【ナッジ】人や組織が「変わる」ためのアプローチとは?
こんにちは。
健康経営エキスパートアドバイザーのYURIKOです。
今回は【ナッジ】、行動科学の知見から、人や組織が変化の際に望ましい行動をとれるようにあと押しするアプローチにはどのようなものがあるのかについて整理してみたいと思います。
今回の参考図書はこちら⇩
チップ・ハース&ダン・ハース著「スイッチ!「変われない」を変える方法」株式会社早川書房、2010年
1. 重要な事実
本書の冒頭で「重要な事実」としてあげられているのは「自己管理は心身を消耗させる」という点です。
ここで言う「自己管理」とは、禁煙やダイエット、将来のための勉強という狭い意味だけではなく、
・部下に否定的なフィードバックを行う時
・新しい趣味を始める時
・新しい作業を始める時
といった、言葉づかいや動作を注意深く慎重に管理する必要がある時をさします。この、意識的に何らかの変化を起こそうとする時に人は心身を消耗し、集中力や問題解決能力が落ちることが研究で明らかになっているといいます。
2. 変化をあと押しする「ナッジ」
では、極力消耗せずに変化を起こすためには、どのようなアプローチがあるのでしょうか。
本書では以下の3つのポイントをあげています。
(1)理性に方向を示す
(2)感情にやる気を与える
(3)道筋を定める
3. 「理性」と「感情・本能」両方へのアプローチの必要性
話は少しそれますが、心理学の一般的な見解によると、脳では常に「感情・本能」と「理性」という二つのシステムが独立して動いていると言われています。
しかし、この二つのシステムは葛藤も多く、「感情・本能」が「理性」に負けてしまうことがよくおこります。例えば寝過ごしたり、食べ過ぎたり、資格試験の勉強を投げ出したり、仕事を先延ばしにしたり、、、は誰もが経験があるかと思います。「感情・本能」の弱点は明らかです。
一方で「理性」にも弱点はあり、ものごとを分析しすぎたり考えすぎたり(特にネガティブ寄りに)する傾向があります。何時間も新しいアイディアを練っているのに結論が出せない人などは「理性」に問題を抱えているといえます。
つまり、変化をおこす時には「理性」「感情・本能」それぞれに働きかけること、さらにそれらを「仕組化」することで消耗を最小化することが重要になってきます。
4. 具体的に何をすべきか
(1)理性に方向を示す
・「既に達成している点」を伝えて変化へのハードルを下げる
(理性は解決が難しいネガティブな問題に注目しがち。既に達成しているポジティブな側面に注目し、できることを増やすイメージで変化を促す)
・「最初の一歩」の台本を明確に描く
(変化の場面ではおおまかな方向性の設定だけではうまくいかない。理性はあいまいだったり、選択肢が多すぎると戸惑い、元の行動に戻ってしまう。変化を促すためには、少なくとも最初の一歩の台本は明確に描いて示す必要がある)
・どうあるべきか、魅力的で鮮明な未来像を示す
(変化の場面では理性は「分析」に満足してしまい「実行」に至らないことも多い。「実行」を促すためには、感情的な、魅力的なゴールを示すことで、ゴールに向かう方法を探りはじめる)
(2)感情にやる気を与える
・感情を芽生えさせる
(「分析し・考えた」だけでは実行にうつせないことが多い。「見て・感じて」感情に訴えることで、実行へのモチベーションを高めていく。その際「危機感」は思考を狭め、「ポジティブ」は思考や行動を広げる。あいまいな問題を解決するためには「ポジティブ」であることが重要)
・変化を細かくする
(感情・本能を飽きさせないため、変化を細かくして達成感などの報酬を準備する)
・人を育てる
(結果重視の考え方だと変化の際の「失敗」に耐えられない。「失敗」ではなく「学習」と捉えらるようなしなやかなマインドセットも重要)
(3)道筋を定める
・環境を変える
・習慣を生み出す
・仲間を集める
(変化をおこす時は、自己管理するよりも環境や目標達成のための習慣づくり、良い意味での集団圧力をいかした仲間づくりも重要)
概要は以上ですが、書籍では、健康、教育、ビジネスなど多くの具体例が盛り込まれており、アプローチ方法がより解像度高くイメージできるような構成になっています。お時間ある方は是非一読いただければと思います。
今回は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。少しでも皆さんの気づきになれば幸いです。
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