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あらゆるものを取り揃えております:中央部山間地域【都道府県シリーズvol.31岡山県part1】

岡山県は地形的特徴から10の地域に区分できました(※筆者の個人的な見解です)。
今回はその中の「中央部山間地域」の地形と地質の概要を紹介します。

場所は?

再確認しましょう。

地形区分

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

中央部山間地域は上図のです。

④範囲_市町村

吉備中央町の全域と、周辺8市町それぞれの一部地域です。


地形を見る

では行ってみましょう。

画像3
地域境界_地形図

下図の赤線は地域境界です。
全体的に山がちな地形ですが、北には幅の広い谷地形がひろがっています。
北西には頂上が平坦で台地のような地形が見えますね。
また北東ー南西方向東西方向線状地形が目立つと思いませんか?
加えて北西ー南東方向の谷地形も目につきます。

地形01

こんな感じです。
黒点線で囲った範囲が台地状の地形が目立つ地域。
黒点線が北東ー南西&東西方向の地形。青点線が北西ー南東方向の谷です。

地域境界_地質図

地質図を見ると、北東ー南西方向の地形は断層が関係しているようです。

地域境界_地質図02

赤線でなぞってみました。
他の地形も、おそらく断層や地層境界などと関係していそうですが、このスケールの地質図では確認できませんでした。


大地のなりたち

ではこの地域はどのような歴史をたどって現在に至るのか?
なかなかに複雑な過程を経ていて、6つのステージに分けられます。

〇ステージ1:古生代石炭紀後期~ペルム紀
まだ恐竜がいない時代の約3.3億~2.5億年前、日本は大陸の一部でした。
海洋プレートの一部である斑レイ岩(玄武岩質マグマが地下深くでゆっくり冷えた)や玄武岩、海で堆積した砂岩泥岩石灰岩です。

3104地質図01

赤線で囲った地域です。色と地質の関係は以下のとおり。

紫色:斑レイ岩
緑色:玄武岩
灰色:泥岩
黄色:砂岩
青:石灰岩

北西の地質は付加体(ふかたい:海洋プレートの一部やプレート上の堆積物が大陸にくついた)です。

地域境界_地質図_市町村境界01

現在の行政区分との位置関係はこんな感じです。

〇ステージ2:中生代三畳紀中期~ジュラ紀後期
恐竜が生きていた時代の約2.4億~1.6億年前、日本は大陸の一部で、そこに付加体がくっつき、地下深い場所で変成(もとと違う岩質になる)しました。

3104地質図02

赤で囲った範囲で、色と地質の関係は以下のとおり。

濃い紫色:蛇紋岩(じゃもんがん:斑レイ岩が変成したもの)
オレンジ色:珪質片岩(けいしつへんがん:チャートが変成)
灰色:泥質片岩(でいしつへんがん:泥岩が変成)
緑色:苦鉄質片岩(くてつしつへんがん:玄武岩が変成)

地域境界_地質図_市町村境界02

真庭市南部を中心に、広く分布しています。

以上のステージ1、2の地質を土台として、ステージ3以降の地質が貫入・堆積します。

〇ステージ3:中生代白亜紀前期~後期
恐竜が生きていた最後の時代である約1.3億~6600万年前、日本はまだまだ大陸の一部です。
まず河川など陸生の堆積物(礫岩)が堆積します。
その後は火山活動が活発になり、花崗岩質マグマなどが貫入し、流紋岩質の火砕流堆積物安山岩溶岩が噴出します。
またその後に閃緑岩(安山岩質マグマが地下深くで冷える)が貫入します。

3104地質図03

地域中央部付近の薄い茶色が礫岩です。
薄いピンク色が火砕流堆積物、やや濃い目のピンク、濃いピンク色が花崗岩類。北東や西の茶色が安山岩溶岩、紫色のポツポツが閃緑岩です。

地域境界_地質図_市町村境界03

吉備中央町の大部分の地域や、高梁市東部、岡山市西部に広く分布しています。

〇ステージ4:新生代古第三紀中期~新第三紀前期
恐竜が滅びて哺乳類の時代(約4800万年~2000万年前)
日本はまだまだ大陸の一部で、この地域一帯は陸地だったようです。
礫岩があちこちに堆積し、その後浸食して今は点在しています。

3104地質図04

赤丸で囲ったやや薄めの茶色です。

〇ステージ5:新生代古第三紀中期~新第三紀前期
約2000万年~1400万年前、日本は大陸から分離して現在の位置まで動き始めます。
その間この地域一帯は海になったり陸になったりを繰り返して砂岩泥岩が溜まりました。

3104地質図05

赤丸の中の黄色です。
この場合もこれまでの浸食でアチコチに点在しています。

〇ステージ6:新生代第四紀完新世
約1万年前~現在、現在の河川沿いに砂や泥などがたまります。

3104地質図06

赤で囲った薄い水色です。


以上のように、この地域は古生代から現在にかけてとあらゆる時代のものがあり、また変成岩火成岩堆積岩など岩種もバラエティーに富んだ複雑な地質でした。

お読みいただき、ありがとうございます。


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