ちょっとグニャグニャしすぎじゃない?:青森県南東部平坦~中山間地域【流域を考える旅vol.16】
青森県の南東部平坦~中山間地域は、一部地域では火山灰層に覆われていますが、その下には古い地質が分布しています。
谷沿いでは火山灰層が浸食され、谷底にだけ古い地質が出ている箇所がいくつも見られます。
今回は古い地質の影響でできたと考えられる川の蛇行を見てみましょう。
場所は?
再確認です。
青森県は本州の最北端に位置しています。
南東部平坦~中山間地域は上図の⑥です。
⑥地域は上図の範囲です。今回は八戸市の南部をメインにお話しします。
地形を見る
では行ってみましょう!
北は段丘堆積物でできた台地が中心で、南部は火山灰に覆われています。
地域の中部では4本の河川が西から東へ流れ、下流域には平野が形成されています。
拡大してみました。
さらに南の方では、川は東西方向ではなく、南から北へ流れています。
河口付近を拡大してみると、こんな感じ。
西を流れているのが馬淵川(まべちがわ)、東を流れているのが新井田川(にいだがわ)です。
でも新井田川、ちょっと変なカタチしてますよね。
以前の新井田川は、赤矢印のように馬淵川に合流していました。
そのためこの付近では洪水が多く、その解消のために赤丸の箇所を開削したのだそうです。
今回は、そんな新井田川の上流域を見ていきます。
グニャグニャが・・・
そう。新井田川の上流にはスゴイ箇所があるんです。
ちょっと引いて、上流を見てみましょう。本流は西です。
いかにも蛇行跡のような地形が見えますね。
こんな感じです。
でも問題のグニャグニャは、さらに上流です。
また引いてみました。もっと上流ですね。
謎の池や蛇行跡らしき地形がありますが、一番南!!
急にグキッと曲がっていますね。さらに上流を見てみましょう。
うおお!!スゴイ!!!
いくらなんでもグニャグニャと蛇行しすぎじゃないすか?(笑)
下流域とは全く雰囲気が違いますよね。
地質を見てみたら、ここは付加体の混在岩(メランジュ:灰色)や石灰岩(青)、玄武岩(緑)でした。
四国の川もかなり蛇行していましたし、どうも付加体の地質は河川が蛇行しやすいみたいですね。
さらに奥地は??
気になりますよね。蛇行の奥には何が??
なんと、さらに上流は平坦地が広がり、人がたくさん住んでいます!
かなり広い平坦地です。
また北西に見える緩やかな一段高まっている地域、おそらく地すべり地形ですね。
こんな感じで細長い地すべりがいくつも想定されます。
こんな感じの地すべりということは・・・
やはり!
ここは付加体よりも新しい新第三紀の泥岩(水色)や安山岩溶岩類(黄色)が分布しています。
新第三紀の泥岩は地すべりになりやすいので、侵食が進んで凹地になったと考えられます。
そして下流は川幅が狭く蛇行しているので、大雨で増水したり、土砂崩れで堰き止められたりして、この平坦地は何度も洪水被害にあったのでしょう。
その時に河川堆積物が溜まり、平野がつくられたと考えられます。
ちなみに、この「島守」地区は平家の落人が住み着いた隠れ里だと言われているようなのです。
確かに、下流も上流も谷幅が狭い渓谷ですし、隠れ里的な雰囲気ですよね。
こんなに蛇行していて「山奥の川」というイメージでしたが・・
まさか、こんな隠れ里があったとは!!
今回は以上となります。
お読みいただき、ありがとうございました。
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