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水平だから切り立っている?そして滑(なめり)川の理由とは【ジオ散歩vol.2:鎌倉市No.1-2】

「市街地を実際に散歩しながら地形・地質を楽しむ」シリーズ、ジオ散歩。
鎌倉市の鎌倉地域(鎌倉幕府時代の鎌倉)は、平野の端に切り立った崖が多く見られます。
なぜこのように切り立った崖が多いのか?散歩しながら考えてみましょう。

崖の地層を観察しよう♬

これまで見てきたような崖ではないのですが、崖と同じ地層を間近で見られる場所を発見しましたので、よ~く観察してみました!

鎌倉市のとある風景:筆者撮影

何やら「掘られて」いますね。なぜか?は分かりません。
道路わきの、個人宅の「基礎」になっている場所です。もしかしたら戦時中は防空壕的な感じだったの?などとも思いましたが、果たして??
でも素掘りで穴が保たれてることを考えても、この地層が硬いとイメージできると思います。
そう、けっこう硬いんですよね。

鎌倉市のとある風景:筆者撮影

そしてもう1つの特徴、気づきませんか?

鎌倉市のとある風景:筆者撮影

アップにすると、こんな感じ。
ちなみに白い石がたくさん見えますが、これは軽石です。
軽石が多く含まれてるので、この岩石に名前を付けるなら「凝灰岩」もしくは「凝灰質砂岩」でしょうかね。

もう1歩踏み込んで観察してみると、軽石やその他の砂粒、綺麗に横方向に並んでると思いませんか?
このような、同じ地層内の「スジ」を葉理面と言い、こういう「構造」がある場合、まず「水の流れの作用でできた地層」だと考えられます。

そして、こういう地層の場合は、層理面もできます。

鎌倉市のとある風景:筆者撮影

そして、コレ!
写真の真ん中のやや上に、水平の「線」がありますよね。
これがまさに層理面で、分離面なので、ここに沿って削れて(※人工的か?自然か?は不明)段差ができたようです。

振り返ってみると・・・

鎌倉市のとある風景:筆者撮影

そういえば、この崖も水平方向にスジが見えますよね。

そうです。
どうも、このあたり一帯は、層理面がほぼ水平方向のようです。
そして地層の中身は、軽石と砂粒がメインのようですね。

「そんな目」で、色々と見てみる

層理面がほぼ水平ということを頭に入れてある場所を見ると「なるほど!」と分かってきます。
それが、これです!

鎌倉市のとある風景:筆者撮影

これじゃ分からない?
では別の場所も見てみましょう。

鎌倉市のとある風景:筆者撮影

気づいたでしょうか?
写真中央のやや上に、まるで床のように平坦な面がありますよね。
上の写真も水が流れていない場所を見ると、平坦な面になっているのが分かると思います。
これは層理面です。
つまり層理面がほぼ水平な面であるため、川の流れは層理面に沿って侵食を進めていくので、河床が平坦になりやすい

地質が地形に影響を与えている様子が非常に分かりやすいですよね。
そしてこの河床を見ると「崩れにくい」という印象を持つかと思います。
緩やかに傾斜していれば地すべりになったり、急傾斜であればがけ崩れが起こりやすいのでしょう。
しかし層理面がほぼ水平であるため、がけ崩れが起こる場合は、ほぼ垂直な節理面に沿ったがけ崩れしか起こらないために、切り立った崖が多いのでしょう。

なめり川の由来?

そしてもう1つ気づいたのが滑(なめり)川の名前の由来です。
緩やかな傾斜の岩盤を滑り落ちるように流れる滝をナメ滝と言います。
滑川の河床は層理面の平坦な面を舐めるように流れており、そのような様子から滑(なめり)川と名付けられたのかも知れませんね。

日本にはいくつか「滑川」があるようですので、それぞれの地質を調べてみるのも面白いかもしれません。

今回は以上です。お読みいただき、ありがとうございました。


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