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日本をぶった切る大断層!!:大阪府南部山間地域【都道府県シリーズvol.13大阪府part1】

前回のプロローグでは大阪府を地形的な特徴から7か所に区分しました。(※あくまで私個人の見解です)
今回は大阪府南部山間地域の地質についてお話ししていきたいと思います。
下図のになります。

地形区分_番号

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

南部山間地域_市町村

対象区域はこれら14市町村の着色された地域になります。


異常にまっすぐな地形

この地域、パッと見でも分かるほど目に付く特徴があります。

画像3

東北東ー西南西方向に山地がまっすぐ伸びていますよね。

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引いて見てみると紀伊半島を切るように伸びています。

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さらに西は四国まで。九州までつながっているようにも見えます。


日本を横切る大断層!!

有名ですのでご存知の方もいらっしゃると思います。
そう。これは中央構造線と呼ばれる大断層です。

ただ中央構造線という名前の使い方は少々混乱しているようで、産業総合研究所:地質調査総合センターのホームページで詳しい解説があります。

ザックリ説明しますと・・

・"地質境界"としての中央構造線
・"活断層"としての中央構造線活断層系

この2つの意味があるのだそうです。

つまり過去に断層として活動した中央構造線がまずあって、それに沿うかたちで活断層系が確認されていますが「必ずしも両者がピッタリ合っている訳ではない」とのこと。

中央構造線_地質境界

出典:産業総合研究所

これが"地質境界"としての中央構造線。九州までは伸びていないそうです。

中央構造線_活断層系

出典:産業総合研究所

こちらが中央構造線活断層系です。
熊本地震の時に活動した活断層はこの延長線上にはありますが、中央構造線活断層系には含まれていないようです。


地質は??

では地質図を見てみましょう。

画像9

スーパー地形アプリ上でシームレス地質図V2をかぶせました。
中央構造線はズバッと1本線では描かれていませんね。

画像10

でもこうやって引いて見ると地質の違いがハッキリ分かります。

中央構造線図示

黒点線(中央構造線)の南北で地質が違いますよね。
北は黄土色と薄青、南は濃い青色が東西に伸びています。これを見ると"地質境界"としての中央構造線が分かりやすいです。

地質図_20万_和歌山_図示

20万分の1地質図幅「和歌山」:地質調査所より(※筆者一部加筆)

今度は20万分の1地質図です。
赤点線で囲った範囲がだいたいの範囲です。アップで見ましょう。

地質図_20万_和歌山02

対象地域は和泉(いずみ)山脈と呼ばれる山脈の一部です。
その大部分は水色とオレンジ色の縞々が東西にのびています。
またその南北の茶色系の地質も含めた範囲が、和泉層群(いずみそうぐん)と名付けられた中生代白亜紀後期(約7200万~6600万年前)の砂岩や泥岩などです。
アンモナイトなどの化石が含まれる海の地層です。

そして和泉層群の北に見られる薄紫やピンク、濃いピンクなどは、時代は同じ白亜紀後期花崗岩類です。つまり地下深くでマグマがゆっくり冷えてできた岩石ですね。

大阪府南部の山間地域(和泉山脈)は恐竜が生きていた最後の時代の地層でした!
そしてその南には日本をぶった切る大断層である中央構造線です。

今後は地域内の気になる地形と地質について、もう少し詳しくお話ししていきたいと思います。
お読みいただき、ありうがとうございました。


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参考文献

栗本史雄・牧本 博・吉田史郎・高橋祐平・駒沢正夫(1998)20万分の1地質図幅「和歌山」、地質調査所.

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