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伊豆・小笠原列島の過去の姿なのか!(プレート境界の"溝"を埋め立てました その2):南西部山間地域【都道府県シリーズvol.43山梨県part1-2】

山梨県の南西部山間地域についての続編です。
前回記事はコチラ↓

場所は・・

17_地形区分

場所は山梨県南西部の地域です。

1710_地域範囲市町村

図に示した8市町それぞれの一部地域です。


大地の成り立ち②

山梨県の南西部山間地域は、島弧ー島弧多重衝突という、世界的にも珍しいことが起こってできた地域だと言われています。
ポイントをまとめると、以下のようになります。

①:日本列島では4つのプレート(ユーラシア、北アメリカ、太平洋、フィリピン海)がひしめき合っている。
②:プレート同士がぶつかると、軽い大陸プレートの下を、重い海洋プレートが沈み込む
③:海洋プレート同士の場合、古い(冷えて重くなる)方の海洋プレート(日本周辺の場合は太平洋プレート)が沈み込む
④:火山はプレートの沈み込む場所にできる

⑤:フィリピン海プレートに太平洋プレートが沈み込み、伊豆・小笠原列島(火山列島)ができた。
⑥:フィリピン海プレートはユーラシアプレート(日本の関東以西))に沈み込む=火山列島が近づく→衝突する!

こういうことです。

プレート図_産総研

プレート模式図(産業総合研究所の図の一部に筆者加筆)

図にすると、こんな感じです。
フィリピン海プレートが北西に動いていて、北端部が本州に食い込んでいて、そこに火山島が衝突しています。


島がぶつかった証拠は?

このあたりの話が面白いんです。少なくとも、私は(笑)

1710_天野ほか2007_01

南部フォッサマグナの地質概略図(天野ほか2007より)に筆者一部加筆(赤線、赤点線)

前回もお示しした、この図のように、図中のA~Dが衝突したんですよ!
と、口では言えても「何で?」ってなりますよね。

そこで考えられたのは、「今の小笠原列島はどうなの?」です。
それについては、日本のあらゆる研究所が調査してデータが集まって来ていました。

そして有力なモデルが、以下の通りです。

リフティング

丹沢山地で復元される古海洋性島弧発達史の模式図(天野ほか2007より)

え?なにこれ??って思いますよね。
図の一番上は、これまでにお話しした「プレートの沈み込みで火山ができる」なんです。
問題はここから!!
研究が進むにつれ分かって来たのですが・・
どうも、「プレートが沈み込むと、沈み込まれた側が引き裂かれる」らしいと分かって来たんです。
どういうこと??

これは「下に潜り込まれると、その分少し盛り上がり、前方(上の図では右側)へ延びるようにズレていく」のだそう。
盛り上がって伸びるので、裂けるんです。
例えば、消しゴムをグニャリと曲げると、だんだん裂けてきますよね?
そんな感じです。

そして裂けた隙間を埋めるかのように、マグマが噴出し、火山ができる。
つまり、もともと「沈み込み」でできた火山列の隣に、「裂けて」できた海底火山の列ができる。

1710_天野ほか2007_01

南部フォッサマグナの地質概略図(天野ほか2007より)に筆者一部加筆(赤線、赤点線)(再掲)

つまり、この図で「衝突した」とされるA~Dには、その火山のセットが揃っているとのこと!
今の小笠原列島と地質の組み合わせが同じなので、これが衝突した証拠と言われているんです!面白い!


ムム・・
興奮してるうちに、またしても長くなりそうですので、「その3」へ続きます(;^_^A
スミマセン・・。
次回の山梨県で予定していた記事は、来週公開します。

お読みいただきありがとうございました。


参考文献

天野一男・松原典孝・田切美智雄(2007) 富士山の基盤:丹沢山地の地質 -衝突付加した古海洋性島弧-.富士火山(2007)荒牧重雄,藤井敏嗣,中田節也,宮地直道 編集,山梨県環境科学研究所,p.59-68.

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