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ウネウネ迷路地形:中央北部中山間地域【地元再発見の小旅行vol.14】

前回は鳥取県の中央北部の中山間地域の地形と地質を見ました。
今回はその中でも気になる地形を紹介します!

迷路のようなウネウネ地形

ではさっそく行ってみましょう!

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スーパー地形(カシミール3D)より抜粋
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト)
※トップ画像を含め、以下の画像すべて引用もとは同じです。

これが鳥取県中央北部の中山間地域。鳥取市北西部や湯梨浜町北部が該当します。この中でも真ん中より西側に注目!

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真ん中よりやや右側で半島が突き出ていますね。長尾鼻(ながおばな)と呼ばれており、先端付近には灯台があります。
この長尾鼻を先端として、南北に細長く山地が伸びています。これをもっとアップで見てみましょう~。

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うお!何だか面白いですよね。
谷がウネウネと複雑に入り組んで、まるで迷路のようです!

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これは少し南の方。南東部は人工的な平坦地ですが、その他は似たようなウネウネ地形が見られます。
特に北西部は谷のウネウネ度合いが似ていますよね。

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少し北西の方です。ここもだいぶ迷路のような地形が広がっています。

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今度は最初の細長い山地に戻り、その東の山を見ると、少し違いますね。
今まで見た山地は山頂付近がたいらな台地状の地形に谷が刻まれてましたが、東の山地は台地ではないですね。
真ん中に尾根があって、左右に谷が出来ている、普通の山地地形です。

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もう少し北東に視点をずらしました。
東に台地っぽい平坦地がありますが、これはゴルフ場です。人工的に山を切ったり谷を埋めたりしてつくった土地でしょう。
その証拠に、ゴルフ場のまわりは西の山地と似たような、普通の山地地形です。

これは、最初にお見せした南北に細長い山地から西と、それより東では、山をつくっている地質に違いがありそうですよね。

地質図を見てみよう!

では地質図を見てみます。

地質図_長尾鼻_アップ

20万分の1地質図幅「鳥取」:地質調査所 より

赤丸が長尾鼻で、南北に細長くのびる山地の先端です。
ここには茶色の柄模様でAという記号の地質が分布しています。
これは第四紀更新世(だいよんきこうしんせい)の前期で約258万年前~180万年前の時代に噴火した安山岩の溶岩です。

やはり、あの台地状の地形は溶岩台地だったようです。
ただし山口県北部の台地の方がノッペリと平坦でした。これは山口県北部の溶岩台地がもう少し新しい時代に噴火した溶岩だからでしょう。

そして東の方の普通の山地地形の地域の薄茶色のPは、Aの安山岩溶岩より古い新第三紀中新世(しんだいさんきちゅうしんせい)の凝灰岩類。
赤色(朱色?)は白亜紀後期花崗岩(鳥取花崗岩)です。
なるほど!溶岩ではないから台地にならず、普通の山地地形なのですね。

比較

たしかに、こうやって比較してみると、赤点線で囲った台地ではない部分は溶岩ではないというのがハッキリ分かります。

更新世の火山活動

この溶岩台地をつくった火山は、中心部はもっと南だったようです。

更新世の火山

赤丸が鳥取県と岡山県の県境にある三国山(みくにがぜん)です。
この地域の鮮新世の火山活動は、まず三国山を中心地として爆発性の火山噴火が起こったと言われています(村山ほか1963より)。
その後、爆発はなく比較的静か安山岩の溶岩がドロドロと流れ、溶岩台地をつくりました。

鮮新世の火山と大山

この時の地形は残っていないので、残念ながらどんな火山だったかは分かりません。
しかし上の地形図を見てみると、もしかしたら西の大山と同じくらい大きな火山だったかも知れません。そう考えると少しワクワクしませんか?

この時代の火山活動による溶岩などは周辺のあちこちに見られ、特徴的な地形をつくっています。追々、紹介していきたいです。

今回は以上となります!
お読みいただきありがとうございました。


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参考文献

村不二雄・坂本 亨・山田直利・猪木幸男(1974)20万分の1地質図幅「鳥取」,地質調査所.

村山正郎・一色直記・坂本 亨(1963)5萬分の1地質図幅説明書「鳥取北部・鳥取南部」、地質調査所、66p.

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