海の上下変動が見える!:千葉県南西部平坦~中山間地域【都道府県シリーズvol.14千葉県part1】
前回のプロローグでは千葉県を地形的な特徴から12か所に区分しました。(※あくまで私個人の見解です)
今回は南西部平坦~中山間地域の地質についてお話ししていきたいと思います。
下図の⑧になります。
今回の対象地域は上図の市原市、袖ケ浦市、木更津市、君津市、富津市の一部の地域(薄緑色)となります。
地形を確認
さっそく行ってみましょう。
赤線で囲った範囲が南西部平坦~中山間地域です。
北北西-南南東方向に流れる河川が3本あり、それらの間に台地が広がっています。台地は上流域で浸食が進んでいて細かく区切られていますね。
北東部を拡大しました。
平坦な地形が多いように見えましたが、深く刻まれた谷があったり河川が蛇行したり、なかなかダイナミックが地形が見えますね。
さらにアップにしました。
なかなか面白そうな地形がたくさん目に付きます。
これは南西方面です。同じように河川は蛇行し、深く刻まれた谷もアチコチに見えますね。
地質は?
思ったよりも起伏に富む地形・・。果たしてどんな地質なのでしょう?
と思いきや、地質はあまり複雑ではないみたいですね(;^_^A
色々な濃さ・薄さの緑色やクリーム色、灰色などが見えます。
クリーム色~灰色は約1万年前から現在にかけての河川堆積物など。
そして様々な緑色は第四紀更新世(約258万年~1万年前)の海の堆積物や段丘堆積物(河川の堆積物)です。
全て第四紀の新しい地層が中心ですが、色々と区別されているようです。
しかし上のシームレス地質図V2では色が似ていて区別し辛いので、やはり20万分の1地質図も見てみましょう。
またしても地質図境界で辛いんですが(-_-;)
だいたいこんな感じに分かれちゃっています・・。
まずは北西部。
オレンジ色の地層が目立ちますね。これらは下総層群(しもうさそうぐん)と呼ばれる約50万年~10万年前の泥・砂・礫・火山灰などです。
海の地層と陸の地層が何回も交互に繰り返しているようで、カキやアサリなどの化石も見つかっているようです。
この範囲で見られるオレンジや茶色や薄緑色などは、先ほどの下総層群とそれよりやや古い時代の上総層群(かずさそうぐん)と言う地層も分布しています。上総層群は全て海の地層で、深海になったり浅海になったりを繰り返していたようです。
今度は南西部です。
こちらは黄色や薄いオレンジ、水色などの地層になっており、これらも上記と同じ下総層群と上総層群です。
南東部も同じ下総層群と上総層群です。
南ほど古い時代の地質が分布しているようです。
海の上下変動!
以上のように、この地域の地質は約258万年前以降の新しめの地質です。
それらは主に砂・泥・礫・火山灰であり、詳しく調べた結果、海が深くなったり浅くなったり、時には陸地になったりを繰り返していたことが分かりました。
地球では長い歴史の間に気温の上下変動が何度も繰り返され、そのため極地域の海水が凍ったり融けたりして、海水面が上下変動しています。
千葉県南東部ではこの上下変動の記録が綺麗に残されているようです!
今後はその詳細をお話ししたいと思っています。
お読みいただき、ありがとうございました。
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参考文献
宇野沢 昭・岡 重文・坂本 亨・駒沢正夫(1983)20万分の1地質図幅「千葉」、地質調査所.
坂本 亨・酒井 彰・秦 光男・宇野沢 昭・岡 重文・広島俊男・駒沢正夫・村田泰章(1987)20万分の1地質図幅「東京」、地質調査所.
竹内圭史・及川輝樹・斎藤 眞・石塚 治・駒沢正夫(2015)20万分の1地質図幅「横須賀」、産業総合研究所.
三梨 昮・須田芳朗(1980)20万分の1地質図幅「大多喜」、地質調査所.
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