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「谷」が切ったり切られたり?!:富山県東部高山地域【流域を考える旅vol.6】

前回は富山県東部の立山火山がつくった台地や谷地形(立山カルデラ)の紹介でした。
今回はその溶岩・火砕流台地である弥陀ヶ原周辺のダイナミックな浸食作用について見ていきたいと思います!

弥陀ヶ原を見てみよう

ではさっそく行ってみましょう!

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スーパー地形(カシミール3D)より抜粋。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

平坦で緩やかな地形はもちろんですが、アチコチで浸食が進んで深い谷が刻まれていますね。
特に北側の称名川(しょうみょうがわ)は上流(右)と下流(左)では浸食が進んでますが、真ん中は台地が残っていて面白いですよね。

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上流部、かなり深く浸食されていますよね。

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拡大してみますと、弥陀ヶ原を流れる川が滝になって称名川に流入しているのが分かります。
国土地理院地形図をかぶせてみましょう。

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不動滝という名前がついているんですね。

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アプリの3Dでも迫力があります。是非、実物を見てみたい!

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さらに西に視点を移します。
いやぁ、西にもものスゴイ絶壁があります!
この絶壁には有名なスゴイ滝があるのですが、別の機会で紹介します。

今回のテーマは
この画像にも気になる谷が3か所あります。

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国土地理院地形図をかぶせてみたら、やはり・・。
図示してみます!

ABC沢

名前が書いてありませんでしたので仮称としてA沢、B沢、C沢としました。このうちのA沢、途中でギリギリの場所を流れていますよね!

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やはりギリギリです。大雨で増水でもしたら、称名川の方へ溢れ、そのまま流路が変わってしまいそう。

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ということで、どんな谷地形なのか?こんな感じで断面を切ってみます。

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スーパー地形アプリの機能を用いて筆者作成

真ん中が称名川です。ものすごいV字谷ですよね。
縦横比は1:1ですが、そう見えないぐらいスゴイ(;^_^A
そして右側がA沢です。一応、崖との間に5mの高さの凸地形はあります。
そうそう溢れないかも知れませんが、崖ですし、崩れることもあるでしょう。そうなれば流路は変わり、下流の谷は水が流れなくなります。


実際、B沢・C沢には地形図上で青線は図示されていません。普段は水が流れていないか、少量なのでしょう。
でも変なのはB、C沢とも谷幅はA沢より広く、過去はもっと水が流れていたようなのです。過去に何かがあったのでしょう。

実は弥陀ヶ原や北の大日平(だいにちだいら)には同様の谷地形がいくつも見られます。


別の谷は?

では別の谷も見てみましょう。

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さらに西です。
東西方向に多数の谷が刻まれています。すごい地形ですよね。

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ここを道路が通っています!ちょっと怖いですが、行ってみたい。
そして、ありますよね。変な谷地形。

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東の上流部は、どう考えても「続き」があったハズですよね?

切られた谷01

おそらく、赤点線のようにつながっていたのではないでしょうか?
と思ったら、北の対岸にも変なのありましたよ!

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こ、これは・・!!

切られた谷02

こんなのアリエナイです!完全にぶった切られてますよね(;'∀')

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やはり水の流れを示す青線は描かれていません。
そして切られた谷のすぐ東!牛ノ首という凄い地名。
この崖がもしも、もう少し崩れ、川に達してしまったら・・・?

切られた谷03

この様になってしまうでしょう。
新たな「滝」ができ、下流(赤点線)はごく少量の水しか流れない小川か、涸れ沢になってしまうのでしょう。

おそらく、これまで見てきた「変な谷」も過去にこのような事が起こったと考えられます。

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3Dです。北の方から牛ノ首方面を見ています。すごいです。
これはもう、時間の問題のような気がしますね・・。


いかがでしたか?
ここまでハッキリと「谷が切ったり切られたり」が見えるところがあるのですね!!
こうして大地はダイナミックに刻一刻と変化していくのです。
この周辺では雄大な地形がたくさんありますので、また別の機会にとりあげたいと思っています。

お読みいただき、ありがとうございました。

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