絵自体は、そのカール五世本人が色々注文を出して描かせたっていう風に書いてあったんですけど、そういうイキって、こう見せびらかすような感じじゃない・・自制心に溢れた、セルフプロデュース力的な・・そういうことを感じたりしました。

この作品自体もすごく有名な作品らしくて、後世に自分がプロデュースした姿が残ってよかったんだろうなーっていう感じですけど、すごいそれはうまくいったんじゃないですかね。

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さっき赤が気になったって僕は言いましたけど、その宗教的に結構重要な色で、プロテスタントとの戦争に向かうこっちはカトリック側の軍を率いてた皇帝なんですけれど、そのカトリックっていう中ですごく赤ってのは重要な色だったので、印象的に描かれていたりとか、

あと空の色も、戦争には向かうっていう場面を知ってこれを見ると、なんかそういうさっき感じてた不穏さってのは、この人に降りかかってるって言うよりは、その向かう相手のことをもしかしたら示している・・そういう野蛮な空間へ向かう勇ましい皇帝みたいな・・

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そういうことであれば、まあなんかそういう空の感じもあるのかなみたいな・・カオスの土地を、まあ明るくして行くと言うか、今秩序をもたらしていくような・・そういうなんか説得力にも見えてきますね。この佇まいとか、やっぱりこの鎧の堅牢さとか、揺るぎない描写みたいなところなんかがそんな気もしてきました。

非常になんかこう他の騎馬像にも影響を与えたっていうので、似たような騎馬像があったりとか、

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あとはまジョルジョっていう・・ゲオルギウスですかね聖ゲオルギウスのドラゴン退治の図を参考にしたっていうのも色々書いてあって、

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あーなるほど騎馬像っていうもののなんかスタイルみたいなのっていうのがあるんだなーってのは、今日一つちょっと覚えたところかなーって思いました。

あなたにはどう見えましたか?
また次回!


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