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こんなところにあったのか?!:【ジオ散歩vol.6:宮城県仙台市No.2-2】

「市街地を実際に散歩しながら地形・地質を楽しむ」シリーズ、ジオ散歩。
仙台市の天然記念物を探す散歩でしたが「霊屋下」「橋の下あたり」の2つのヒントに該当する場所には見つからず・・。
今回は近くにある公園のような場所に望みをかけ、行ってみます!

場所は?

サラッとおさらいしましょう。

宮城県と仙台市の位置:スーパー地形画像に筆者一部加筆

スーパー地形は元データとして国土地理院の「電子国土」を使っています(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

仙台市は上図の着色した地域です。

探索箇所の位置:スーパー地形画像に筆者一部加筆

JR仙台駅(青丸)から南西へ約2kmの場所(赤丸)が霊屋下(おたまやした)で、前回の探索地です。

探索箇所の位置②:スーパー地形画像に筆者一部加筆

拡大しました。
前回はこの赤枠内を探索しましたが、見つかりませんでした。
そこで今回は南南東の公園らしき場所に行ってみます。

探索箇所の位置③:スーパー地形画像に筆者一部加筆

こちらです。

橋を渡って公園(?)へ

では行ってみましょう!

探索中の風景①:筆者撮影

霊屋橋をわたって突き当りを右へ。すぐ目の前の郵便局のあるY字路を右に曲がります。

探索中の風景②:筆者撮影

右折しました。しばらく真っすぐ歩きます。

探索中の風景③:筆者撮影

これは!
公園の入り口でよく見かけるバリケードみたいなものですよね。
車やバイクを侵入させないためのモノ。

そして横(右)を見たら・・・

霊屋下セコイア類化石林看板:筆者撮影

ありました!
う~ん、ここって一応、マップ上の地名は米ヶ袋(こめがふくろ)なのですが・・・(;^ω^)
せめて霊屋橋の南と説明されてれば一発で行けたのになぁ(笑)

まずは崖を見る

せっかくなのでメインディッシュは後回しにして、下流の崖を見ながら目的地に向かってみます。

探索ルート①:スーパー地形画像に筆者一部加筆

こんなルートです。

広瀬川沿いの崖①:筆者撮影

だいぶ落差がありますね。
崖のすぐ近くには建物が建っていて一見すると「大丈夫なの?」と思いますが、崖上部にはコンクリートが吹き付けられています。
弱い部分だけ対策し、その下は岩盤なので対策の必要がないと判断されているのですね。また川沿いには侵食を防止するための土嚢が積まれています。

崖に見える地層は、全体的に縞々が見えますよね。

広瀬川沿いの崖②:筆者撮影

白や薄茶色の層が縞々になっていますよね。

広瀬川沿いの崖③:筆者撮影

そして上流を見ていくと、少しずつ下の地層が見えてきます。
この崖は東西方向に続いていて、地層は東(川の下流)に傾いているようです。そのため上流(西)へ行くほど下の地層が見えることになります。

上写真の真ん中やや右を見ると、上半分は縞々の地層、下半分は縞々が見えない地層ですよね。

広瀬川沿いの崖④:筆者撮影画像に一部加筆

だいたこんな感じで、赤点線より上が縞々。下が縞々無しです。
この組み合わせ、実は以前にも見ています。

仙台城下の崖の地層区分(筆者推定)

これは仙台城(青葉城)のすぐ下の崖。
このMk②「向山層上部層」で縞々の地層と同じ。
Mkt「広瀬川凝灰岩部層」で縞々無しの地層と同じです。
見比べてみると、似てると思いませんか?
詳しくは過去記事を参照ください👇

そう言う目で、あの写真をもう1度。

広瀬川沿いの崖③(再掲):筆者撮影

ちなみに「向山層」とは、この崖の上の建物が建っている地名から名付けられています。

向山周辺地形図:スーパー地形より

ほら!
広瀬川のすぐ南西に「向山」と書いてありますよね。

あった!!

そんなこんなで上流へ歩いていくと・・・。

セコイア類化石林①:筆者撮影

おや?

セコイア類化石林②:筆者撮影

「切り株」のようなものがありますね。

セコイア類化石林③:筆者撮影

これです!

上記の「向山層」が堆積した時期、このあたりはセコイヤの大森林地帯でした。そこに南の方(現在の宮城県白石市:高嶋ほか2019より)の火山噴火によって火砕流がやって来て、森林を埋め尽くし、焼き尽くします。
こうして形成されたのが「セコイヤ類化石林」です。

お読みいただき、ありがとうございました。


次のジオ散歩はコチラ👇


参考文献

高嶋礼詩,・草川 遥,・西 弘嗣・折橋裕二(2019)仙台層群向山層の年代と広瀬川凝灰岩の給源.日本地質学会第126年学術大会(2019山口)講演要旨,セッションID: R5-O-12.






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