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太古の大噴火:中央南部平坦~中山間地域【都道府県シリーズvol.32広島県part1】

広島県は地形的な特徴で12の地域に分けられます(※筆者個人の見解です:過去記事はコチラ)。
今回は中央南部平坦~中山間地域の地形と地質のお話です。

再確認

場所について復習しましょう。

地形区分

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

広島県の中央南部平坦~中山間地域は上図のです。

⑧地域市町村

ご覧のように、熊野町・呉市・竹原市・大崎上島町・江田島市の全域と、周囲の6市町それぞれの一部地域です。


地形を見る

では行ってみましょう!

画像3
地形図_地域範囲

下の画像は地域範囲を入れたものです(赤線と赤点線)。
全体的に山は多いですが、それほど標高は高くなく、中央部に盆地状の平坦地があります。

画像5

本州側を拡大してみると、北東ー南西方向にのびる谷や尾根が目立ちます。

地形図_リニア

こんな感じです。上の図と見比べて見てください。

地質図_断層

地質図を見ると同方向の断層が多いのが分かります(※太黒線)。
おそらく地質図に標記されないまでも、この方向の小規模な断層や節理(割れ目)が多いのだと考えられます。


大地の成り立ち

この地域がどのようにして形成されたのか?
地質図を見ながら、歴史を追っていきましょう。
大きく分けて4つのステージになります。


〇ステージ1:古生代石炭紀後期~ペルム紀
隣接の岡山県の中央部山間地域と同じく、約3.3億~2.5億年前海洋プレートその上の堆積物が大陸にくっつきます。いわゆる付加体です。

地形図_01

北の方の赤で囲った範囲です。
色と地質の関係は以下のとおりです。

薄い緑:海洋プレートの上に溜まった泥岩
緑:玄武岩(サラサラのマグマが固まったもの)・・海洋プレートの一部
紫:斑レイ岩(玄武岩質マグマが地下深くでゆっくり冷却)・・同上


〇ステージ2:中生代ジュラ紀前期~中期
約2億~1.7億年前、さらに付加体がくっつきます。

地形図_02

赤で囲った範囲です。
各地に散らばっているように見えますが、これは新しい時代の地層上を覆っているために隠されたり、マグマが貫入しているためです。
もともとは一連の地質としてつながっていました。

灰色:混在岩・・付加体がくっつくときに圧力でグチャグチャになった地  層。泥岩やチャートなどゴチャ混ぜ。英語ではメランジュ
オレンジ色:チャート・・プランクトンの殻が集まってできた硬い岩石
青:石灰岩・・南の海のサンゴ礁が大陸に付加したもの。

このスケールだとチャートや石灰岩は小さくて見えませんが、小規模ながら混在岩の中に入っています。

ステージ1の地質とこの時代の地質がこの地域の土台になっています。


〇ステージ3:中生代白亜紀中期~後期
恐竜が生きていた最後の時代である白亜紀の約1億年~8400万年前火山活動が活発化します。
この時、日本はまだ大陸の一部で、当時は陸地で礫岩が堆積していました。
そこに花崗岩質マグマが地下にたまり、大噴火を起こします。
この時に噴出した大規模火砕流が礫岩やステージ1・2の地層の上に覆いかぶさりました。

地形図_03

赤で囲ったのが礫岩です。
その他は広範囲で目立つので図示しませんでした。

薄いピンク:大規模火砕流堆積物(火山が大爆発を起こして噴出)
ピンク:花崗岩(ドロドロのマグマが地下深くで冷却)
濃いピンク:花崗閃緑岩(花崗岩と閃緑岩の中間のマグマ)
朱色(真ん中あたり):流紋岩貫入岩(浅いところに貫入して冷却)

大規模火砕流や花崗岩は特に、地域外にも広く分布しており、かなり大規模な火山活動だったと思われます。


〇ステージ4:新生代第四紀更新世~完新世
時代はざっと飛んで、約258万年前~現在
河川などの堆積物が堆積します。

地形図_04

あちこちに点在する細かい個所は図示しきれませんが、盆地を中心に分布しています。

現在は活火山のない広島県ですが、大昔はとんでもない大噴火があったようです。
以上、お読みいただきありがとうございました。


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