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平穏な海から一変して灼熱地獄?!:南東部平坦~中山間地域【都道府県シリーズvol.46群馬県part1】

群馬県は地形的特徴から11地域に区分できます(※筆者個人の見解です)。
火山が多いこともあって標高1500mを超えるような高い山が目立ちます。
今回はそのうちの南西部山間地域を見ていきましょう。

場所の再確認

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群馬県は本州のほぼ真ん中あたりです!

10_周辺都道府県_01

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

関東地方の北西部で、新潟県の南に隣接しています。

10_地形区分_01

南西部山間地域は図のです。

1008_地域市町村_02

安中市・富岡市・下仁田町・南牧村それぞれの一部地域です。


地形を見る

では、行ってみましょう。

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まさに「山間地域」な雰囲気ですね。
でも一定方向の尾根や谷は見当たりません。
もう少し拡大してみれば、小さい区域ごとに特徴があるのかも知れません。

1008_地域範囲_01

地域範囲を入れてみましたが、やはり大局的な傾向は見られませんね・・。

1008_地域範囲_02

試しに赤丸のあたりを拡大してみましょう。

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おおお!
けっこう、細かくシワシワな感じの地形ですね。そして大局的には北東-南西方向の尾根や谷が目立ちます。
やはり、ある程度小さい範囲であれば傾向があるようです。

ということは、小さい範囲で色々な地質が分布しているのかも知れません。

1008_地域範囲地質図_00

・・・そうでもなかったですね(;^_^A

茶色系であちこちにポツポツしているのは貫入岩で、地下から湧き上がったマグマが既存の地層(周囲の地層)を貫いています。
つまり周囲の地層を分断してしまっているので、統一的な傾向が見えにくくなっているのでしょう。

また黄色は溶岩・火砕岩なので、色は同じにされていますが、場所によって溶岩だったり火砕岩だったりで、それぞれバラバラな性質なのだと考えられます。

大地の成り立ち

では、この地域がどのような歴史をたどったのか?見ていきましょう。
概ね4つのステージに分けることができます。

〇ステージ1:中生代中期ジュラ紀~後期白亜紀
まだ恐竜が生きていた約1億7400万~8400万年前、日本はまだユーラシア大陸の一部でした。この時に海洋プレートの上に溜まっていた堆積物が大陸の端っこにくっつきます。いわゆる付加体です。

ただし今回は、少々複雑に色々グチャグチャに混ざってるようです。

1008_地域範囲地質図_01

赤線で囲った範囲が、ステージ1の地質です。
一番広く分布している「灰色」が混在岩(メランジュ)です。
ただし北と南では時代が違っていて、南の方が古く約1億7400万~1億4500万年前、北が約1億6400万~1億年前に大陸にくっつきました。

そして南北の灰色に挟まれた地域は、薄緑色がメインで色々な色の地質が混ざっています。
この薄緑色は後期白亜紀(約1億4500万~8400万年前)北に大陸沿いの海に土砂が溜まってできた砂岩泥岩互層です。西にも分布しています。

混ざってる地質は色々あるのでサラッとお話しします。

・大陸の一部だった閃緑岩(中間成分のマグマが地下でゆっくり冷えた)と、それに焼かれて変成した泥岩
・もともと付加体の一部だった玄武岩斑レイ岩地下深くで変成

こんな感じです。

〇ステージ2:新生代古第三紀暁新世~始新世
恐竜が絶滅した後の約6600万~4800万年前、日本はまだ大陸の一部で、火山活動が起こります。

1008_地域範囲地質図_02

赤線で囲った地域が3か所。
北の2か所のピンク色はドロドロと粘っこいマグマが地下深くでゆっくり冷えてできた花崗岩です。
南の薄いピンク色は火山から噴出した火砕流堆積物(凝灰岩類)です。

〇ステージ3:新生代新第三紀中新世
日本が大陸から分離し始めて、だいたい今の位置に落ち着く頃かな?という約2000万年~1400万年前。この地域一帯はになっており、砂や泥が溜まります。

1008_地域範囲地質図_03

赤線で囲った範囲内の薄い灰色が砂岩泥岩互層。灰色がかった水色が泥岩です。

〇ステージ4:新生代新第三紀中新世~鮮新世
ステージ3の後半あたりの約1600万年前から、258万年前にかけての時代。上記の泥岩や砂岩泥岩互層にマグマが貫入します。

1008_地域範囲地質図_04

茶色が安山岩類(中間のマグマ)、オレンジ色が流紋岩類(ドロドロのマグマ)です。これらは約1600万年前~720万年前に貫入しました。

この後の約720万年前~258万年前に火山噴火が起こり、安山岩玄武岩質安山岩溶岩火砕岩が噴出します。これが広く分布している黄色の地質です。黄色の地質はこの地域外にも広がっていることから、かなり大規模な火山活動だったと考えられます。

まさに平穏な海から一変してしまった地域ですよね。

今回はここまでとなります。
お読みいただきありがとうございました。


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