ああ、大仏さま(下)〜お土産〜
☆(中)のつづき☆
興奮冷めやらぬまま、東大寺ミュージアムへ入る。落ち着いた空間でゆっくり見てまわったが、その間もずっと大仏さまのことを考えていた。ショップで1枚だけ、ポストカードを買って外に出た。
屋台で賑わっていた道を、またてくてく歩いて、今度は近鉄奈良駅のほうへ向かう。朝買ったツナマヨと梅のおにぎりが、まだ鞄の中に入ったままだった。すっかり忘れていた。全然お腹が空いていないから、家に帰ってから食べよう、と思った。途中でお腹が空いたらベンチとかで座って食べてもいい。この気軽さはひとりならではだな、と思う。
近鉄奈良駅で、プリン屋さんを見つけた。奈良に来たら是非買って食べたい、と思っていたプリン屋さんだったので、「これは!」と思い、お店へ直行。
今買って帰らなければ、今度いつ食べられるかわからない。どれにしようかな。あまり迷っている時間はないが、どのプリンも珍しいものばかりで美味しそう。わたしの前には3、4組並んでいる。一番人気のカスタードはやはり抑えたいところだ。たくさん並んでいるので、まだショーケースからはなくならないだろう。ショコラはあと6つぐらい。特産品の大和茶を使ったものも気になるし、大和の地酒を使ったプリン、なんてものもある。地酒のプリンは「新感覚」「女子に人気!」と書いているけど、どんな味がするんだろう。
6つあったショコラが、1つ、2つと減っていった。みんなショコラを買っていく。でもわたしは次の次。まだ3つあるから、わたしの番までは持つだろうと思った。
そしたらまさかの前に並んでいた人が、ショコラを3つ注文して、ショーケースが空になった。「!」と思ったけど、店員さんが素早くショコラを補充してくれて、ホッとする。迷ったけど、ショコラとカスタードと地酒のプリンを一つずつ注文した。これを全部独り占めで食べられるのか、と思うとニヤニヤしてしまう。
家に帰って着替えもせずに、そのままひと息つく。まだ青い空は高いけれど、少し風が出て木々がゆれている。夕方独特の、部屋に入ってくる風がさわさわ肌をなでて気持ちいい。だんだん日が長くなってきて、そんなに気持ち的に焦らなくてもいいから、うれしく思う。
ごろんと寝転んで、スマートフォンの待ち受け画面を、今日撮った大仏さまに変えた。ちょうどお腹が空いたので、ツナマヨと梅干しのおにぎりにかぶりつく。(コンビニのおにぎりのフィルムを、わたしはいつもうまくペリペリできずに海苔がフィルムに残ってしまう) 初夏の好きな時間にひとりで食べるおにぎりは、いつもよりも美味しく感じられた。
冷凍庫に王将の冷凍餃子が入っている。ガッツリ食べたいので、今日の晩御飯は餃子にしようと思った。ハイボールも冷蔵庫に入っているので、それも一緒に飲もう。考えただけで喉が鳴る。最高じゃないか。
大仏さまに会えて、プリンも買えて、いい1日だった。ずっとこんな毎日が続いたらいいのにな、と思うけど、続いたら続いたでいずれ飽きがくる。
何も難しいことを考える必要はない。考えたくもない。今日がいい日だった。それでいい。それがいい。よいしょっと腰をあげて、餃子を冷凍庫から取り出して、焼きはじめた。
完
おまけ
後日、プリンを堪能。どれもすごくなめらかで、口あたりが良かった。カスタードとショコラはなんとなく味の想像がつくけれど、地酒のプリンは本当に面白い味だった。口に含んだ瞬間お酒の味がぷんと入ってきて、そのあとなめらかなプリンの味があとを追ってきて、「おお、なにこれ」と思わず笑ってしまった。もちろん美味しい。
「間違いなく美味しい」って決まっているものもいいけれど、「美味しいにたどり着くのか、たどり着かないのかわからない」というこの感じが好き。自分で料理するときもそうだ。先の決まっているものは、あまりどきどきしない。わたしはどきどきしたい。
もとは父の日ギフトだったみたいで、これなら男性の方も喜んで食べてもらえそうだなあ、と思う。お取り寄せもできるらしい。是非。
そしてこの瓶、かわいくて捨てられないので、何か入れようと思ったのだけど、結局一度出したお茶のティーパック入れになっている(1回出しただけではもったいなくて捨てられない)
もっと有効活用したいのだけど、是非おすすめの活用方法があれば教えて下さい。地味に募集しております。
ありがとうございます。文章書きつづけます。