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"地すべり地形"を学んでみよう【地質応用編 No.3】

※読者様からのご指摘で図の間違いを修正しました。
「③側壁」の図が「②滑落崖下の平坦~緩やかな地形」になっていた。
「④地すべり末端部」が「③側壁」になっていた。
ご指摘、ありがとうございました♬

以下、本編です。


「みんなも"地すべり地形"で頭の体操してみよう!」と言う記事を書いたものの、そもそも「地すべり」「地すべり地形」について説明する記事も必要なことに今さら気づき、慌てて今記事を書いてます(笑)

以前にも地すべりに関する記事は出していますが、今回はもう少し踏み込んで話します。

そもそも「地すべり」とは?

地すべりを超ザックリと説明すると、「ある一定範囲の斜面がズレ動く現象」と言えます。
もともと日本人は「地面が動いたり崩れたり」を何となく一括りにして「地すべり」と呼んでいたのだと思います。そのため現在も定義が曖昧なまま「地すべり」と言う単語が使われるケースも多々あります。

昭和33年(1958年)に地すべり等防止法が施工され、国や自治体によって調査が進められて以降は、もっぱら「地下水が原因で発生するもの」と言う取り扱いになりました。
しかし新潟県中越地震(2004年)によって「地震が原因で発生する地すべりもある」と、専門家らが明確に認識するようになります。

地すべり地形とは?

地下水が原因でも地震が原因でも、結果として生じる地形は似たようなものになります。ただし私自身は「地形・地質を詳しく見れば区別できるかな?」とは思っていますが、ここで上手く説明する自信がないので、今回は原因を問わずに一般的な「地すべり地形」のお話をしましょう。

最低限押さえておくポイントは4つです!

①頭部滑落崖(とうぶかつらくがい)

下図の赤点線で囲った場所に注目してください。

国土交通省の図に筆者一部加筆

地すべり範囲が下方に滑り落ちていくため、上の斜面に段差が生じます。多くは崖になるので頭部滑落崖と呼ばれます。
馬蹄形(逆U字)の急な地形があれば、この可能性が大です。

②滑落崖下の平坦~緩やかな地形

頭部滑落崖の少し下の斜面は平坦もしくは緩やかな地形になっている場合が多いです。

国土交通省の図に筆者一部加筆

砂山が崩れる様子を思い浮かべていただければ分かりやすいと思うのですが、前方に広がるように動いていくため、斜面が緩やかになっていきます。
また下図のように、背後の隙間を埋めるように落ち込み、陥没地帯ができる場合もあります。

陥没帯形成の模式図:筆者作成

③側壁(そくへき)

頭部と同じように、左右隣の動いていない斜面との境界に亀裂ができて、縦方向の筋状の地形ができます。これを側壁と呼びます。
地形条件等によって凹んだ谷状の地形になったり、盛り上がった尾根状の地形になったりします。

国土交通省の図に筆者一部加筆


④地すべり末端部(まったんぶ)

下図の場合は河川をせき止めた場合ですが、そこまでにならなくても特徴的な地形をつくります。
その代表例2つを紹介します。

国土交通省の図に筆者一部加筆

〇隆起
地すべり底面には上の断面図で赤線で描いたような「すべり面」があります。粘土でできていてツルツルとすべりやすいため、地すべりが動きます。
でも前方では普通の地面の上に覆いかぶさります。普通の地面はすべり面より摩擦があるので動きにくくなります。
しかし後ろから次々とすべって来るので、盛り上がってしまいます。

例えば、紙を床に置き、手で動かしてみてください。
はじめはスーッと動きますが、壁など障害物に当たると、前方がたわんで盛り上がりますよね。それと同じと考えれば分かりやすいと思います。

〇河川の蛇行
地すべりが河川にまで達すると、川がこれまで流れていた場所では流れることができず、流路が変わってカーブをつくります。


以上が代表的な「地すべり地形」です。
次週以降では、実際の地形図を見ながら「地すべり地形」を眺めてみましょう。
お読みいただき、ありがとうございました。


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