阿蘇内輪山の「人面」火山???:熊本県北東部山間地域【バーチャル観光vol.4】
とっても雄大な阿蘇カルデラ。でも阿蘇山はカルデラだけではありません。
カルデラ内部には多くの火山があるんです!
場所の再確認
今回の舞台はどこか?再確認しましょう。
スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト)
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。
熊本県北東部のカルデラ内部ですので、上図の阿蘇市、南阿蘇村、高森町が舞台になります。
阿蘇内輪山で唯一活動中の火山!
まずは阿蘇内輪山の中でも唯一、現在活動中の中岳(なかだけ)を見ていきましょう!
あちこちに火口らしき凹地形がありますよね。
中岳は画像の真ん中よりやや東の山体です。
はい!コチラです。
中岳は約22000年前から6300年前までの間に活動を始め、何度も噴火を繰り返しています。
図の真ん中よりやや東に「中岳」と書いてある山体は古いもので、左が崖になっていますよね。コレは崩れた跡です。
そして図の真ん中あたりに北北西ー南南東方向にいくつもの火口が並んでいるように見える地形がありますよね?
この一番北の火口が現在でも活動しているそうです。
赤丸が火口、赤線が崩れた崖の頭部です。
空中写真をかぶせました。
崖の頭部付近に黒い縞々が見えます。火山の地層かもしれません。
噴火口が生々しいですね。
出典:気象庁資料
やはり現地撮影の写真は迫力があります!
これは噴火の前兆の赤熱(せきねつ)という現象だそうです。
そしてストロンボリ式噴火が起こっています。
(※『火山の地層は「中身」が大切!』の時点では小さい画像しか見つかってませんでしたが、その後、良いのを見つけました!笑:もとは同じ写真です)
高岳と鷲ヶ峰
中岳の東には2つの火山があります。
画像の真ん中のやや上に。見にくいですが鷲ヶ峰(わしがみね)と書いてあります。これは古い火山で、崩れ始めた頃に高岳(たかだけ)が噴火しました。高岳の噴火は中岳の噴火し始めの時期とほぼ同じなようです。
しかし何度も噴火することはなく、既に崩れ始めています。
真ん中に見える平坦な地形は火口ですが、崩れて半分になっています。
蛇ノ尾と米塚
今度は小さな火山を見てみましょう。
赤丸で囲んだ2か所です。
蛇ノ尾(じゃのお)と米塚(こめつか)です。
(※蛇ノ尾は約6000年前、米塚は西暦1700年頃の噴火と言われています)
特に米塚は綺麗な円錐形で可愛いですよね(笑)
これらは2つともスコリア丘です。中岳のようにストロンボリ式噴火を起こし、噴出したスコリア(※詳しくはコチラ)が堆積しました。
蛇ノ尾の方が少し古いからか、山体は崩れかけているようです。
ちなみに米塚は一見可愛いのですが、正体は恐ろしいです。
と言うのは、このスコリア丘だけでなく大量の溶岩も流しているんです。
周辺のモコモコした地形、これ全部溶岩です。
溶岩地形、分かりやすいですよね。
西の蛇ノ尾の方まで流れ、取り囲むように周囲を覆ったんです。
そして北の国道が走っているあたりまで流れています。
だいたいこんな感じです。スゴイですよね!!
可愛いと思って油断してるとやられます。小悪魔です(笑)
また東にも溶岩地形が見えますが、これは隣の火山の溶岩です。
往生岳と杵島岳
米塚の南東、中岳の北西にある杵島岳(きしまだけ)と往生岳(おうじょうだけ)です。
杵島岳→往生岳→米塚の順で噴火しています。
これら火山の2つとも、米塚と同様にスコリア丘をつくり溶岩を流しています。杵島岳もそれなりに溶岩を流したのでしょうが、大部分は米塚の溶岩に覆われてしまっているようです。
さきほどの米塚の溶岩の東の溶岩は往生岳が流した溶岩です。
草千里ヶ浜
最後にコチラ。
杵島岳の南にある草千里ヶ浜(くさせんりがはま)です。火山なのに浜って面白いですね。しかも「顔」に見えませんか?
国土地理院地形図をかぶせてみたら、池があって余計に顔に見える(笑)
「鼻」は溶岩ドーム(※粘り気の強い溶岩が流れにくいため盛り上がって山になる)が崩れた名残だそうです。
草千里ヶ浜の場合は粘り気の強い流紋岩溶岩がメインで爆発的な噴火を起こし、大量の軽石が降って軽石丘をつくっています。
空中写真をかぶせた3D画像でも人面が際立ちますね(笑)
他にも火山があるのですが、今回はここまで。残りはまた別の機会に紹介します。
お読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
活火山総覧第4版 84阿蘇火山、気象庁.
阿蘇火山地質図解説書、産業総合研究所.
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