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アンデルセン童話に学ぶ自己肯定感


田舎の道のすぐわきに、一軒の別荘があった。
この庭には、シャクヤクやチューリップなどがきれいに咲いていた。
チューリップは自分がキレイだということをよく知っていたので、ピーンと背中を伸ばし、シャクヤクはバラよりも大きくなろうと、うんと膨れ上がっていた。

そして、冊の外の芝生の中に1本の白いヒナギクが咲いていた。
ヒナギクは、目立たないからといって、ばかにされる花とは、少しも考えていなかった。

いつも暖かい太陽の方を向き、空でさえずるヒバリの歌をうっとりと聞いていた。
あるとき、ヒバリはチューリップやシャクヤクのところではなく、ヒナギクのところに下りてきて、キスをした。

「なんと、やわらかい土の中にある、可愛らしい小さな花だろう…。
 心は金で、着物は銀だよ」

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これは僕が大好きなアンデルセン童話の物語です。

ヒバリがチューリップやシャクヤクにキスをしなかったのは、人生に満足していないから。

いつも誰かと張り合い、競って、他者よりも優れることを生き甲斐にして自我を保っているような人。

そういう人は、ありのままの自分を生きていません。

ヒナギクは地味で目立たない花ですが、誰とも比べようとせず、他者の美しさを認めています。

ありのままの自分に満足しているから、「心は金で、着物は銀だよ」というほど美しいのです。

自己肯定および他己肯定には、条件付き肯定全面肯定があります。

条件付き肯定とは、
「私は頭がいいから自分を認められる」
「うちの彼氏は収入がいいから付き合ってられる」というように
肯定に理由がついている状態です。

この肯定の欠点は、自分が少しでも頭がよくない、彼の収入が少ないと思うと、肯定感が揺らぐという点です。

全面肯定とは、
「私は生きているだけで幸せ」
「あなたはそこにいてくれるだけで嬉しい」
というように存在自体を認めることです。

この方法は、どんなことがあっても肯定感が揺らぎません。
揺るがない肯定感を持っているから、ヒナギクは心から幸せなのです。

自分や他者をどう肯定したらいいかわからないという人もいるかもしれません。
「大人なんだから、働いているうちは甘えたことを言っていないで辛い地獄のような日々を耐え抜かなければ。でないと自分はダメだ」と思っている人もいるかもしれません。

それはもちろん素晴らしいことですが、例えば赤ちゃんは何か生産的なことをするでしょうか?
ミルクが欲しいと泣いて、寝て、おむつがムズムズするから泣いての繰り返し。
生産的なことは何もしていません。しかし、その存在は無条件に愛されるのです。

生まれてきた赤ちゃんに対して「とうとうこんな世の中に生まれてきてしまったなあ。
これから辛い日々が待っているから覚悟しておけよ」という親はいません。
赤ちゃんを抱き上げて「生まれてきてくれてありがとう。あなたに会えて本当に嬉しいよ」と言うのが親です。

赤ちゃんにその存在自体を認めてあげられるのに、世の中の人の多くはどうして自分や他者にそれを言ってあげられないのでしょうか。

「...どうせ自分は○○だから....価値なんてないし...」
「人生何にも楽しいことがなくて、本当に生きてる意味がわからない....」

声を大にして言いたいです。

価値がない人なんていない!

生きてる意味は気づいていないだけで山ほどある!!

楽しいことも山ほどある!!

この間、ある動画を見ました。
寝たきりの重度障がい者さん。
指や視線を動かして介護士さんとコミュニケーションを取り
「私は周りにいい人がいて幸せだ」と言っているのです。
身体が動かず、言葉がでなくても幸せな人は幸せです。

僕の父親も筋ジストロフィーで障がい者施設にいます。
コロナ感染リスク回避のため、2020年から今現在にかけて文字通り一歩も外に出ていません。
それでも、漫画やテレビ、介助者さんとの会話を楽しみを、
ガラス越しの車椅子から楽しそうに話をしてくれたのが
本当に印象的でした。

父はもう歩くことができませんし、
恐らくその重度障がい者の方もそうでしょう。

これを読んでいる皆さんは歩くこともできます。

身体を自由に動かして、自らの肺を大きく膨らませて外の新鮮な空気に触れることもできます。

チューブからの点滴で栄養補給するのではなく、自分で好きなものを選んで食べ、ゆっくり噛んで味わうこともできます。

当たり前のことに対して慣れ続けて鈍感になっていくと、まるで自分のことを幸せじゃないと思ってしまう人もいるかもしれません。

ただ、僕はちゃんと、そこにたくさんの小さな幸せがあるよって気づいて欲しいです。

もちろん自分はいつもそうありたいけれど、

皆さんにもありのままを受け入れて、幸せに生きてほしいです。

心からそう願っています。




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