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日本には安全なところなんて無い?? 【災害から身を守る vol.2】 日本の”災害大国”の真実とは? part5

日本は災害大国です。このシリーズをお送りしている間にも災害が発生してしまいました。
これまでに地震が多い理由、火山が多い理由、土砂災害が多い理由についてお話ししてきました。

今回は日本に安全なところはあるのか?についてお話しします。
(トップ画像出典:国土交通省)

そもそも安全なところなんて無い??

正直言いますと、私の口から「ここは安全ですよ」と言える場所はありません。非常に残念ですが・・。

もちろん、ある一定の条件が揃った場所であれば、それなりに安心して住めるとは思います。
でも例えばカルデラ噴火と呼ばれる大噴火が起こったら、とんでもない大惨事になると言われています。これについては別の記事で紹介します。

また地震も日本ならどこで起こっても不思議ではありません。
実際に日本では、過去に活断層の存在を確認していなかった場所を震源として地震が起こったことは何例もあります。

日本の中で住める土地

まず安全かどうかは別として、日本には住める土地はどのくらいあって、そこはどんな場所なのか?を考えてみます。次の図を見てください。

可住地_国土が抱える災害リスク

可住地面積の比較:国土交通省 国土が抱える災害リスクより

可住地(かじゅうち)とは住むことが可能な場所という意味です。
一般的な言葉ではないらしく、国が定義した言葉のようです。図の左下に説明されてますが、小さいので引用します。

非可住地:標高500m以上の山地及び現況の土地利用が森林、湿地等で開発しても居住に不向きな土地利用の地域。

可住地 :非可住地以外の地域。具体的には、標高500m以下で現況が市街地、畑地、水田、草地、果樹園等(疎林、かん木、まばらな木又はかん木を含む草地、まばらな植生(草、かん木、木)、農地と他の植生の混合)の土地利用の地域。

標高500mというのがカギですね。山地の多い日本では、まずこれで不利になります。
ただしここで注意なのですが、例えば長野県の松本市は標高500m以上ですので、500m以上という理由だけで住めないわけではありません。
標高500m以上だと山地の場合が多いので住みにくいということですね。
ちなみに松本市は松本盆地に位置しているので住みにくい山地ではありません。盆地そのものの標高が高いんですね。

さて本題に戻りましょう。今度は地図部分だけ拡大してお見せします。

可住地_日本イギリス
可住地_フランスドイツ

白い部分が可住地です。一目瞭然ですよね・・・。一応、数字でも見てみましょうか。

可住地_表

少ないですよね・・・。
国土面積で見るとイギリスは日本の3分の2くらいですが可住地面積は2倍です。

可住地はどんな場所?

でも、しょうがないですよね。残念がったところで何も変わらない。
少ないなら少ないで有効活用するのみ!では日本の可住地にはどんな特徴があるのか、見ていきましょう。

沖積層の分布

出典:国土交通省 国土が抱える災害リスク

沖積層とは約2万年前より新しい時代にたまった礫や砂や泥です。
平坦で湿地が多い土地で、新しい地層なので軟らかく、いわゆる軟弱地盤と呼ばれるような土地です。
そして河川で運ばれてたまった土砂がメインで、今の河川もだいたい同じ場所を流れていますので、広い目で見れば河川区域とも考えられるような場所です。
ドイツは海沿いの一部だけですが、日本にはあちこちにありますよね。
それに何だか見覚えのあるカタチしてません??

可住地沖積層比較

はい、これです!!
可住地沖積層の図、並べてみました。これを見ると可住地と沖積層、ほぼ一致しますよね。
そう。日本の場合、住みやすい平坦な土地のほぼ全てが沖積層でできています。軟弱地盤(揺れやすい)な上に、湿地が多くて川の通り道になる(つまり洪水になりやすい)。

なんてことでしょう・・・。
地震が多く火山も多く、地質はツギハギで弱い。住みやすい場所が限られるうえに、その場所が軟弱地盤で洪水しやすい場所とは・・・。

そりゃ災害大国になってしまいますよね。


いかがでしたか?
回を重ねるごとに落ち込んでしまうかもしれませんが、これが災害大国・日本の真実なのです。
正しく知り、正しく備える。それが一番大切なのだと私は思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

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