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「真の防災」とは何か?:仙台防災未来フォーラムに行ってみたpart6:感想編①【地質番外編vol.10-6】

仙台市にて3月6日、7日に開催された「仙台防災未来フォーラム」について、これまで5回にわたって紹介させていただきました。
今回はフォーラムを通して得られた、災害にまつわる現状に関する感想と、浮き彫りになった課題についてお話しします。

復興は進んだけども??

国や自治体のお話によれば、被災地の復興はほぼ完成に近づいている印象を受けました(※福島の原発周辺など復興の目途が立っていない地域もあります)。
しかし一方で、国&自治体がとったアンケート結果によれば「復興にはまだまだ遠い」と感じている人も少なくはないようです。

その理由として「道路や街ができても人が戻らないと意味がない」と言う意見があるようです。

これについては、私としては「そこまでを行政に求めてしまうのは、どうなんだろう?」と疑問に感じました。
防災に関しては「自助」「公助」「共助」と言う言葉がありますが、それは復興にも当てはまると思っています。
行政機関の主要責務は「インフラ復旧」であって、その他に関しては住民・地域の力も必要なのではないでしょうか?

実際に各産業の復興に尽力している方々や、熱心に活動されている市民団体の方々がいらっしゃいます。
彼らが今後、人を呼び込む力になると、私は信じています。

そう、今後の復興は私たち一般市民の手にかかっています。

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行政・土木建設業等の方々、ありがとうございました。次は私たちの番です!(※まだ辛い人は無理せず、できることから地道に・・)
(※イラストはいらすとやより)


それって防災なの?

フォーラムを俯瞰して見た上での感想です。
と言うのも、ここで発表&展示されたものの大部分(※私の印象で8~9割ほど)は「災害が起こった後の対応」に関するものでした。
防災グッズに関してもそうですよね。
どれも素晴らしいアイデア商品だとは思いますが、全て「災害が起こった後」の対応で使うものです。

それって「防災」じゃないですよね?
いや、批判している訳ではないんです。
言葉の使い方という問題もあるかも知れませんが、もう1つ大切なこと「災害が起こる前に、被害を防ぐ」という考え方ですよね。

〇災害が起こっても被害を未然に防ぐための対応
〇被害を防げず被災した場合の対応

この2つがセットになるのが理想形ですよね。
しかし現状では、私の肌感覚では1:9(もしくは2:8)で後者が多い

これは何故でしょうか?
理由は大きく分けて2つあると感じています。

それは・・

〇あまりにも大きな災害で多数の犠牲者が出てしまったことによる大きな心の傷、無力感
〇専門家と一般市民との間での災害に関する知識・認識の大きな乖離

であろうと、私は感じています。

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私も避難所で一泊しましたが、人間の無力を痛感したひとときでした
(※いらすとやより)


被災地と幽霊

唐突に感じるかもしれませんが、これはオカルトではありません
既にメディア等で知っている方もいらっしゃるかも知れません。

実は震災後に宮城県の沿岸部などで幽霊の目撃談が急増しました。
そしてその現象について東北学院大学の学生さんが卒業研究のテーマとしてフィールド調査を実施しました。

これら目撃談は「見間違い・勘違い・作り話」という類では決してなく、生き残った人々の「自分だけが生き残ってしまって申し訳ない」「助けてあげられなかった」という自責の念が、幻覚や精神疾患と言うかたちで出たのではないか?ということです。
社会学・心理学的にも非常に重要なテーマだと感じます。

紹介記事のリンクをいくつか貼っておきますので、是非、目を通していただきたいです。

東北学院大学の研究メンバーが執筆した本も紹介します。
私も、そろそろ読めるかと思いますので是非、買ってみたいと思います。


私自身は実家を建て替えなければならない状況にはなってしまいましたが、幸いにも身近な人的被害はなく、思い出の品々等も残っています。
それでも震災に関する情報に触れると、大きく心が乱されてしまいます。
そう考えると、身近な大切な人を亡くし、思い出の品々をも奪われた人たちの悲しみは計り知れません。

以上のように、大きな心の傷を負った被災者たちが「まずは自分に出来る事」として、被災後の対応に関する活動(避難所での諸問題解決、被災者のケア、記憶の風化を防ぐ)に目が向くのは当然のことと思います。

しかし今後は「災害が起こっても被害を未然に防ぐための対応」についても行動を起こす必要があると思います。

「そのためにどうしたらよいか?」について、私の考えを次回以降でお話ししたいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

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