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プレート境界の"溝"を埋め立てました その1:南西部山間地域【都道府県シリーズvol.43山梨県part1】

山梨県は標高1000mを超える山地が多く、また3000m超えの火山もあります。今回はその中で比べれば「標高低めかな?」と思えてしまう地域についてのお話です。

場所は?

再確認しましょう。

無題92_20210718185945

山梨県は本州のほぼ真ん中の位置にあります。

17_周囲都道府県位置図

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

周辺都道府県との位置関係はこんな感じです。

17_地形区分

今回は南西部山間地域です。

1710_地域範囲市町村

8つの市町それぞれの一部地域です。


地形を見る

では、行ってみましょう♬

画像5

南北にほぼまっすぐ流れている川がありますね。
これは富士川(ふじかわ)です。

1710_地形図00

地域範囲を入れました。
北の甲府盆地を流れていた複数の川が合流して富士川に集まってますから、なかなかの水量です。
山間地域を流れてますが、川幅はまぁまぁ広いですよね。

富士川以外にも周囲には南北方向の谷や尾根が目立つので、何か地質的な原因がありそうです。

1710_地質図00

地質図を見ると、南北方向の断層がいくつもあり、地質の分布も南北に長いものが多いですね。
おそらく、これが原因で南北方向の地形が多いのだと思います。


大地の成り立ち

南北方向が多い山梨県の南西部山間地域は、どのような歴史をたどって現在に至るのか?見てみましょう。
この地域の地質は、なんと全部、新第三紀の地層です(※現在の河川堆積物以外)。

そしてここは、島弧ー島弧多重衝突という、世界的にも珍しいことが起こってできた地域だと言われています。
神奈川県の時にも紹介した学説です。

1710_天野ほか2007_01

南部フォッサマグナの地質概略図(天野ほか2007より)に筆者一部加筆(赤線、赤点線)

日本は4つのプレート(ユーラシア、北アメリカ、フィリピン海、太平洋)がひしめき合っていると言う、世界的にも非常に珍しい場所です。
そしてフィリピン海プレートは、よく見ると北の先端が日本列島に食い込んでいるように見えますよね?
その場所が伊豆半島から富士山にかけての地域です(※富士山の噴出物に隠されて正確な境界は不明なので点線にしています)。

ここで話を少し変えます。

プレートの沈み込みと火山活動_地震調査研究推進本部

日本は世界的にも火山が多い国ですが、それは火山のでき方に原因があり、上の図のように、プレートの沈み込みが原因でマグマが生じて、火山ができるんですよね。

伊豆小笠原諸島

そして「伊豆・小笠原諸島」は、太平洋プレートフィリピン海プレートに沈み込んでることで出来た火山島の列なんです。
しかも、フィリピン海プレートは日本列島の方向へ年々、少しずつ動いています。

つまり、伊豆・小笠原諸島が年に数cmのスピードで、本州に近づいているんです!!

え?だとしたら、そのうちぶつかっちゃうんじゃない??
って思いますよね。
ハイ。もう既に、ぶつかっているんです。
その1例が伊豆半島です。

そしてその前に、少なくとも3つの火山島(上図のB,C,D)がぶつかった!というのが島弧ー島弧多重衝突と言う学説なんです。


あ・・・
ここまでで既に長くなってしまったので、次回へ続きます!
(※このパターン、久しぶりですね、笑)

お読みいただき、ありがとうございました。


この地域の記事はコチラ👇


参考文献

天野一男・松原典孝・田切美智雄(2007) 富士山の基盤:丹沢山地の地質 -衝突付加した古海洋性島弧-.富士火山(2007)荒牧重雄,藤井敏嗣,中田節也,宮地直道 編集,山梨県環境科学研究所,p.59-68.

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