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昔からの積み重ねで今がある:だだっ広い斜面のなぜ?part3【災害から身を守るvol.9】

ここ2回、鳥取県のだだっ広い斜面についてお話してきました(過去記事はコチラコチラ)。
地質を見ていくうちに、分かってきましたね。
どうやら泥岩が原因で地すべりが起こったらしい!

では、見ていきましょう~。

いきなりコーヒーブレイク

冒頭でコーヒーブレイクってなんやねん!ですが(笑)
前回、サラッと紹介した舂米川(つくよねがわ)、スゴイ珍しい字ですよね。
春夏秋冬の「春」の上側に、日ではなく臼と書いて「つく」と読む。
こういう意味らしいです。

舂とは、つく/うすづく/穀物をうすに入れてつくなどの意味をもつ

mojinaviからの引用です。
まさに米をつくと言う意味ですよね。
残念ながら地名の由来は分かりませんが、稲作が盛んな土地だったのかな?という想像はできますね。

実は地質の研究って、様々な地域を詳しく見ることになりますので、こういう珍しい地名と出会うことがしばしばあります。

やはり地質学は、科学分野全般や地方の歴史、社会学まで及ぶ、面白い学問だと思います。もっとたくさんの人たちに知って欲しいです。

地すべりを見てみる

で、話を戻しましょうか。

改めて、地形を見直してみましょう。
コレですね。

画像1

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト)
※トップ画像を含め、以下の画像すべて引用もとは同じです。

うむ。やはり、特に東側は地すべり地形に見えます。
アップで見てみましょう。

画像2

さらにアップで。

画像3

北側はかなりハッキリしてます。

地すべり

こんな感じです。地理院地図をかぶせてみましょう。

地すべり_02

南には集落と水田がありますね。
地すべり地形の場合は山の中でも斜面は緩やかですし、地すべり活動で地質が軟らかく耕しやすいので、昔から人が住んでる場合が多いんです。

ちなみに南側の地すべりは、もっと細かく分かれるかも知れません。
そして過去にだいぶ動いたらしく浸食が進んでいます。
集落がありますので、これまでに何かしら対策したか、モニタリングされている可能性もあると思います。

一方、北側の地すべりはまだまだ動きそうに見えます。幸い人は住んでいませんが国道が通ってますね。

画像9

3Dです。頭部の陥没地形が明瞭ですね。

断面図も見てみます。

画像6

こんな感じでスパッと切ります。

地すべり断面図

おそらく、こんな感じのカタチだろうと思います。

地すべり地形分布図
出典:防災科学技術研究所

一応、地すべり地形分布図も確認してみましたが、やはり!
南側の地すべりは、やっぱり細かく分かれていますね。こちらの方が、北側の地すべりよりも古くから動き始め、今は晩年期なのだと思います。

他にもたくさん

まわりも見てみましょう。

地すべり地形まわり

赤丸でかこったところに緩やかな地形がありますね。
一番北東の区域は、まだ地すべりとして動く可能性はありそうですが、他の場所は地すべりの名残ではないかと思います。
もうとっくの昔に動いて徐々に崩れ、侵食が進行したのでしょう。
そしてM6泥岩は失われ、今はさらに下の変成岩が浸食されて細かい谷地形をつくっています。

むむ!
またまた謎が出てきました。なぜ西側の斜面の方が浸食が進んでいるのでしょう?そして地すべりの残骸のような斜面が多いのか?

これについては次回で謎解きをしたいと思います!

お読みいただき、ありがとうございました。

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