天然の迷路をたどってみると?:千葉県南西部平坦~中山間地域【ふるさと探訪vol.4】
千葉県南東部を流れる養老川中流部には深く刻まれた谷地形と台地が目立ちます。深く刻まれた谷は曲がりくねり、枝分かれし、まるで天然の迷路?
今回はそんな「天然の迷路?」な地形をぶらりと見ていきます!
場所は?
場所の再確認をしましょう。
スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト)
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。
今回話題にする場所は、市原市を流れる養老川の中流域で、図の赤丸のあたりになります!
地形を見てみる
では早速、地形図を見ましょう!
頂上が真っ平な台地がたくさんありますね。
この北側を拡大してみましょう。
ギザギザしたガリ―浸食のような谷がたくさんありますよね。
基本的にこの地域は時代の新しい柔らかめの地質が多いですから、ガリ―浸食状の谷地形があるのは納得です。
谷が入り組んでいて、まるで迷路のようですよね。
そして今回見ていく河川がこちら!
残念ながら、どういう訳か河川名が分かりませんでした。
地理院地図にもグーグルマップにも明記されていないんですよ。
まさか名前がないってことは無いと思いますし、どういうことなんでしょう?
ということで、しょうがないので西側の川をA川、東をB川とします。
地理院地図をかぶせるとこんな感じ。
中流域を国道が横切っていますね。そして上流域の南西部にはゴルフ場があります。
A川の流域を見る
ではA川の流域を下流から見ていきましょう。
養老川への合流点です。西がA川、東がB川です。
両河川の合流点の間の区間、ちょっと青みがかった色になっていますよね。ここは周囲より少し標高が低いということです。まるまったカタチですし、これは昔に養老川が流れていた跡だと考えられます。
対岸も同様な雰囲気ですよね。
養老川はよく見てみると河川の跡がアチコチに見られるんです。これについてはまた別の機会でお話ししたいです。
上流へ遡って見ていくと、段丘の台地を通って山間地域に入っていきます。
さらに上流を見てみると、集落があって家がたくさんありますよね。
台地の上は住宅地になっていたり、牧場として活用されたりしています。
さらに上流を見ていくと、田んぼがメインになっていき、さすがに家は少なくなってきています。
地形だけで見てみると、やはり谷に面した斜面は急傾斜なのが際立ちます。
空中写真で見ると、南ほど緑が多いのが一目瞭然ですね。
さらに上流を見ていくと谷幅が狭くなり、もう源頭部が近いのかな?と思いきや、再び谷幅が広くなり、しかも集落まであるんです!
図示してみました。青線に沿ってたどっていくと赤丸のところで狭くなるんですが、また広くなるんですよね。
これです!
集落の上流は間もなく源頭部なので普通に考えれば河川の水量は多くなさそうですが、人が住んでいて水田もあるってことは水が多いのでしょうね。不思議です。
今でこそ道路が通っていますが、なかなかに隠れ里な雰囲気ですね。
しかも西の方にある「丹原開墾」って面白い地名ですよね。
検索してみましたが、残念ながら何も出てこなかったので由来は分かりません。明治時代などの時期に改めて開墾された場所なのでしょうか?
B川の方も見てみよう
今度はB川です。
こちらは割とすぐに上流っぽい雰囲気になります。
ゴルフ場の西あたりなんか、結構谷幅狭いですし、これ以上上流には何もなさそうだと思っていまいます。
しかし!
すごいですよね。
丹原のような谷が広い場所ならともかく、支流の谷が広くなっている場所に集落ができています。
ここの方がさらに水がなさそうだと思いますが、人が住むようになったということは、水があるのでしょう。
もしかしたら昔は地すべりだったかな?と思いましたが、地すべり地形分布図には図示されていませんでした。
近年建設された住宅地なら分かるんですよ。水道引けますから。
でも昔からある集落で、水がなさそうな場所なのは不思議です。
いかがでしたか?
今回は川をたどって集落を見るだけでしたが、なぜここに人が住み始めたのか?少し不思議な場所ですよね。
現地へ行って地元の人に集落の歴史を聞いてみたいなぁと感じました。
お読みいただき、ありがとうございました。
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