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【短編小説3】花粉症

私は花粉症だ。種類はスギ花粉。
春とともにくしゃみ・鼻水・目のかゆみ・充血も訪れる。
それはそれは毎年壮大で、幾度となく会話が中断されるレベルでくしゃみをしている。

一説によると体内に花粉が蓄積されて、ある日発症するらしい。
それを私の花粉症を大変だねと笑っている彼に伝えると、「花粉症なんて、体の弱い人がなるもんじゃないの?」とひどいことを言い出した。

「やっぱり体のつくりから違うからね。俺は運動をして体には気を使っているから風邪も引いてないじゃないか。俺を見習ってもう少し体を動かしたら?」

そんなこと言って。私知ってるのよ。
あなたが花粉症に効く食べ物で検索していること。
家に花粉を持ち込まないように、私に症状が出ているときだけ玄関で服の花粉を払っていることを。

「俺は絶対にならないよ、なったら笑ってくれていい」
と、自信満々に胸を張る。

意識していないかもしれないけど、私にとってそれは未来の約束。
こんな口が悪い男、あなた以外の人に言われたら縁を切るわ。

あなたが早く結婚しようって言ってくれないから私、こんなことで喜んじゃう女になったじゃない。

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