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あらかじめ避難ルートを考えておくことが重要《土砂災害》:愛媛県今治市のハザードマップpart3【御当地ハザードマップvol.3】

part2では愛媛県今治市の洪水ハザードマップを確認してみました。
改正前の条件でも一番少ない雨量(50年に1度の雨)での想定マップでしたので、できるだけ早く1000年に1度の雨に対応したマップをつくっていただきたいところです。
今回は土砂災害について確認していきます。

土砂災害を見てみる

マップそのものは「洪水」と同じです。こちらです↓

洪水_中地区

出典:今治市

これは今治市の中でも「今治地区中部」のマップです。
土砂災害はオレンジ色とピンク色で図示されています。なんとなくは見えますが、この縮尺では詳細は分かりませんね。

土石流_拡大

拡大してみました。やはり背後に山がある場所には危険箇所がありますね。
もう少し拡大してみましょう。

土石流_拡大02

このオレンジ色の線で囲まれている範囲内が土石流危険渓流です。
これは2万5000分の1地形図の机上での判読をもとに現地確認をして決められています。
今は全国で土石流警戒区域の調査・指定を進めていて、土石流危険渓流は再点検されていないようです(※東京都建設局より)。

これは例えば、「A川は土石流危険渓流だけど、B川は土石流警戒区域だよ」などということではなく、決め方のルールが違うだけということです。

簡単に言えば土石流危険渓流の方が基準が古く、精度は高くありません
そのため、既に土石流危険渓流に指定された場所も含め、新しい基準(法律)にもとづいて調査・指定されているのが土石流警戒区域です。

古い基準では見落とされていたような場所危険地として抽出するための新しい基準だと考えていただければ良いかと思います。

ですので、今治市のハザードマップに記載されている「土石流危険渓流」が危険であることに変わりはありません。
(※それにプラスして他の渓流も危険だと考えるのが安全です)


どっちへ逃げる?

土石流の場合は谷地形に沿って低い方へ直進していき、開けた土地では四方に拡散すると考えてください。
ですので、土石流が流れる川から横方向へ避難するのが、より安全だと言えるでしょう(※100%とは言えませんが)。
間違っても進行方向へ逃げてしまってはいけません。

では上の図をもう1度見てみましょう。

土石流_拡大03

上の図に私が加筆しました。
これは地形図を見て、「だいたい、こっちへ流れるだろう」と私が予想したもので、必ずしも正しくはありません。もちろん平地では拡散するので、矢印は「おおまかな目安」とお考え下さい。

特に画像中央部付近では東西の背後からだけでなく、南東の谷からも土石流が来る危険があります。
逃げろと言われても、これではどっちへ逃げれば良いのか困ってしまいますよね。
一応、西側は空白域になっていますが、私は「危険だと考えるのが無難」だと思います。と言うのも、赤点線で囲んだ範囲から西は山地で、いくつも谷がありました。
過去の調査では土石流危険渓流に指定されていませんが、異常豪雨によって土石流が発生しないとは言えません。避けるのが無難です。

こう言う場合は「どこへ逃げる?」よりは、「できるだけ早めに避難する」のが最善かと思います。
ギリギリのタイミングで避難してしまうと、道中が土石流で遮られたり、最悪、巻き込まれる危険もあります。


避難所は?

私自身の感想は「この地域にお住いの方々は、避難が大変そうだ」というものです。何故なら、近くに避難所がないんですよ。

土石流_拡大04

直線距離で約2kmですので、道路沿いの避難経路で3kmくらいでしょうか?
荷物があって雨が降っているとすれば徒歩1時間と考えた方が良いでしょう。小さい子供やお年寄りや身体の不自由な人はさらに時間がかかります。

しかも避難所は浸水区域内にあります。
2階以上ある頑丈な建物であれば浸水区域内でも避難所として使えるでしょうが、浸水が進む前に逃げ込む必要があります。

さらに懸念されるのは、このマップの浸水想定は50年に1度の雨(227.5mm/日)が降った場合のものです。
それ以上の雨が降った場合は浸水箇所はさらに広がってしまいます。

やはり事前に避難場所と避難経路を決めておき、どのくらいの時間で避難できるか?シミュレーションすることが大切ですね。
場合によっては避難所の新設など、自治体に要望することも考えた方が良さそうです。

ハザードマップ、見れば見るほど色々と考えさせられます。

お読みいただき、ありがとうございました。

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