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どっちもこっちも台地だらけ!阿武火山群とは?:山口県北部【地元再発見の小旅行vol.6】

前回は萩市の北に浮かぶ台地状の島々を紹介しました。
ところがよ~く見ていくと、島だけじゃなく本土側にも台地状の地形が見つかります。しかも、たくさん!
今回は北東の台地を紹介し、この地域に台地が多い理由についてお話ししたいと思います。

北東の台地たち

では、行ってみましょう!

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ありますね。真ん中あたりの薄茶色と、その北東にも2か所。それと南の川沿いにもポツポツとあります。

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少しアップにして地名を見てみると、「平山」なんてまんまな地名でクスッとしてしまいました(笑)
田んぼや果樹園として利用されているみたいです。

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周囲の地形と比べるとノッペリ具合が際立ちますよね。
ちょっと鳥が羽ばたいてるように見えませんか?

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平山の北東の「上の原」。ここは一面田んぼですが、どうやって水を引いてるのでしょう?ナゾだ・・。
おそらく南西の沢からなんでしょうが、一段高いですからね。

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いやぁ、ノッペリしてますねぇ(笑)
周囲を広い谷に囲まれてるからなおさら際立ちます。
まるで地上絵。イルカっぽいと思いません?

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少し北の「原山」やはりとかという文字が入るんですね。
ここは畑や果樹園が多いです。

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ノペッとはしてますが、上の2か所と比べると浸食が進んで谷ができていますね。地質が古いのかな?と想像してしまいます。

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次はコチラです。
西から東に流れ途中で曲がって北に流れている川がありますよね?
この川沿いに点在している台地も溶岩台地です。

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川に浸食されて分断されてますが、確かに台地がたくさん並んでいますね。

地質図をチェック

さて、恒例の(?)地質図チェックです。

地質図_田万川コールドロン

図の真ん中より少し左に平山がありますね。薄茶色でQaと書いてあります。
これは安山岩の溶岩台地。萩市の島々と同じです。
図中央が上の原南の川沿いの細長い紫と同じでQbと書いてありますね。
これらは玄武岩の溶岩台地。
そして上の原の北東の原山はQeと書いてあり、これも玄武岩。ただし噴火した時代がQbより古いので区別されています。

これらは、第四紀(だいよんき)に噴火した火山の溶岩台地です。
第四紀とは258万8000年前から現在までの時代で人類の時代です。冒頭であちこちに台地があると言いましたが、萩市の島々も含め、これらは1つの火山活動でつくられた阿武火山群(あぶかざんぐん)と呼ばれています。

地質図_萩六島_凡例

阿武火山群とは?

けっこう凄いですよ。約50か所で噴火を起こしてるらしいんです。しかも範囲が広い!
もう1度地質図もお見せするので見比べてみて下さい。

阿武火山群_気象庁

気象庁資料より

地質図_田万川コールドロン

原山は上の図の北東のはじっこで紫に塗られています。
そして西の萩六島までの地域一帯に広い範囲で分布しています。
この阿武火山群は活動時期が古期と新期に分けられ、古期は約200万年前~160万年前です。原山はこの時期。

一方、新規は約80万年前~数万年前に噴火したそうです。
ただ注意が必要なのは、火山活動はまだ継続しているとのこと。
ですので、気象庁は観測体制を構築し、監視しています。今のところは噴火の前兆現象は観測されてないそうです。

火山の種類が違う!

私たちがよく知る富士山磐梯山のような火山とはちょっと違いますよね。一か所で何回も噴火するのではなく、あちこちで1回ずつ噴火している。
こういう火山を単性火山(たんせいかざん)と呼んだりします。

以前お話ししたような、海洋プレートの沈み込みに関係した火山ではなくホットスポット型という地球内部から湧き上がってくるマグマが原因のようです。
ハワイもこのタイプの火山です。


いかがでしたか?
萩市や阿武町一帯には、沢山の火山があり、しかも今も噴火の可能性があるということでした。
今回紹介した場所の他にもたくさん台地がありますので、別の機会に紹介したいと思います。

お読みいただきありがとうございました。

参考文献

松浦浩久・尾崎正紀・脇田浩二・牧本 博 ・水野清秀・亀高正男・須藤定久・森尻理恵・駒澤正夫 (2007) 20万分の1地質図幅「山口及び見島」.独立行政法人 産業技術総合研究所地質調査総合センター.

西村祐二郎・今岡照喜・金折裕司・亀谷 敦(2012) 山口県地質図第3版(15万分の1)説明書.山口地学会,P.167.

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